金波宮のある夜
 作者184さん

「主上、内密に相談したいことが――」

「わざわざ正寝まで来るなんて用件は何だ?私は疲れた。何かするつもりならお断りだ」
陽子は無愛想に訊いた。夜更けに景麒がわざわざ訪れて来るのは二つに一つ――
それは良くない報せか、或いは――
「つれないことを仰る」

「お前につれないなんて言われると無性に腹が立つな・・・」
そっちか――陽子は思った。大方非常識で落ち着きのない主を身体を繋ぐことで懐柔しよ
うとする肚なのだ、この小賢しい麒麟は。
「一度身体を許したからってお前の女になった訳じゃない。いい気になるな!」

「そうですか、では肝に命じておきましょう。それはさておき話というのは外でもない、
実は非公式にですが近々延王と延台輔がお見えになります」
「何の話だ?近々っていつ?」
無表情に話題を切換える景麒。その意図が読めない陽子は怪訝そうに眉を顰める。

「最後までお聞きを。我が国もそろそろ落ち着いてきたとは言え、安寧にはまだ程遠いの
が実情。民を慮り税を軽くしようにも蓄えがなくては成り得ません。折りしも雁州国延王
のご提案により、非常に高度な取引きの末、援助の確約を取りつけました」
「そんな話は聞いてないぞ」
「私と延王、延台輔の三名にて決めた事ゆえ」
そうやっていつもいつも私を蔑ろにして・・・・陽子は腹立たしく思う。
「いくら私が物を知らないからって何でそんな大事を勝手に決める?・・・・まあいい、
それで?取引きって言うからには何か条件があるんだろう?」
今日に始まったことじゃない、勝手にしろと言った風情で陽子は訊いた。

「条件としては破格です。何しろ主上自らお二方をもてなすだけで良いと」
「何それ?」
陽子は首を傾げて何を考えているのか分からない己の麒麟を見上げる。
「今宵はその為の衣装の試着と予行演習を」
「い、衣装?ちょっと待て!何だか話が怪しくなってきた・・・・・・・・・」
直感的に何やら身の危険を察知した陽子は椅子を引き、立ち上がって景麒との距離を取ろ
うと後ずさった。

「芥瑚、延台輔より預かった例のものを・・・冗祐、主上のお召し替えを手伝って差し上げよ」
陽子はほんの一瞬何処からともなく姿を現した冗祐を見たがそれは音もなく姿を消した。
「な?あ、・・・・ちょ・・・・冗祐!私の身体を勝手に動かすな!・・・・・・・こらー!」
「目の前で着替えられては興が削げると言うもの。私は寝間にてお待ち申し上げる」
そう言い残して景麒は書斎から立ち去った。

「これは一体何の冗談だ?景麒?・・・・まったく、冗祐め、ご丁寧に髪までお下げにしてく
れて・・・・大体いつからお前は許可もなく私の寝間に立ち入れるようになった?」
そこには憮然とした陽子が立っていた。景麒が蓬莱で出会った姿そのままに。
「延台輔が蓬莱で調達して下さいました。是非とも主上のせーらーふく姿を見たいと。
延王もそれは楽しみにしていらっしゃった」
陽子の憮然とした様にも頓着せず景麒はただ服の説明だけを淡々と語った。

「ふん、手の込んだことだ。恐れ入るよ」
言いながら陽子はつかつかと景麒に歩み寄る。その内に怒りを秘めて。
「ですがそれは主上があちらでお召しになっていたのと同じ物、主上にとっては特に恥ず
かしい格好でもありますまい」
涼しい顔で景麒が言う。いくら自分が怒りの様を露わにしてもまるで意に介さないこの
小憎らしい麒麟に、陽子はいささか拍子抜けする。

「それはそうだけど・・・大体こんな物着てお酌をするだけで延王が援助下さる筈・・・・!」

言葉を切らした陽子の顔が見る見る青ざめてゆく。
「そうか、お前私を・・・・・・私を売ったんだな!延王も台輔も私の身体が目当てなのか!」
「蓬莱の娘たちが収入を得るにはそれが理と聞いております」
平然と答える景麒。陽子は地団駄を踏んで抗議する。
「理じゃない!」

