【媚薬】 尚隆×陽子(ソフト陵辱テイストにて注意)
作者183さん
( 承 前 )
陽子が雁の玄英宮を一人で訪れたのは、景麒とのことがあってから数日たったある日だった。
既に何度も訪れているそこでは官吏たちも陽子の顔を見知っていて、何事もなく尚隆の私室に通される。
広々として、いっそ殺風景なくらいにさっぱりとしたこの部屋が、陽子は気に入っていた。
一日の執務を終えて解放されたばかりという風情の尚隆が陽子を迎える。
「良く来たな」
「突然おじゃまして、申し訳ありません」
「なに、構わんさ。景王が自ら来駕するなど珍しいことだからな」
挨拶をしながら陽子はきょろきょろする。
「あれ? 六太君は?」
「あれは今、州城に下っている。1週間はもどらんらしい」
「そうでしたか」
内心ほっとしていた。
同じ麒麟仲間として、陽子があの薬を景麒に使ったことは延麒には知らせたくなかったのだ。
「国事に関わる話だ。人払いを。それと簡単な酒肴を用意してくれ」
尚隆が何気なく命じているのを、腹に抱えた相談事に気を取られていた陽子は、さして注意も払わずに聞き流していた。
簡単な食事の用意が整い、二人は尚隆の居室で向かい合って、くつろいで座っていた。
いかにも十二国風の意匠の中にも、この居室にはどこかしら和風な趣を感じさせるものがあると陽子は思っている。言うなればテレビドラマの時代劇に通じるような。それが陽子にとっては妙に親しみやすい感覚を与えている。
「さて、景王自らのお出ましとはどういう用件かな」
尚隆が切り出した。
「単刀直入に申します。先日頂いた秘薬のことで」
「試したか」
尚隆は楽しげだった。
「はい、あの・・・景麒に与えました」
「ほう? 台輔に。それは御身自身の夜伽の相手として、だろうな?」
「はい・・・」
いいさしてその時のことを思い出し、陽子の頬に僅かに赤みが差す。
「御身自身も使ったのかな?」
「いえ、それは・・・」
陽子が言いよどんだのは、その言外に微かに非難の色を感じ取ったからだった。
王たるもの、臣下を実験台にするとは何事だ、と。
そんな様子を見て取り、尚隆は立ち上がって壁際の棚から複雑な切り子細工を施した玻璃の瓶を取り出した。
中には濃い葡萄色の透明な液体が半分ほど入っている。
「どうだ、景麒とはうまくいっているのか」
さり気なく話題を変えながら、尚隆は陽子にその酒を勧めた。
「多分。私と景麒はお互いの足りないところを補い合っているのだと、そう思っていますが…」
勧められた酒を口に運びながら陽子は不思議と昂揚した気分を味わっていた。
互いの国のこと、麒麟たちのことなどひとしきり話題にした後で
「今宵は月がことのほか美しい」
尚隆の視線に誘われて背後の窓を振り向く。
その僅かな動きに、衣服の中で身体が擦れた。その瞬間。
不意に動悸がした。
乳房が妙に張りつめている。
布に擦られて、いつもの官服の中で乳首が疼くのが判る。
おかしい。
尚隆に異変を悟られないように、ゆっくりと背を向けて窓の外を見るふりをする。
「灯りを消した方が月がよく見えるかな」
尚隆ののんびりとした声が聞こえる。
「そ、そうですね。
雲海を照らす月明かりが…」
体をひねったままの態勢が苦しく、出来るだけゆっくりと立って窓辺に向かった。
僅かな動きでも、乳首が敏感に反応する。
美しい透かし細工の窓格子に掴まり、この昂奮を収めようと深呼吸をするが、それだけの動きが乳首への刺激となってしまうのだった。
尚隆に気取られないようにそっと胸元をくつろげる。せめて乳首が布で擦れて刺激されないようにしなければ。そうは思ったもののそこで異変に気がついた。胸のあたりの布が湿っぽい。
見下ろして唖然とする。
成熟しきるまえに成長を止めた、まだ青い乳房の先端から、白い液体がじわりとにじみ出しているのだ。
「なに…これ…」
そのことに気を取られて、背後の気配に気づかなかった。
「いいながめだろう?」
急に耳元で声がした。
陽子の背を覆うように尚隆が立っていた。
陽子と同じ視点を求めて、顔を寄せて軽くかがんでいる。
「え、いえ、あの・・・」
慌てて胸元を合わせたために乳首に強い刺激が当たった。
「ひぃゃあっ」
思わず胸元をはだけ、今度はあわてて両手で乳房を覆う。
