作者:504さん > 686-688,738-740

「お前はどうしていつも言葉が足りないんだ!朝議で恥かいたじゃないか!」
「申し訳ありません」無表情で謝罪する景麒に陽子は再び声を荒げかけたが思い直し、不敵な笑みを浮かべる。
「まあ、とりあえず今日の報告をしろ」
急に態度を変えた主の姿に眉を顰めつつも、景麒は言われた通り報告書を読み上げていく。しばらく黙って聞いていた陽子だったが、長椅子に座ると景麒を手招きする。
「?主上?まだ報告は終わっておりませんが…」
「いいからそこに跪け」言われるまま膝を折った景麒の髪を掴んで自分の方に引き寄せる。
「あ…あの、主上…?」
少し強く引っ張ったので多少痛い筈だが、微塵もそんな様子を見せない景麒に、陽子は不満そうに呟く。
「つまらないな…」幼女のように口を尖らせると、懐から黒い革紐のようなものを取り出す。
「景麒、お前にこれをあげるよ。私の前ではちゃんと付けてるんだぞ」
にこにこと笑いながら言う陽子に、景麒は混乱する。
「主上…それは何に使うものなのですか?どこに付けるんです?」
「お前、本当にお坊ちゃん育ちだな。首輪以外の何に見えるんだ?」
馬鹿にした様に言う陽子に、景麒はおずおずと言う。
「それを私が付けるんですか?失礼ですが主上、それは普通動物に付けるものでは…」
全く状況を理解していない景麒の金の鬣を弄びながら、陽子は言う。
「お前は、私の下僕だよな?自分でそう言ってたよな?」
「はい」事実なので景麒は頷く。
「蓬莱では下僕にこうする習慣があるんだ。それともまさか、私が間違ってるとでも?私に逆らうのか?
 せっかく景麒の為に用意したのに」
 景麒は慌てて首を振る。
「いえ、とんでもございません。主上のお好きなようにして頂いて結構です」
「ふふ、そうか、じゃあ付けてやる。動くなよ」
そう言って景麒の白い首筋に黒い革紐を巻きつける。ひんやりとした感触に景麒は身震いする。
陽子は長椅子から立ち上がると、革紐を引っ張って跪いたままの景麒を立たせる。苦しいのか、微かに顔を歪めた景麒に陽子は再び微笑んでみせる。
「よし、じゃあ仕事に戻るぞ。報告の続きをしろ」
「…このままで、ですか?」こんな姿を誰かに見られたら、と景麒は気が気でない。
人払いはしておいたのだが、黙っていた方が面白いと思い陽子は革紐を引いて促す。
さすが景麒というか、何事もなかったように仕事を再開する。
「…苛めがいのある奴だな…」
ぼそっと呟く陽子。
「…は?何とおっしゃいました?」
景麒の問いを無視し陽子は机に身を乗り出す。
「なあ景麒、今どんな気分だ?」
政務とは関係のない事を言い出す陽子。
「どうと言われましても…普通です」
陽子の不満が募っている事も知らずに、面白くない答えを返す。
「犬みたいに首輪つけられて楽しいか聞いてるの、どうなんだ?」
(主上は何を仰っておいでか?しかし蓬莱では一般的な事なのだろう。せっかくの主上の心遣い、喜ばなければならないだろう…)そう判断した景麒は陽子の問いに頷く。
「ふーん…嬉しいんだ。本当にそう思ってる?」
「もちろんでございます」訳が分からないがとりあえず肯定する。
「いい子だな。ご褒美にいい事を教えてやる。…さっき言った事は、嘘だ」
「はあ?」
思わず間抜けな声を出してしまい、景麒は慌てて口を塞ぐ。
(嘘?さっき?主上は一体何の事を…?)
「鈍い奴だなあ。首輪なんかつける訳ないだろ。そんな事するのは、一部の変わった性癖を持ってる人間だけだ。
 …こっちの世界にもSMってあるのかな?」
陽子の言葉に、一瞬ぽかんとした顔をしたが、途端に顔を真っ赤にする。
「…な…性癖……首輪……えすえむ……」
どうやらこちらにも、それに該当する言葉があったらしく、きちんと景麒にも翻訳されていた。
慌てて首に手をかける景麒だが、それより早く陽子は革紐を引いて再び景麒を跪かせる。
「…あっ…主上、お止め下さい!…」
「い・や・だ」
そう言って景麒の顎に手をかけ、紫の瞳を覗き込む。
「私に恥かかせて怒らせる様な真似したんだから、ただで済むはず無いだろう?」
そう言い放つと、陽子は跪いた景麒の前に足を差し出す。
「ほら、つま先にキスして」
陽子の言葉に景麒はますます顔を赤らめるが、主命には逆らえず、おずおずと陽子の足に唇を落とす。
それを満足そうに見る陽子。命令に従った景麒が陽子を見上げると、陽子は跪いたままの景麒の身体中を足先で弄るように突付く。
「…主上……」
ためらいがちに言う景麒に向かって無邪気に微笑んでみせると、陽子は景麒の一番敏感な部分を服越しに右足で軽く踏みつける。