聞き分けの無い、と言わんばかりに景麒は溜息をついて答えた。
「私とて身を裂かれる思いなのです。しかし慶の民を思えばこそ、どうかお察し頂きたい」
「心にも無いこと言うな!大体何が予行演習だ!まずは自分が、ってことじゃないか!」
陽子は自分より頭二つほど大きい従僕の胸座を掴んだ。
「嫌と仰る」
冷ややかにに見下ろす景麒。
「当たり前だ!」

「当たり前とはいささか腑に落ちない。私と主上は一度は結ばれた仲」
衫を握る手が一瞬緩む。
「あ・・・・“あれ”はちょっとした気の緩みと言うか・・・・私がめげてた時に、お前が上手い
こと付け込んだからだ!」
陽子には一瞬景麒の唇の端が上がったように見えた。
「あれほど乱れておいて、飽く迄本意ではないと仰るか・・・・ではそう言うことにしておく、
早速始めるとしよう」
「な、何を、私は許すなんて言ってないっ!」
景麒は怒りに震える陽子の手首を掴んだ。
「もう決まったこと。初めから許しを乞う気などない。冗祐、主上を楽にして差し上げよ」
ぞろりとした感覚が手足を伝わり、次の瞬間ふっと全身から力が抜けてゆく。

「あ?・・・・な、何をした?」
言いながら陽子はその場にへたり込みそうになる。
「冗祐にいつもとは逆の働きをさせただけです」
崩れ落ちそうになった陽子を景麒は軽々と抱きかかえ、牀榻に横たえる。

「こんなことしてただで済む・・・・・んぐ!」
「主命には背けぬゆえ、暫くそのお口は塞がせて頂く。ついでにこちらも・・・・・」
景麒は予め用意しておいた布帯を使い陽子の口に猿轡を噛ます。更に別の布帯で目隠しを、
両の手首を牀榻の頭の方の飾り柱に括り付けた。仰向けに寝かされた陽子は両脚以外の自
由をすっかり奪われてしまった。尤もその脚さえも満足に力が入らないのだが。

ご丁寧に履き替えさせられた黒い革靴を脱がせ、床に放りながら景麒は言う。
「このせーらーふくとやら、とても王の着る物とは言えません・・・・・この様に脚を曝け出し
ひらひらと心許無い裳裙など・・・・しかし、主上には不思議と良くお似合いだ・・・・・」
景麒の指先が白い靴下の指先からゆっくりとふくらはぎを、膝を撫でまわす。
「普段は男の身なりばかり、態度もそう、まるで女であることを否定するかのように・・・・
だがこうして見るとやはり主上は御美しく、紛うことなく女であられる・・・・・」

やがて景麒は上着の裾をゆっくりとずり上げた。たわわに実る、とまでは行かないが
充分にその存在を主張している二つ胸のふくらみが姿を現す。そしてそれを覆い隠すのは
純白の蓬莱の下着。その下着に飾られた刺繍を指でなぞりながら景麒は言う。
「本当に・・・・良くお似合いだ」
下着の上を指が這い回る感触に思わず陽子は顔を背ける。
「何も見えないのに意味のないことを・・・・・それ程までに嫌だと言いたいか」

景麒は懐から真新しい筆を取り出す。かなり太目のそれは陽子の物だった。未だ書に不慣
れな陽子はあまり太い筆で物を書くことはしていなかった。

「全く主上は呆れるほど頑物。少しお仕置きをせねば」
不意に陽子は脇腹を掃き上げる毛の感触にびくん、と跳ねた。
「!んっ!んん――――っ!   んむっ!っん゙―――――・・・・」
普通ならばくすぐったさに激しく跳ねまわるところだろう。だが冗祐に力を奪われた陽子
はくねくねと身を捩らせ、脚をぱたぱたと弱々しく振るばかり・・・

力は抜けていても感覚はそのままらしい。延々と続く苦悶の責めに陽子は息絶えてしまう
のではないかとさえ思った。だがそれは不意に途切れ、景麒の声が聞こえた。
「私に要らぬ命令をしないと約束するなら楽にして差し上げるが」
陽子は何度も首を縦に振る。そして口を塞がれていた猿轡も取り去られた。