「どうした、陽子?」
そんなことに応えられる筈がない。
尚隆がこちらを見ないことを祈ったが、それが空しい願いであることは承知していた。
こちらに来てから、様々なことを経験してきた陽子だが、もともと性的な知識については奥手だった。
蓬莱でなら「妊娠」ということはあり得るし、実際にそれを疑える行為を繰り返していることは自覚している。しかし、これはーー『どうした』と問われて答えることなど、およそ無理だった。
すっかり取り乱しているところへ、落ち着いた声が再び問いかける。
「陽子、どうした」
「あ、あの・・・」
しどろもどろになって服を直そうとするが、その急な仕草が乳首に与えた刺激はそれまでの比ではなかった。
「あうぅっ」
尚隆に背を向けて手を胸元に差し込み、とにかく乳首を保護しようとする。しかし乳首の疼きは全身に広がり、我知らず手のひらで乳房を揉みしだいていた。
「陽子、落ち着きなさい」
慌てている間に、尚隆が一歩近づく。
「あの」
「どうしたんだ?」
まるで乳房など目に入っていないような尚隆の対応に、余計に混乱する。
「手をどうかしたのか?」
そういいながら尚隆は陽子の両手を掴んで自分の方に向かせた。
陽子の剥き出しになった乳房から白い液体が点線を描くように滴っている。
陽子の手を左右に広げて掴んだ尚隆はしばし無言でその様を見てから、先端の滴りをごく自然に舌を伸ばして舐め取った。
「あっ…くぅ……」
なんという刺激と快感。陽子は思わず嬌声をあげる。
両手を広げた体勢のまま陽子の背中が窓格子に押しつけられた。
ぴちゃぴちゃと音を立てて、尚隆が左右の乳首を交互に舐めている。
ひと舐め毎に信じられないほどの快感が身体を貫き、陽子は激しく身悶えた。ついには腰と膝とが砕けて床に崩れ落ちる。
尚隆はそのまま上に覆い被さると、仰向けになった陽子の腰を膝で押さえ込み、両ひじを絨毯を敷き詰めた床に押しつけて陽子の動きを奪った。そして改めて乳首を口に含んで、ぐいっと力強く吸い上げた。
吸われているのは乳首だけなのに、まるで腰の奥から快感を吸い上げられているような感覚。
強い腕で身体を固定され、尚隆が乳首を舐め転がすのを上から見守るしかない。
小さく固い乳首に器用に舌を絡めるところを。
巻き付けるような舌使いで乳輪を大きく覆い、口をぴたりとつけると奥から絞り取るような力強さで吸い始めるところを。
「ああっ」
思わず背をそらして胸を突き出す。
この男の顔をこんなに近くで見たことはなかった。
以前から整った顔立ちだとは思っていたが、月光に照らされる濃い眉や涼しい目元、そして自分の乳房に食らいついている美しい口元を初めて見るもののように見やる。
尚隆がのどを鳴らして陽子の分泌する液体を飲み下したのが判った。下を向いているせいで飲み込みきれなかった汁が唇の端からこぼれる。
そのさまに陽子は欲情した。
乳首が更に強く吸われる。普通の性技では感じたことがないほどに身体の奥から吸い出される感覚が深い。大量の乳が尚隆の口中に流れ込んでいるのは確かなようだった。
尚隆が咥えていない方の乳首からは今や乳汁が細い線になって幾筋も飛び散り、尚隆の顔や髪にも降りかかっている。
「お願い。こっちも・・・・」
肩を押し上げる。掠れた声しか出ない。
「む・・・」
ためらわず、尚隆はそちらの乳房にも喰らい付く。
「ああっ、いいっ」
きっちりと着こんだ服から胸乳だけをさらけだし、全ての動きを封じられてそれを男に与える。男も着衣ひとつ乱さず、ただ女の乳首だけを吸っている。
幾何模様の装飾を施した窓枠越しにさしこむ月の光が陰影のはっきりした模様を床に描き出す。敷物の柄と相まって二人の姿は目眩ましのように隠れ、ただ常ならぬ陽子の息づかいがわだかまる陰から聞こえてくるだけだ。
子を孕むことのないはずの自分にどうして乳が出るのか、今の陽子に考えを巡らすことなどできない。
ただただ乳首から全身に広がる快感に酔い、陽子は脚をすりあわせようとしている。しかし腰の動きは尚隆に封じられていた。
全ての感覚が己の乳首と尚隆の口の動きに集中してしまう。
吸って、もっと吸って。私を全て吸い尽くして。
尚隆は乳首を吸い、ときおり舌先で先端をいらうだけで、それ以上のことはしようとしなかった。
