「主従2-1」 作者:336さん >603-611


「浩瀚…も、もう許して…」
「許す?主上が私に許すなどとおっしゃられてはいけません」
「で、でも…」
「お許しを請うほどお辛いのですか」
辛いとはそれもそのはず、陽子の体は自分で支えているとは言い難いような格好をしていた。
人気のない、薄暗い書庫の中の、まだ奥の片隅の暗がり。そこに二人は居た。
陽子を後ろから抱きしめる形に浩瀚は立っている。
陽子の前の合わせからは褐色の形の良い、右の乳房が零れだし、浩瀚の両腕が陽子の脇に体重を支えるために差し込まれている。
それもそのはずで、陽子と床を繋ぐものはなく、時々、爪先が引っ掻く様に掠めるくらいである。
自らの重みを支える効果すらも発揮しない足を、ぴんと伸ばし、掴む所のない手は虚空を彷徨う。
浩瀚が陽子を支えているのは腕だけではなく、腹につくほど反り返った太い宝刀が、陽子の蜜壺を貫いていた。
「く…ふぅ…こ、浩瀚、苦しい」
「私の胸中はもっと苦しく、主上におかれましてはお察しして頂きたく…」
支えていた腕を少し下げる。
「ひゃぁぁああ」
奥まで入っているものが、より奥へと行こうと、陽子の奥口をこじ開けようとする。
「いやぁぁああっ!」
「悲鳴をあげるほどよろしいのですか」
「ち、ちが…」
腕を持ち上げ、入り口付近にまで宝刀をゆるりと引き抜くと、緊張しきった体が弛緩し、あからさまにほっとした溜息が浩瀚の耳を打った。
大人気ないと思うも、その溜息が鼻につき、支えている腕の力を抜く。
「っ!!」
悲鳴すら出ない。空を切っていた手はぎゅっと堅く握られ、白くなった。
これまでの行為で、潤みきっていた蜜壺は、浩瀚の物をた易く飲み込み、溢れ出す蜜によって滑らかに出し入れをすることが出来たが、今回は意識してなかっただけに、陽子の体に負荷を与える。
突き刺された奥口は浩瀚のものを弾き出そうとひくひく動き、宝刀を刺激し、狭い蜜壺の中は浩瀚の居場所は無いとばかりに、ギチギチ締めあげる。
陽子は意識を手放すにも、手放せないほどの衝撃に、涙を浮かべて耐えた。
ようよう喋れるようになって、発した言葉は浩瀚を責めるものだった。
「こ、浩瀚…酷い………」
その言葉を聞いた浩瀚はやんわりと微笑み、陽子の脇を支えていた腕を、赤裸々に零れ落ちている胸元へ持ってゆき、以外に華奢な体を掻き抱いた。
「酷いのはどちらのほうですか?どうして、私をお誘いくださるのです?」
「な…何の事…?」
想像もしていない浩瀚の問いに、陽子は朦朧とした頭で応える。
「主上…昨日は宝物庫で景台輔と何をなさっておられましたか?」
昨日…?
宝物庫…?
陽子は霧がかかっている頭で昨日の出来事を反芻する。
はっきりとしない記憶を辿り、行き着いた答えに、陽子は真っ青にならざるを得なかった。
「あっ…」
「思い出されましたか」
「あ、あれを…どうして知っている!?」
さんざん景麒に弄ばれ、獣のように後ろから突かれ、最後は自らが快楽を求めるために景麒の上に乗って、いやらしく腰を振った。
下から疲れるたびに嬌声を上げ、涙を流し、そして幾度も達した。
「浩瀚…あれを…」
「えぇ、最初から最後まで見ておりました。最初から私は宝物庫に居ましたが、主上はお気づきになられなかったのですね」
景台輔はご存知のようでしたが…。
最後に続く言葉は喉の奥に飲み込み、昨日自分を見ていた台輔の突き刺すような視線を思い出す。
「しなやかな肢体を投げ出し、痴態を繰り広げられる主上はとても、お美しかったですよ」
浩瀚の言葉は陽子の耳には届いていなかった。
景麒と…麒麟と、王が、交わっている、その現場を見られた。
その浅ましい姿を浩瀚に見られた。
女郎の女のように髪を振り乱し、腰を振り、貪欲に精を貪り、牡を受け入れる悦びに打ち奮える。
そんな浅ましい自分を見られた。
今も下から浩瀚に貫かれ、背筋を駆け抜ける電流に意識を任せ、王としての使命をかなぐり捨てて男に支配される悦びを味わっている。
浩瀚に景麒との濃密な時間を見られたという羞恥。余りにも恥ずかしく、今の悦びすらからも王たる意識が目覚める。それと同時に、下半身は濃密な痴態を視姦された嬉しさにきゅっと狭くなるのを陽子は感じた。
相反する二つの思いが陽子の頭を駆け巡る。恥ずかしさと、嬉しさと。
そんな自分が汚らしく、酷く醜い。
自分を毛嫌いすることですら今の陽子には快楽として認識されるのか、浩瀚を咥えている秘所からは蜜が流れ落ち、明らかに高価であると分かる浩瀚の生地に色の変化を与えていた。
「よろしいのですよ…」
陽子の形の良い乳房が浩瀚の手の中で形をかえる。
指先が乳首を刺激し、ツンと立った乳首を指の腹でコリコリと潰す。それだけで甘い吐息が唇からもれる。
「ふぁぁ」
「私は貴女と肌を合わせることが出来るのならば、貴女が台輔と交わっていても良いのです」
このような淫らな貴女を今自分が独占している。