「っはぁ、はぁ、はぁ・・・・・・はぁ、はぁ・・・・・」
やっと解放された口で荒い息を整える陽子。動ける限りに暴れたせいで太腿まで露わにな
った姿を見下ろしながら景麒は言う。
「少しは素直になられたか?」
「ふ、ふざけるな!今すぐ、ん!んぐ・・・・」
景麒は陽子の口に指を突っ込んだ。
「何と愚かな・・・・一晩中でも苦しみ続けたいと?それをお望みか?例えそうしたところで
もはや人ではない主上はその程度で息絶えることも無いでしょうが」
今度は激しく首を横に振った。景麒が指を抜く。
「はぁ、はぁ・・・・約束する・・・・もう命令はしないから、それだけは勘弁してくれ・・・・・」
「多少態度に問題があるようですが、ふん、まあいいでしょう」
景麒は軽く鼻で嗤う。

「さて、主上がどれほど素直になられたのか確かめてみましょう。腕の戒めを解くのはそ
れからです」
景麒の手が陽子の背中に回され、下着の留め金を外す。

肩紐のない型を用意していたのはこの為だったのかと陽子は今更ながら呆れた。実際のと
ころは目隠しされていて分からないが、今目の前で景麒が自分の露わになった乳房をまじ
まじと見つめている、そう思うと身体がかっと熱くなってくる。

「美しい・・・・」
言いながら景麒は乳房をそっと包み、柔らかく揉みしだく。陽子は身を固くする。
未だ熟しきっていない少女のそれ、そしてこの先もずっとその瑞々しさを失わない果実。

景麒は飽く迄も優しく、ともすれば頼りないほどの弱い力で陽子の二つの丘を愛撫する。
「主上、女性の乳房とは何の為にあるのでしょう?蓬莱でもこちらでも答えは同じかと」
手の動きに同調するかのような穏やかな響きで問い掛ける。
「・・・・・子供に、乳を与える為・・・・」
徐々に陽子の息遣いが深くなる。安らかな心地良さ、でも何かが足りない・・・・
景麒の指先は外側から円を描くように頂近くの濃茶の暈を掠めまた遠ざかる。
「では王と成り、生涯子を授かることも、子に乳を与えることも叶わぬ主上の乳房は?」
「・・・・・・」
景麒は同じ動きを繰り返し、或いは下から持ち上げるかのように乳房を優しく揉みしだき
ながら訊く。だが頂にある更なる快感を呼び起こす呼鈴には決して触れようとしない。
指先が呼鈴を縁取る暈を掠めるたびに一層陽子の息を深く、切なく染めて行く。
「どうした?分からぬと?」
陽子は答えない。そんなこと、口に出して言える訳が無い。

「ならば教えて差し上げよう」
「ひぁっ!」
景麒の指先が愛撫を心待ちにしていた両の乳首をきゅっと摘まんだ。陽子の身体に疼きと
も痛みともつかない電流が奔り、身体がびくん、と跳ねる。
「主上のここは何の為にあるかと訊いている!」

「・・・・ん、やぁっ・・・・・あん・・・・」
くすぐられ、転がされ、摘まれるたびに意志とは裏腹に声が漏れてしまう。
「子に乳を与える為のものにしては随分とおかしな声を上げられる」
その声には多分に嘲りの笑いが含まれている気がしてならず、陽子は屈辱に震えた。

「すっかり固くなってしまいました。解してあげましょう」
景麒は指の腹で捻りつぶす様にそれを――容積を倍ほどに増し、つんと固く上を向いた
陽子の胸の蕾を乱暴に揉み解す。
「あ・・・いやぁ・・・・あぅ」
痛みと快感が綯い混ぜになり陽子は子猫のような泣き声をあげ、身を捩った。
「ご気分でも悪いか?」
「最・・・低・・・・・」
陽子は精一杯の虚勢で吐き捨てた。誰が気持ちいいなどと言ってやるものか。
「それでこそ我が主。そうでなくてはこちらも遣り甲斐がない」
景麒は北叟笑む。

刺激が止み、上半身に覆うようにあった景麒の気配が遠ざかる。赤黒く膨れ上がった蕾に
残る痺れと共に陽子は身体が疼き出すのを感じていた。
そして自らの意志とは裏腹に、じわりと融け出した蜜が滴となって溢れ出すのを。