そして陽子はそれだけで昇りつめてしまった。
達したことで、あれだけ湧きだしていた乳汁はひとまずおさまったらしい。
尚隆が口元をぬぐいながら、朦朧とした陽子に手を貸して立たせた。
胸元を直してやり、榻(ながいす)へ連れてゆく。
冷水を汲んで渡そうとしたが、陽子は先ほど勧められた酒の杯に手を伸ばした。
尚隆はしばし逡巡したのち杯に葡萄色の酒を満たしてやると、椅子に戻って自分は玻璃の酒杯に別の酒を注いだ。
大ぶりの杯を両手で持って、陽子はぼんやりと尚隆を見つめている。
「落ち着いたか?」
尚隆は毛筋ほどの乱れも見せず、陽子に問うた。今し方の行為は淫らなものではなく、治療の必要な患者に適切な処置を施しただけ、とでもいうかのようだった。
「・・・」
落ち着いた…といえるのだろうか。
何が起きたのかよくわからない。自分の身に起きた異変も、尚隆がそれをどう収めてくれたのかも。
一度達したとはいえ、本当に欲しかったものを与えられた訳ではない。不完全燃焼のまま、あの不思議な感覚はまだ続いている。
乳汁の分泌は治まったが股間には蜜が溢れ、背筋を走るしびれるような快感も去らない。
いや、それどころか陽子の体温は上昇し、頬が紅潮している。乳房の張りつめた感覚が鋭く、息が荒くなり、今や身体を起こしいるのがやっとだった。
そんな陽子の様子を興味深そうに見やる尚隆。
「その薬でこんな事になるとはな」
「くすり?」
疼く身体をもてあまし始めていた陽子に、その言葉の意味が伝わるのには時間がかかった。
「ま、まさか、これ・・・」
既に飲み干した杯をまじまじと見る。
「そうだ。以前御身に渡したのと同じ薬を酒に溶かし込んである」
「なぜ?」
「なぜ、だろうな。
景王が景麒にだけ試したことを、俺が御身に試してみたということかな」
やはりそうだったのか。あの時、薬を景麒にだけ与えたと告白したときに感じた尚隆の咎めるような気配は。
「御身に薬を渡す前に、馴染みの女とその酒を飲み交わして、一晩睦み合ってみたんだが」
のんびりと尚隆は続ける
「彼の女には今のような事は起きなかったなあ」
他の女と比べられて、陽子は面白くない。それに身体の火照りはいっこうに治まる気配がない。
「景麒は・・・こんな感覚を・・・」
「知らん、あいつは牡だからな。女のお前とは反応も違おうさ」
「では、延王は…、いかが・なのですか?」
とぎれとぎれに問いかけた。
尚隆の視線が、頬を紅潮させ、唇を軽く開いて息を吐いている陽子の表情を面白そうに見ている。
「いつもより激しかった、かな。女は悦んでいたが」
陽子の反応を見ながら、しゃあしゃあと言ってのけた。
会話を続けることでなんとか意識を保とうとしていたものの、こらえきれずに陽子の手が胸元に差し込まれた。
無意識に乳首を弄り始める。
「自分で慰めるか。そういうことなら、俺に見せるようにやってもらおうか」
先ほど尚隆に火をつけられた身体の火照りはますます激しくなって行く。
尚隆が自分を観察しているのは判っている。
陽子は両肩まで袖を引き下ろして上半身を露わにした。
両手で乳房を揉みしだき、乳首を指で捏ねる。
肩や胸をさすって見せる内に片手が股間に伸びた。袴の脇から手を忍び込ませると、しとどに濡れそぼった箇所から花芽を探り出した。
さっき求めても得られなかったそこへの刺激を、ためらわずに自ら施す。
背をそらし、詰め物をした小枕にのけぞるように寄りかかって指の動きを激しくする。
邪魔な袴の紐を解き、滑らかな太股を剥き出しにした。
「ああんっ、あっ・くぅん」
王としての矜持、女としての意地、胸中を様々な思惑が入り乱れるが、一旦始めてしまった手淫はもう止められなかった。
どうしてこんな事になっているのか。
延王の前でこんな淫らな振る舞いをするなど、想像すらしたことがなかった。
しかし止められない。ここでは明らかに延が上位で、陽子は何の不思議も感じないで尚隆の言葉に従っている。
尚隆の許しを得たことで、陽子の自慰は歯止めを失った。
男の舐めるような視線を感じる。全てを見せつけたい。身体は余計に燃え上がる。
今や胸から上も腰から下も剥き出しにして、陽子は尚隆を誘うように体中をまさぐっていた。淫らに脚を開き、花芽をつまむ。