「…あ…っ…しゅ、じょう…お戯れはもう…」
きれぎれに言う景麒だが、陽子はそのままゆっくりと力を込める。
「お前、何でこんなに硬くなってるんだ?私は何もしてないのに。第一今は政務中だぞ、お前は政務中に主の姿を見てこんな風に欲情するのか?」
「景麒のせいで朝議で大恥かいて、私は今ものすごーく機嫌が悪い」
陽子が柔らかい室内用の布靴越しに踏みつけると、官服越しでも景麒のそれが硬く立ち上がっている感触がはっきり分かる。
少し力を入れ、踏みつけたままの足先を動かすと、さすがに堪らないらしく、思わず景麒は自分自身を踏みつけている陽子の右足に手をかける。                 
「お仕置きされたいのか?」
陽子の言葉に景麒は慌てて手を離す。主の言う「お仕置き」がどんなものか想像がつかなかったが、今の状態を考えると何となく酷い事をされそうなのは予想出来た。
「しゅ…じょう、お願いですから、…もう…お止めくださいっ…朝議での事も、お詫び申しあげますから…っ」
「そう言われても私の怒りは収まらないんだよなあ。……それより、景麒のコレをどうにかした方がいいんじゃないか?麒麟のくせに王の前でこれはないんじゃないのか?」
そう言いながら陽子は踏みつけている景麒のモノを、つま先で軽くさするように愛撫する。
ますます赤面し息を乱す景麒に少し満足したのか、陽子は幾分表情を和らげた。     
「…あの…どうすれば許して頂けますか…?」
恐る恐る聞く景麒。
「うーん…どうしようかなあ…景麒はどうされたい?」
本当に苛めがいのある奴、と一人ごちりながら陽子は言ってみる。
「…もう政務に戻りたいのですが…」
どこまでも乙女心、もとい女王様心理を理解していない時点で、景麒のこの後の運命は火を見るより明らかだった。
「だめ。ほんと、お前のその気の利かなさは筋金入りだな。上手に奉仕できたら、朝議での事は許してあげる」
「ほ…奉仕…でございますか……?」
(奉仕?私はいつも主上に忠実にお仕えしているというのに…一体何の事を…?)    
予想通りさっぱり分かっていない景麒に陽子は不敵に微笑むと、ようやく景麒のソレから足を離す。寝台まで革紐を引いて引っ張っていき、柔らかい褥に腰を下ろすと跪いた景麒の金の鬣を撫でてやる。
先程までとは打って変わって優しい愛撫に戸惑ったが、さすがに鈍い景麒にもこの状況からどう奉仕すればいいのか分かった。
「ほら、早くやってご覧」
革紐の端を握ったまま、どこまでも無邪気に言う陽子。
「…はい…」
命じられるまま、景麒はぎこちない手つきで陽子に手を伸ばす。
帯紐を解き、手を滑り込ませて柔らかい乳房をおずおずと揉み、頂を口に含んで舌で転がす。
「…んっ……」
陽子が甘い吐息を漏らすと、景麒は更に強く吸い上げる。
太腿に指を走らせ、陽子の紅の繁みを指で掻き分け、秘部をぎこちなく舐め上げていく。
「…あっ…んん…全く…お前は、下手…だな…浩瀚の方が…上手そう…だ…」
「…も、申し訳ありません……」
からかう様に言う陽子に、生真面目に謝る景麒。    
(景麒を苛めるのがこーんなに楽しいとは思わなかったなー)などど思う陽子。
「お前が私を満足させられなかったら、浩瀚を呼ぼうかなあ」
「…っお止め下さい……!」
本気にしたのか慌てたように景麒を見て、陽子はくすくす笑う。
「――――もう、いいから来て」
じれったい愛撫に業を煮やした陽子は、金の鬣を掴んで丹念に舐めていた景麒を引き離す。
促されるまま景麒は、もう充分に濡れそぼっている陽子の秘部に景麒自身をあてがい、ゆっくりと挿入する。
「……ああ…っ…」
充足感に陽子は切なげな声を漏らす。
景麒は陽子の機嫌を伺いながら動き出す。淫らな音が室内に響き、陽子は手に持ったままの革紐を思いきり握り締める。わずかに首が締り景麒は眉を顰める。
「…は…あ…っ…私がいいって、言うまで、出しちゃだめだぞ…できなかったら、お仕置きだからな…っ…」
歓声を上げながらも陽子は景麒にそう言い放つ。
「…しゅ、じょう…っ…」
きつく締め上げる陽子に今にも達してしまいそうだったが、どうにか堪え景麒は激しく腰を突き上げる。
「…あ、ああああっ……っ」
ひときわ高い声を上げ、陽子の身体が一瞬反り返る。
陽子の奥が収縮し強く締め上げられ景麒も堪らず欲望を吐き出す。
しばらく快楽の余韻に浸っていた陽子だったが、寝台に身を起こすと、呆然としている景麒ににっこり微笑んで可愛らしく言った。
「我慢できなかったんだから、後でお仕置きだからなw」

 



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