景麒の気配が足許に移動して蓬莱の裙をめくり上げていた。
「主上、大変なことをしてくれましたね。この蓬莱の下着は延台輔が体を張って手に入れ
られた雁国の秘宝。それに染みをお付けになるとは・・・・どういうおつもりか」
足許から声がする。
「つもりって・・・・・だって私は・・・・違う、お前のせいじゃないか!」
「何故?そもそもこの染みは何ですか?どう言う理屈で私のせいだと仰るか説明を」
「そんなこと・・・・・知らない」

「自分の置かれている立場というものが未だ分かっておられないようだ。そうやって白を
切るつもりなら・・・・」
「ま、待て!つまり・・・・それは・・・・・・汗だ」
「ほう?汗、ですか・・・・・ならばどのように汗が出るのか検証させて頂く」
景麒は陽子の純白の下履きに手を掛ける。それをするりと抜き取り、大きく脚を開かせる。
「あっ・・・・」
「主上のここを見せて頂くのは初めてでしたね。このように充分な灯りの下で検分させて
頂けるとは恐悦至極」
「やだ・・・・・」
目隠しをされていても牀榻の周囲が妙に明るいのは分かった。
「主上の女の場所は綺麗で、いやらしい」
景麒の息が陽子の太腿の付け根辺りに生暖かく当る。間近で見られている。そう思うと顔
から火が出るほど恥ずかしかった。

だが景麒は見入っているだけで何もしようとはしない。
時には指で陽子の扉を広げ、花弁に隠されていた内奥を覗き見る。その度に陽子の身体は
湿った音を小さく響かせた。それでも景麒は花弁にもその奥にも決して触れようとはせず、
ただ脚の付け根や髪よりはやや濃い赤褐色の織毛を撫でたりするだけだった。

陽子はじれったさに駆られ、半ば投げ槍に口走る。多分に別の意をこめて。
「触りたいのなら、触ればいいだろう」
「ふっ、そんな手に乗るとでも?お願いすれば触って差し上げても良いが、如何か?」
「・・・・・・・」
「まあいいでしょう。ところで先ほど使ったこの主上ご愛用の筆ですが」
ぴくり、と陽子が身動ぎする。
「どうも書き物に使われた様子がない。しかも置いてあったのは書斎ではなく其処の卓子
の引出しに・・・・」

言いながら景麒はおもむろに敏感な陽子の桃色の真珠にそれをそよがせる。
「ひぁ!・・・・ん・・・・あんっ」
秘裂をなぞり、真珠を掃き上げる度に穂先は湿り気を帯び、徐々に収束して行く。
「これは高価な物、しかも書を書く為にある。それをこのような戯れに使われるとは困っ
た御方だ・・・・」
「そんなこと・・・ぁ・・私・・・して・・ない・・・んっ、あ!ひぃっ!」
指で押し広げ剥き出しにした真珠を筆先でくすぐる景麒。
「この筆には主上のここと同じ匂いが染み付いておりましたよ」
「!・・・・・そ、そんなの・・・知らない・・・あ、はぅ」
景麒は更に筆を細かく振動させる。
「ぁ、あ、あ、あぁ―――っ!」
陽子は一気に高みへと上り詰め掛け、両脚を突っ張る。たが頂きを目前にしたところで筆
先は遠ざかった。
またしても中途に置き去りにされたことに陽子は苛立ちを覚えていた。だが同時に気付い
てもいた。焦らされることで今までの何倍もの快感を得られることに。
そうして次に来るであろう更なる快楽にいつの間にか期待している自分に。

そんな陽子の心中を察してか知らずか、景麒は陽子の目隠しを解いた。
陽子は眩しさに目を瞬かせる。それ程までに煌煌と灯火が灯されていたのだ。
陽子は思い出したように投げ出した脚を擦り合わせ、頬を朱に染め顔を背けた。