その乳首からは再び乳汁が湧きだしている。
そんな陽子を椅子に座って眺めながら、尚隆もやおら己のものを取り出して弄び始めた。
酒瓶や酒肴の並んだ卓子を夾んで二人で向かい合い、相手を見つめながらそれぞれが自慰にふける。
それは喩えようもなく淫靡な光景だった。
陽子の目は尚隆の陰茎から離せない。
まだ半立ちのそれが、黒々と茂った陰毛から少しずつ赤味の濃い頭をもたげている。
「おおきい・・」
今までに陽子の知っているどの陰茎よりも、それは大きそうだった。
尚隆の逸物が自分を刺し貫くところを思い浮かべて、陽子の淫技は激しさを増した。
乳首からわき出す汁は揉んでも揉んでもつきることがない。
腰が揺れ、声が漏れるのを抑えようともせず、陽子は目の前の男を妄想の相手に指の動きを大きくする。
そのまま達してしまおうとしたとき、尚隆が軽く笑った。
「欲しいか?」
その言葉の意味するところを期待して、陽子の脚の間がぐんっとうずく。
「イヤか?」
「・・・そんなことは・・・」
さすがにいきなり欲しいという言葉は口に出来なかった。
「では」
にっと笑って尚隆が言う。
「ここに来るがいい」
熱に浮かされたように立ち上がると袴が床に落ちた。
のびやかな下半身を隠そうともせず、ふらふらと尚隆の元に歩み寄る。
「そこに膝をついてごらん」
言われたとおりに尚隆の広げた脚の間に位置をとった。
尚隆が己の袴の腰ひもを解いて前を開く。
「お前の口でしてもらおうか」
「口だけを使え。できるな?」
それは質問の形をした命令。
陽子は尚隆を見上げた。
したことなど無い。だが出来ないなどとは言えない。身体が火照って、どうしても尚隆のそれが欲しい。
尚隆の大きく開いた脚の間に顔を寄せた。
近くで見るとその器官の大きさがより実感できる。
まだ半分しか勃っていないものの、浩瀚よりも長さに勝る景麒のものに匹敵する長さと、太さでは景麒に勝る浩瀚のものより更に大きい胴回りを備えていることは確かに思えた。
口で、する・・・?
とりあえず陽子はそっと唇を寄せた。
尚隆のみっしりと茂った陰毛が頬を擽る。むっとする熱気と湿度が襲ってくる。
そこを耐えて、正面から口づけをした。唇に押されて陰茎が揺れる。
揺れを止めようとつい手を添えてしまい、すぐに間違いに気がついた。
尚隆が咎めるようなつぶやきをもらして、自分の髪を結んだ朱赤の紐を解いている。
陽子の両腕から袖を脱がせ、そのまま背中に回させて赤い紐で易々と括った。きつい縛り方ではないのに、禁止されたことをしてしまったという意識が強くて、簡単に解けるという考えすら浮かばない。
尚隆に頭を抑えられ、改めて陰茎に口を寄せる。
両手を後ろに回した分、肩と胸とをせり出すような体勢になる。せり出した胸からは白い露が点々と滴り続けている。
さらに何度か不器用な口づけを繰り返すうちに、尚隆の反応が変わってきた。
長い髪が顔にかかって表情は隠れているが、息づかいが乱れ始めている。
陽子の頭に手を置いて、微妙な力加減で愛撫を誘導する。
「そこを舌先で」
「そこは口に含んで」
と次々に指示を出す。
その指示を一言も聞き漏らすまい、言われたことは忘れまいとつとめて、陽子は頭を振り立てて口と舌とで懸命に奉仕する。
「お前の男達はこういうことはさせないのか?」
尚隆に問われてうなづいた。
『男達』と複数形で指摘されたことには気づかなかった。
そうだ、景麒も浩瀚も、自分に奉仕するばかりだったと今更のように思い出していた。
次第に要領の飲み込めてきた陽子は自分から動き始めた。
愛撫に反応して長く硬くなってゆくそれが、己の手柄のように感じられる。
大きくなるにつれて、そのものの表面は絹のように滑らかな光沢を帯び始めていた。
舌を長く伸ばして巻き付けるように舐めあげた。膝立ちして上からゆっくり飲み込んでゆく。先端が喉の奥に届いたが、とても根本までは飲み込めなかった。
えづきそうになるのを堪え、頬をきつく吸い込み、舌で硬くて丸い頂点を包む。
先端の割れ目に透明な露が盛り上がっているのを、舌の先端で舐め取った。
「んっ、く…くぅっ、んんっ」
ちゅぷちゅぷと水音を立てながら陰茎にしゃぶりつき、上目遣いに尚隆が気持ち良さそうに愛撫を受けているのを確かめて、少し大胆になる。