「そろそろ直に触って欲しいのでは?それとも・・・・貴方の“汗”をこの私の舌で舐め取っ
て差し上げようか?」
景麒の意地悪な問い掛けに陽子は無言で首を横に振った。

「全く強情な御方だ。ではご自分でされているようにこの筆で良いのですね?」
景麒は陽子の答えを待たずに脚を開かせ再び筆を遊ばせる。

「は、ぁ・・・・・」
「こうやって自らを慰めていらっしゃったのですね?・・・・」
陽子は答えない。だがもう否定もしなかった。景麒の前には何も隠し通せない。就寝前、
それを使った切なく淫靡な一人遊びはもはや日課と呼べるほどになっていたのだから。

筆の動きは打って変わってごく単調に、ただ所在無く撫で回すだけになっている。
――足りない、もどかしい・・・・もっと早く、もっと激しく尖ったところを擦って!――
言葉にする勇気はないが、無意識のうちに陽子は腰をもそもそと揺らしていた。

「欲しいのでしょう?もっと」
耳元に囁く景麒の声に促されるように陽子は頷く。
「では言って下さい。どこを、どうして欲しいのか」
「そこ・・・・じかに・・・・して欲しい・・・・・」
消え入るような声でそれだけ言うのがやっとだった。だが景麒は冷たく言い放つ。
「そこでは分かりません。はっきりと仰い・・・・そう、蓬莱の言葉で」
「い、言えないよ・・・・そんなこと・・・・あっ!」
いきなり景麒の指先が僅かに陽子の扉を潜り抜けた。だが指は浅く潜ったまま動かない。
「いつものように命令されればよろしかろう」
陽子は恨めしそうに景麒を睨んだ。
「だってさっきは・・・・」
「今だけは結構ですよ。遠慮無く何なりと申し付け下さい、美しい私の主よ・・・・」
景麒は空いた手で陽子の髪を撫でる。
「ずるい・・・・・そんなのずるい」

陽子は潤んだ目で抗議する。こんなにまで辱められているのにもう止めよとも言えない、
そんな自分が歯痒く、何故か愛おしくもあった。
「ご用がないのならこれで失礼する」

手をそこから離そうとする景麒。その従僕の手首を陽子は掴む。その耳に主の声が響く。
「主命を遣わす」
震える声で言った。
「私の・・・私のおまんこ、触って、舐めて・・・・景麒のおちんちん入れて欲しいの!」
「御意に・・・・」


「あっ!そこ駄目・・・だめぇ・・・・」
「ここがそんなによろしいか」
景麒は深く浅く陽子の反応を確かめるように腰を使う。
「ち、ちが・・・・だめ!・・・・・変に・・・なりそう・・・・・いやぁっ!」
泥濘を歩くような音が陽子の歓喜の哭き声と交じり合いながら広い牀榻に何度も響く。
陽子の脚は景麒の腰に絡み、しっかりと捉えて離さない。
「こんなに溢れさせて」
「そんなこと言ったってぇ・・・・・いや!もうだめ!あ、あ、あ―――――っ!!」
全身を硬直させながら陽子は達し、そしてぐったりと崩れた。

「随分と派手に濡らしてくれた」
手首の帯を解かれ、漸く全ての服を取り去られ、陽子は抱き起こされた。陽子は今更なが
ら裸にされたこと、そして景麒の指差すそこを見た恥ずかしさに思わず顔を背けた。
陽子の尻のあった辺りの敷布がぐっしょりと濡れ、その色を濃くしている。
それが自らがあられもなく乱れ、溢れさせた歓びのしるしだと思うと居た堪れない。


「主上は殊の外満足された御様子。ですが私は未だこの有り様だ」
それはまだ天を仰ぐように熱り立ち、びくんと脈打っている。陽子はそれをちらりと見遣
り、そして目を背けた。身体の奥で消えかかっていた火が熾火のように再び紅く燃え出す。

景麒は腹這いになり、生まれたままの姿となった陽子の股間に顔を埋める。
「あ・・・ん」
陽子は自由になった両手を景麒の頭に添えた。景麒の舌が陽子の花園を散策し、真珠を磨き上げると、陽子は仰け反る身体を何度も景気の顔に押し付けた。
「はぁぅ・・・・ひっ・・・・・いぃっ!」
景麒は身体を入れ替え仰向けになる。陽子は意を察して景麒を跨いでその顔に自らの秘所を近付ける。そして勢いを失わずに脈打っている景麒を口に含んだ。
静まり返った夜更けの寝間に猫が水を舐めるような音と陽子の時折悩ましげになるくぐも
った吐息だけが聞こえてくる。