身体をずりあげて、すべすべとした肉茎に乳房をこすりつけた。腰を動かして乳房で愛撫させ、先端を舌でねぶる。滴る乳汁が尚隆のものにも降りかかり、ぴくんと反応する。
その熱いものを違う場所にくわえ込みたくて、腰が淫らに蠢いている。快感を得ようともどかしく脚をすりあわせる。
手を後ろ手に括りあげられ、太く硬い陰茎に唇を這わせて奉仕を繰り返す陽子には、景麒に媚薬を与えて弄んだ女王の面影はかけらも無かった。
「お願い・・・」
ついに我慢しきれなくなって、陽子は身体を起こした。
「なにがお願いなんだ?」
十分に判っているくせに白々と聞き返してくる尚隆。
「延・王…」
「秘め事の場で、称号はお互いに邪魔なだけだろうよ」
「じゃあ、なお、たか・・・」
「蓬莱の呼び方をするか。小賢しいことを」
陽子は尚隆の胸元に這い寄った。
「お願い、欲しいの・・・・」
しゃべり方が普通の娘になってしまっている。
もっと近寄ろうとするが、尚隆の手が陽子の頭を抑えて動けない。
「ああんっ。お願いっ」
「なにがどう欲しいのか、はっきりわからんのだが」
「私に・・・」
「私に?」
「これを・・・」
言いながら胸で陰茎を擦ってみせる。
「これではわからん。何という名前なんだ?」
嬲るようにいう尚隆に、媚薬に犯されながらも羞恥心がわき上がった。
そんなものの名を、今まで口にしたことなどなかった。なんと言えばいいのだろう。
何かちゃんとした名前があったのだろうか。
「・・・お○んちん」
ようやく口に出した。
「肉棒、と言ってご覧。お前の言い方では幼児(おさなご)のようで興ざめだ」
「に・・・」
そこでまた恥じらいが出る。
欲しいモノは目の前にあるのに、そこに辿りつくのは大変な努力が要った。
「にく、ぼうを・・・」
「どうして欲しい?」
「私の・・あそこを、突いて・欲しい・・・」
もう恥も外聞もなかった。目の前にあるモノが欲しくてじれったい。
それが陽子には精いっぱいだった。
「よく言えたな」
そうと見て取って尚隆が鷹揚に微笑む。
「褒美をやろう。おいで」
そう言って陽子の身体を起こした。
腕の戒めがそのままだったので、陽子は身体と足を使って、よじ登るようにして尚隆の膝に跨った。
上から尚隆を見下ろし、腰をくねらせて肉茎の先端を滴るほどに濡れた股間にあてがうと、身体を沈めようとした。
「くぅっ・んん…っ」
なかなか沈めきれない。
既に何度も男のモノを受け入れたことのある陽子の秘所にさえ、尚隆のそれは大きすぎたのだ。
じれながらあてがい直そうとすると、尚隆が陽子の腰を捕まえる。自ら根本を支えて、先端を陽子の入り口にあてて構えた。
尚隆自身にとってもきついのだろう、歯を食いしばって突き上げてくる。
ようやく先端がしっかりとはまり、ずずっと奥に進んでゆく。
「やっと、はいった」
尚隆の口が陽子の耳元にあった。
「熱くてきついな、お前の中は」
囁くように言うと、耳たぶを甘噛みし、うなじから肩に唇をすべらせた。
顔を傾けて陽子の乳首を口でとらえる。
先刻乳を吸ってくれたときとはまるで違う愛撫。
尚隆の大きな掌が陽子の乳房を温かく包み込み、柔らかく揉みあげる。
乳房を両手で支え、息を荒げて乳首に吸い付く尚隆と、後ろ手のままに尚隆の肉茎を呑み込んで腰を振る陽子と。
しばし無言で乳繰り合う二人の荒い息づかいだけが居室に満ちた。
先に達したのは陽子だった。
ただでさえ媚薬で感度を上げられた身体に、あれだけじらされた揚げ句にようやく与えられたモノで、呆気なく気をやってしまう。
「んはぁあああっぁぁぁぁあああああっ」
がくがくと首が揺れ、尚隆の上に崩れ落ちた。
「そんなに簡単にいくな」
まだ限界の来ない尚隆が、陽子の戒めをほどいて自分の首に手をまわさせた。
陽子の中に収めたまま、その尻を支えて立ち上がる。
自分自身の重みで尚隆の肉茎が一気に一番奥まで貫き、陽子は大きな声をあげた。
尚隆の袴と陽子の袍衫が床に落ちる。
そのまま奥の臥室に向かう尚隆が歩を進める毎に、猛った肉茎が秘壺を穿ち、全裸の陽子は男の身体にしがみつきながら声をあげ続けていた。
少しは雑然としている。しかし余計なものがないという点では、臥室もいかにも尚隆らしかった。