景麒は頃合いを見計らって――ずっと狙いを付けていた、だが敢えて触れもしなかったそこ――陽子の可憐な菊の蕾に舌を這わせた。
「あっ?!そこは・・・・・だめだ!そんなとこ・・・・汚い・・から・・・・だ、めぇ、あ、あぁん」

唾液を擦り込むように丹念に舐め上げる。口では嫌がった。何より顔を覆い隠して逃げ出
したくなるほど恥ずかしい。なのに何故か抵抗できずに陽子は目を閉じ、心ならずも蕾に
這いまわる舌の奇妙な感覚をつぶさに感じ取ろうとしてしまう。
陽子は景麒の肉樹を舐ることも忘れ、思いも拠らなかった場所に這いまわっている舌の感
触に翻弄された。
「んっ、・・・・・・あ、や、汚いよ・・・・だめだってば・・・・・いけない・・・・・景麒・・・・」

景麒は舌を尖らせ、きゅっと締まった蕾にねじ込んだ。入口をくぐり抜けるまでは、押し返されるようなきつい抵抗があったが、ぬるん、とそこを抜けると後は意外にもすんなり
と奥へと進んだ。
「あ、あぁん・・・・・・い、いやぁ・・・・・」

そこへ初めて男の舌の侵入を許した陽子は想像すらし得なかった甘美で倒錯的な快感に身
をくねらせた。景麒は舌をゆっくりと出し入れした。
「あ、ああん、何?・・・・・・・あ、あっ、ちょっと待っ・・・・・や、やぁぁ・・・・」

景麒は舌が痺れて感覚がなくなってしまうほど陽子の可憐な菊の蕾を責め続けた。
「あはぁん・・・・いやぁぁ、もう、もうだめ!変になりそう・・・・・・・・」
陽子はあられもない痴態には不似合いな可憐な三つ編みの髪を振り乱しながら、蕩けるよ
うに延々と続く甘美な感覚にどっぷりと浸かっていった。

やがて景麒が顔を離した。陽子は肩で息をしながら景麒の身体の上に突っ伏している。
「後ろも随分と具合がよろしいようで」
「・・・・そこは・・・・駄目って言ったのに・・・・」
陽子は顔を伏せたまま答えた。
「だが決して止めろとは言われなかった」
言われて陽子はどきりとし、ひどく赤面した。消えてしまいたいほど恥ずかしい。

だが陽子の身体は如実にその歓びの様を示している。ぽってりと充血して膨らんだ花弁が
蠢いていて、奥からは愕くほどの量の歓びの雫を溢れさせ、透明な糸を引く様に太腿を伝
っている。陽子の大切な宝石はひどく大きく膨れ上がっている。景麒は肉棒に力が漲って
くるのを感じていた。

「獣の格好になりなさい」
憑かれたように陽子は景麒に命じられるまま、ゆっくりと四つん這いになる。
景麒は溢れ出す陽子の蜜液をたっぷりと幹に塗りつけると陽子の茶褐色の蕾にあてがった。
「ちょ、ちょっと待って・・・・・そこは!」
陽子の顔が恐怖に引き攣る。

「力を抜いていないと痛い思いをする」
執拗な舌の愛撫で十分柔らかくなってはいるものの、かなり強い抵抗がある。
「だ、だめ・・・・お願いだからや」
最後まで言わせず景麒は腰に力を入れ突き出した。
亀頭の先がねじ込まれ、陽子が悲鳴をあげた。
「あっ、い、いたいっ、・・・・だめっ!そんなの無理・・・・入らないよ」
陽子は尻を捻って逃げようとする。景麒はそんな陽子の腰を抑えつけると熱きり立ったも
のをゆっくりと沈めて行く。
「ひぃぃっ!」
「入りました」
「ああっ、痛い・・・・」
苦痛に陽子の表情が歪む。景麒はじっと動かずに陽子が落ち着くのを待った。