窓から差し込む月光は遮るものなく室内を照らしている。
広い牀榻の上。月光が一杯に差し込み、いっそ明るく思えるほどだった。
陽子は仰臥し、手巾を口に噛まされている。
全てを脱ぎ捨てて無駄のない身体を見せつけた尚隆が、膝を立てて大きく開いた陽子の脚の間に頭を置いて、愛液でべとべとに濡れた秘所を舌で清めていた。
さっきまで尚隆の太く長いものを飲み込んでいたせいで、陽子の秘壺は口を開けたままになっている。そこに舌を差し入れて、中をぬぐっているのだった。
緩急をつけてぬぐう舌技の巧みさに、媚薬に侵された陽子はなすすべもない。
大きな声が出てしまうのを手巾で抑えられている。
かつて味わったことがないほどに巧みな舌技は、媚薬の効果と相まって陽子を芯から狂わせた。
尚隆の肉棒が欲しくて欲しくて、陽子は腰をくねらせ、猿ぐつわの隙間からねだるような声をあげ続けていた。
自分の中にあれを突っこみたい、叶わないならばせめて口にくわえこみたい。
しかし、今は身動きもおぼつかないままに尚隆の舌の動きに翻弄され、徒に蜜を溢れさせるばかり。
「乳を迸らせるは、女陰(ほと)から汁を滴らせるは、小娘の身体の割に淫らだな」
口元をテラつかせて尚隆が言う。
言葉で嬲られているのがわかるのに、反応してしまう。
「どれほどに淫らか、よく見せてもらおうか」
尚隆は陽子の尻を持ちあげた。
左右の足を開いて肩に担ぎ上げ、股間をとくと観察する。
既に男を知っているとはいえ、そこは少女らしい、つやつやとした淡い鮭紅色の小さい裂け目だった。
浅黒い肌の色に、鮮やかな紅色が艶めかしく映える。
白珊瑚の粒のような肉芽がきれいに剥けて光っている。
陽子の恥毛は髪よりも幾分濃い赤で、柔らかいもやのように秘所を覆っている。
今ぬぐったばかりだというのに、ぽっかりと口を開いたそこからは、透明なさらさらとした液体が泉のように湧き出ていた。
「実に淫らで、愛らしい」
つぶやくと改めてそこに口を付け、音を立てて吸い上げた。
舌先で肉芽を優しく転がす。
指で花びらをかき分けては口づけを落としてゆく。
我慢できずに鮭紅色のあわいに舌をねじこんだ。
尚隆の言葉に恥じらいと誇らしさを感じてしまう。陽子の腰が誘うように動いている。
「そそられる・・・」
尻を放して、腹につくほどに猛った陰茎を壺口にあてがうと、ぐっと腰を沈めた。
そのまま膝立ちになって送り込み、休ませる間もなく陽子を攻め立てる。
「うっ くっ んっ くっ」
大きく突かれて陽子の腰は背中から浮き上がり、つま先が僅かに衾褥についているだけだった。
「絡みついてくるぞ、陽子。
そんなにこれが欲しかったか」
言いながら大きく腰を回転させ、陽子の膣内(なか)をじっくりと味わっていた。
眉を顰め、手巾を涎で色が変わるほどに噛みしめて耐える表情、白い液体をわき出させ、突くたびに小さく揺れる乳房、引き締まった腹のなめらかさ、入っては出てくる肉茎とそれに合わせて捲れあがるかわいい花びら。
ひとしきり目でも楽しむと、ずるりと自分のモノを引き出す。
陽子が抗議するような呻きを上げた。
「お前には後ろから挿れてみたいのだ」
説き聞かせながら陽子を四つんばいに返して、尻を高く上げさせ、すぐさま突き直す。
「誇り高いくせに愛らしい。
お前のような女が、淫らに乱れ、獣のように交合(まぐわ)うのにそそられる」
尚隆が自分をそんな風に見ていたのかと、途切れがちな意識の中で陽子は思う。
いい、いくらでも、どんなにでも、汚して、動物みたいに、私を、尚隆。
手を伸ばし、陽子の髪を結い上げていた紐を引いて解く。
はらりと広がった髪が背中を覆った。
「どうだ、景麒にも、こうして、かわいがって、もらって、いるか?」
言葉にあわせてひとつひとつ深く突き込んでゆく。
その突きにあわせてぬめった音が漏れる。
当たり所が違うのか、陽子はもはや半狂乱だった。
「腰を、使え。俺が突く、ばかりでは、抱き甲斐が、ない」
いわれて必死に腰を振る。陽子の欲しくて堪らなかったものが、腹の底まで突き込まれる。
尚隆の力強い突きは身体を前に押しだし、陽子は壁に逃れる。
紅い髪の毛の隙間からのぞく陽子の肌が、尚隆を誘って狂わせる。