「まだ痛みますか?」
「少し・・・・・でも何だか変・・・・」
痛みは和らいできた。圧迫感がある。だがそれだけではない。身体の奥が熱い。
「動いてもよろしいか」
陽子はこくん、と無言で頷く。さんざん虐められ、挙句こんな酷いことをしておきながら
自分を気遣う景麒が何だか無性に可笑しかった。
景麒がゆっくりと腰を引く。
「あ・・・うぅ」
景麒が動くたびにもう一つの洞が疼く奇妙な感覚、そして何より後の穴を犯されていると
言う背徳感が陽子の中に新たな波を呼び起こす。

「お尻が、熱いよ・・・・あっ・・・・んんっ・・・・・はぁん・・・」
どうしてこんなに感じてしまうのだろう。恥ずかしいのに、苦しいのに、気持ちいい。
「貴方は今何をされている?言って御覧なさい」

「・・・私の・・・んっ・・・・お尻の穴に、あぅ・・・・・景麒のおちんちんが入ってる・・・・あっ」
得も言われぬ愉悦の波に身を任せる陽子は途切れ途切れに恥ずかしい言葉を吐き出す。
「ああぁ・・・・いいの、・・・・・すごい・・・・・お尻の穴が感じるの・・・・・もう、変になりそう」
自ら発した言葉に陽子は更なる快感を呼び覚まされる。

蜜壷から溢れ出した溶液がぺたぺたと当る景麒の袋に纏わりついて糸を引く。
「景麒・・・お願い・・んっ・・・もうすぐなの・・・・前の方も・・・・・あ、あん・・・・弄って・・・・」
景麒は長い肉幹を抽き挿ししながら指先を陽子の蜜壷に挿し入れる。
「あ、いぃっ・・・・気持ちいい!・・・・・あ、あ、あ、もっと!」
指先が既に硬くなっている陽子の真珠を軽く摘んだ。
「あ、あっ、だめっ、いくっ!いっちゃうぅ!」
「くっ・・・・主上!・・・・・」
陽子は一気に昇りつめ、がくっとくずれ落ちる。後の窄まりがひくひくと痙攣し、呼応
するように景麒も溜まりに溜まった己の欲望を夥しく陽子の中に放出した。
景麒は陽子の身体を抱きかかえて腰を下ろした。この夜初めての口づけを交わしながら。

「達してしまわれたか?」
陽子は答えなかった。聞えていなかったのかも知れない。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・・」
景麒はまだ繋がったままの陽子の腰を持ち上げ、肉棒を退けた。敏感になっている陽子の
身体が摩擦に反応してびくっと跳ねる。牀榻に身体を投げ出した陽子の息遣いに合わせて
可憐な蕾が呼吸している。やがてそこから自らの吐き出した白い粘液が溢れ出すのを景麒
はただじっと見詰めていた。

煌煌と牀榻を照らしていた灯火もいつしか消えていた。ただ澄んだ夜空に輝く眩しいほどの
月明かりだけが青白く部屋に射し込んでいた。


「どうやらこの趣向は主上にも愉しんで頂けた御様子。宴が楽しみです」
「・・・抵抗できなかったんだから仕方ないじゃないか!身体が勝手に反応しただけだ・・・・」
食い付く様に陽子は景麒をねめ上げる。
「抵抗しようと思えばいくらでも出来た筈、冗祐などとっくに退がらせていますが?」
「!!・・・そんな・・・いつから・・・・・・」
「くすぐっている間に。今までろくに抵抗もせず、辱められるがままにいたのは全て主上
ご自身が自らの意志でなされたこと。本当は愉しまれていたのでしょう?」
「そんな・・・・・私、私は・・・・」
力無く項垂れる陽子。陽子は景麒の勝ち誇った高らかな笑い声を初めて聞いた。

不意に涙がこぼれた。
――憎たらしい。女の身体を知り尽くし、主である自分を翻弄し続けるこの従僕が。
そして悔しい。思うにままならず快感を貪る自分の身体、いや心が――

――私は堕ちて行く・・・・辱められ、汚されて・・・・でも・・・私はそれを望んでいたのではない
か?・・・・そう、確かにそうかも知れない・・・・・・だって良い子でいたい、在り続けたいと願
っていた私はこの世界にはいないのだから ――

−了−

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