壁に手をついて身体を起こした拍子に噛まされていた手巾が落ちた。
尚隆が後ろから手を伸ばし、乳房を掴んで頂点をひねりあげた。
もう片方では二人の繋ぎ目や勃起した肉芽を探っている。
堪らずにのけぞった細い肩に噛みついた。
「ぁあっ、ダメっ。そんなにしちゃ、な、尚隆っ。また、いっちゃうっ」
「何度でもいくがいい」
いいながら尚隆もそろそろ限界が近い。
腰を打ち付ける動きが激しくなってくる。
二人の肉がぶつかり合う音が鈍く響く。
「いかせてやる」
口調こそ普段通りだが、息が上がってきているのが判った。
「来てっ、きて、いっぱい頂戴っ」
「いくぞ」
頂点に昇り詰めるための動きが高まる。
陽子のよがり声が、あられもなく臥室を満たす。
「陽子っ」
尚隆が爆ぜた。陽子を深々と貫いた肉茎が大きく痙攣を繰り返す。
二人して横ざまに倒れ込み、大きな身体が陽子の上にのしかかった。
男の重さと熱を全身に受けて、陽子は完全に意識を手放した。
ぼんやりと目を開けた。
広い牀榻には陽子一人だった。
脱力して手足を横向きに投げ出している身体の上には、男物の袍が無造作に掛けてある。
月影が移動していた。
視線を彷徨わせて月光で明暗がくっきりと分かたれた室内を探ると、背もたれのある椅子に深く腰かけた人影を認めた。
上半身は陰の中だが、素肌に夜着をひっかけただけの姿がこちらを見ているのが判る。
「気がついたか」
問いかける声が全身に染みた。
この声の男に散々に貫かれ、身体の中心を突き上げられたのだ。
声を聞いただけで、痺れそうになる。
口づけひとつ交わさず、余計な前戯もなく、ただただ互いの肉体(からだ)だけを貪り合った。
それは陽子には初めての経験だった。
主(あるじ)としてではなく、王だからでもなく、一個の女として肉体を求め奪われる。
圧倒的な力の差で身も心も組み敷かれ、自分が相手に与えることが出来るなどこれまで知らずにいた快楽を、気を失うほどに奪い尽くされてしまった。
・・・延王に、この不埒な男に。
「立てるか?」
問われて身体を起こそうとするが、腰が砕けてしまってままならない。
「ダメなようだ」
答える声は、自分のものとは思えないほどに掠れていた。
「困ったな。
お前のために用意させた客殿の牀榻を使ってもらわぬと、朝になってそば仕えの者たちにいらぬ勘ぐりをされる」
することをしておいて、いらぬ勘ぐりも何もないものだが、本当に困っているらしい様子に苦笑をこぼした。
「手を貸して頂けるなら」
「俺もいささか腰が重いのだがな」
笑い含みにそういうと立ち上がり、尚隆が手をさしのべてきた。
それに手を伸ばしながら
「勘ぐられてはまずいのはお互いさまです。
服も持って行かないと」
「それはそうだ」
無造作に床に散らばった官服を拾い集め、袍に包み込んだ。
「これを持ってくれれば、俺がお前を運ぼう」
「運ぶ?」
「俺の首に腕をかけて」
言われた通りにすると、脇に腕を差し入れて陽子の身体を抱き起こした。
その拍子に乳頭から白い露が一滴こぼれた。
反射的に尚隆が口を付け、ゆっくりと吸い取る。
それが合図だったかのように、陽子の両の乳首からはまたもや乳がぽたぽたと滴り始めた。
二人でしばしその様に見とれてしまう。
「驚いたな。全て吸い尽くしたと思っていたが」
「私も・・こんなのは初めてだ・・・」
「味わってみるか?」
いたずらっ子のような表情で聞くと、答えを待たず尚隆は数滴の雫を舌先に乗せ、陽子の薄く開いた口中に滑り込ませた。
それを唇で夾み、自分の舌で乳を舐め取る。
・・・甘い。
そのまま尚隆の舌を強く吸い込み、舌を絡めてゆく。
首に回した腕に力を込め、男の頭をしっかりと抱え込む。
それまで一度も口を吸ってはくれなかった尚隆が陽子の求めに応えた。
陽子の上に倒れ込むと、大きく厚みのある舌が、陽子の舌を犯すように愛撫する。
それだけで淫らな行為を思わせる湿った音を立てて、二人は激しく貪り合った。
乳首からはまたも乳汁が溢れてきていた。
「こんなに淫らに媚薬に反応する女だとは思わなかった」
陽子のそれから糸を引いて唇を離しながら尚隆が言う。
「がっかりした?」
「どうかな、俺も人のことは言えん」
陽子の下唇を己の唇で夾む。
「知っていたか?
お前の乳に薬が溶け出していたらしい。
途中からは快楽に負けて自制を失っていた」
今度は乳房の先端をねっとりとねぶって尖らせる。
陽子の口から吐息が漏れた。
「この続きを、お前の牀榻でするのも悪くないと思うんだが」
甘くねだるような声音。
「薬抜きで?」
「今更いるか?」
いらない。でも少し考えてみる。
「これ以上したら、身体が壊れてしまう」
だからといって、したくないのだろうか。自分でももうわからない。
「大丈夫だろう。仙は回復が早いものだ」
真顔で言ってのける尚隆に半ばあきれながら、陽子はそれを試してみるのにはいい機会かも知れないと思い始めていた
『後朝〜きぬぎぬ〜』
空が白み始めていた。
臥室の窓の掛け布をおろさなかったせいで、房室の中は薄明るくなってきている。
尚隆は自分の腕を枕に安らかな寝息を立てている少女をじっとみつめた。
こんなに無防備なこの娘の寝顔を初めて見た。
こうしてみるとこの娘の若さが改めて判る。神籍にはいったのが16だったか、17と言ったか。
女になりかけの年齢だ。頬の線にはまだあどけなさが残っていたし、肌のきめそのものが若々しく瑞々しい。
目の下に隈が薄く浮いている。やはり疲れが出たのだろう。夕べは抱きすぎた。
軽く開いた口元が腫れているように見える。
無理もない、口径に余る自分のものをしゃぶらせたり、閉じる間もないほどに貪ったりしてしまった。
小ぶりで未熟だが形の良い乳房は薄赤い跡で覆われ、何カ所かは歯形のようにも見える。小さな乳首は何度も吸ったせいですっかり紅くなって、もしかしたら血が滲んでさえいるかも知れない。
さすがに乳は止まっているか。
それを確かめて苦笑した。
媚薬が及ぼす作用が人によって異なるのは、あれをもたらした山客から聞いていたし、二人の女に試して図らずもその事実を確認することになった。
しかしこんな少女の乳房から乳が湧き出すとは、さすがの尚隆も想像だにしなかった。ましてそれを吸った自分にまで薬の効果が顕れるとは。
この位置からはよく見えないが、恥毛はお互いの性液で固まっているはず。おそらくは秘裂も腫れあがって、しばらくは男のものなど受け入れられまい。
夕べ確かめたこの娘の秘裂の愛らしさを思い浮かべてみる。
つやつやとしてはちきれそうだった。小さな花びらに隠された壺の中までが美しい薄紅色で、そこを何度も目と舌で味わった。
あんなに小さくて狭いところに……。
尚隆は己のものの大きさを自覚している。この五百年、女がいなかった時期の方が短いのだから、それぞれの女が尚隆のものにどんな意見を持ったか十二分に聞かされてきた。
生娘だったら入らなかったかも知れない。少なくともあんなに何度も受け入れはしなかっただろう。会陰が切れていなければいいのだが。
まあ、そもそも生娘だったらあの薬を使おうとも思いつかなかったはずだが。
陽子が寝返りを打った。
腕枕に納めた頭がこちらを向き、右手を尚隆の腰に、のびやかな右足を脚に絡めた。頭の位置は尚隆の脇のあたり、伸ばしたつま先が尚隆の左脛に当たる。
女としてそれほど小柄というわけではない。尚隆が大きいのだ。
可愛い。
改めてそう思った。
この愛らしさにあの芯の強さ。
慶国はよい女王を得た。景麒は今度こそ仕え甲斐のある王を選んだ。
雁としても、これから国同士のつきあいを重ねて行くに当たって、信用のおける相手を得たことになる。
とはいえ、相手が王ではな……。
気に入ったが、そう気軽に抱ける相手ではなかった。
それに陽子には自分の国ですでに何人かの男と関係を持っているようだし。景麒は…、あれは麒麟だ。他のどんな男でも、陽子と景麒の間に割り込めるものなどいない。
しかし、市井の馴染みの女郎達とは十年ほどで別れるしかなかったわけだが、陽子とはこれからも長くつきあえそうだ。教えてみたいことが沢山ある。
城内の厨房では朝の煮炊きが始まる頃だった。
尚隆は陽子を起こさないように用心しながら手と足を外させ、頭の下から腕を抜いた。
替わりに長い抱き枕を持たせてやる。
深い息をついて、陽子がその枕に頬をすりよせた。
牀榻から下りると陽子の上に軽い夜着をかけた。
女っ気の少ない玄英宮では、女官達も腕のふるいどころがない。だから景王は彼女たちのお気に入りの客だった。夜着もおそらくは陽子が来たときのためにと用意してあったのだろう。紅い髪と小麦色の肌に良く映える、浅緑に細かい柄を織りだしたものだった。
一晩で少しやつれてしまった薔薇色の頬に口づけをしたい衝動に駆られたが、次の楽しみにとっておくことにする。
自分の袍を緩く身につけ、陽子の服は椅子の上に掛けた。
今から自分の房室に戻れば、寝乱れた牀榻を疑われない程度に整え、湯浴みをする時間も十分にとれる。
王とは不便なものだな、と苦笑が漏れた。臣下にいらぬ気苦労を与えないように、大雑把なこの俺でもこの程度には気を遣わなければならん。まあ、今度のことは相手の国の事情もあることだし。
客殿の居室には清楚な花をこんもりと生けた壺が飾ってあった。これも女官達の陽子への心づくしだ。俺の部屋には松の枝を一本、どんと生けてあるだけだったりするのに。
……いい臣下に恵まれている。ひいては国民にも恵まれている。
自分に恵みをもたらせてくれる彼らのためにも、王として奉仕しなければならない。
客殿をあとにした尚隆の表情は、すでに一国を背負う王のものに切り替わっていた。
〈 了 〉