「貴女のことを考えるだけでほら、このようになるのです」
そう言うと浩瀚は陽子の中に沈み込んでいたモノをずるりと引き抜く。
「やぁん」
太い肉棒を引き抜いた跡が、ひくひくと蠢き、まだ閉まりきっておらずぽっかりと小さな穴が開き、そこからとめどなく蜜が溢れて服の染みを大きくしてゆく。
「足りないでしょう?」
「や…」
「少しも満足しておられないはず」
「そ、そんなことは…ひゃぅ」
そっと腹をさすっていた指が、壺へ差し込まれる。
「二本咥え込まれましたよ?」
人差し指の腹で天井を擦り、中指が床を押し下げる。一箇所堅く、ぐりっとした場所を擦り奥を突く。
「あぁ、あぁぁぁああっ」
「ここが宜しいのですか?そのようですね。ご覧ください」
涙で潤んだ緑の瞳の前に、大きな手が差し出される。その手はぐっしょりと濡れていて糸を引いていた。
「さらさらした透明の液体ですね…」
少し達したという証拠。
「どうされますか?」
「え?」
「満足されたいのでしょう?それともこれで止めてしまいますか?」
止めるつもりなどさらさら無いが、自分も陽子から求められたい一心か、台輔に嫉妬したのか…浩瀚は理解しきれない心情に苦笑を禁じえない。
いつもとは違う浩瀚に陽子は戸惑いながらも、潤んだ瞳で浩瀚を見上げながら口を開く。
「続けて…」
「私にも台輔にお教えられていた事をしていただきたいのですが?」
「え…あ…れ……を…」
「していただけませんか?」
笑っているような表情に強い口調。有無を言わせない冢宰の眼差し。
陽子は埃っぽい印象を受けるが、掃除が行き届いている床に膝を落とす。
浩瀚を直視できない視線も床へと落とすが、目前の床には自らが零した跡たち。
膝を折り、柔らかな尻も床へ。ひんやりとした感触。ざわっと鳥肌が立つのが分かる。
左手で上半身を支え、立ち上がった乳首は天井へ反り返るように胸をはる。
閉じていた膝の奥が浩瀚から見えるように大きく開け、右手で蜜壺を左右いっぱいに広げた。
今日始めて自分のモノを触る。どろどろに蕩け切リ、淫乱の証の蜜を多量に吐き出しているそこに指を沿えて。
「浩瀚の…」
「いつもの主上はどうされたのです?朝議でそのような声では他の官吏にも聞こえませんよ」
もっと大きな声で言えというのだ。
羞恥に染まった頬に、屈辱の影が一瞬走るが、目を伏せてやり過ごす。
「浩瀚の…堅くて逞しく反り返った肉棒を私の蜜壺に入れてください」
目を細め、口の端が反り上がるのを隠すためか、口に手を当てて浩瀚は意地悪く言う。
「入れるだけで宜しいのですね?」
「だめぇ…」
「では、どうして欲しいのですか?」
「入れて、突いて、かき混ぜて、滅茶苦茶にして欲しい!奥に浩瀚の精液を吐き出して欲しい。白い液体でいっぱいにして欲しいっ!」
「よくおっしゃることができましたね」
お望みのものを差し上げましょう。そう言った交換の言葉は陽子には届かなかった。
言葉と同時に奥まで突かれ、目の前が白くなったからであるが…。
きつく締め上げる陽子に浩瀚は一度達したと容易に想像がついた。
「それほど待ち遠しかったのですか?昨日はあれほど台輔としていらっしゃったが…」
淫乱ですね。
その言葉が陽子の意識を浮上させた。
「あ…あぁ…やぁ」
羞恥に咽び泣く顔は美しく、酔ってしまう。
淫乱だが、美しい。
男はその姿に酔い、痴態に興奮し、唇から零れる甘い声に翻弄され、体から立ち薫る香りに融かされ、極上の肉体に溺れる。
一度味わった者は手に入れたくなるほどの女。手元に置き、離せなくなるほどの女性。
それが王。
自分一人の手に置けない女性。
手に入れられないならば、一時を全て貪り尽くしたらよい。
「だから私は、貴女が誰と繋がろうが宜しいのですよ」
そう、今腕の中で快楽に溺れまいと一生懸命に耐えて形のよい眉を潜めている、振動するたびに背に流れた紅い髪が体から床へと零れ落ちてゆく、
我慢し切れなかった吐息が唾液で赤く濡れそぼった唇から洩れる、細い腰が自ら快楽を得ようと動く…麗しき女性が今は、今だけは自分の腕の中に居るのだ。
「一度、大きく達してしまいなさい。後から私も満足させていただきますから」
大きく円を描くように中へと押し入る。
「あぁ、いいっ」
焦らす様に入り口で浅く突き入り、我慢できなくなった陽子が腰を動かす直前に最奥を突く。
「あぁ…主上の中は…よくっ、絡まりつくように私を締め上げる…くっ」
蜜が浩瀚のモノに絡みつき、挿入をより円滑に、より奥へと導く。
「もっと、もっとぉ」
ぐちゅぐちゅと水音が木霊し、艶を帯びた声が段々と高くなってくる。
「ん、いいっ…あぁ。ひゃん!ぁあ…あぁ、あぁぁぁあ!こ、浩瀚!浩瀚!」
欲しい!
欲しい!
熱いのが欲しい!
白く濁った熱い液体が欲しい!
「ちょうだいっ、ちょうだいっ!奥に!奥に欲しい!」
射精を促すために、膣がぐちゅぐにゅ蠢く。
「くっ」
「あぁん」
達する一瞬前に陽子の熱い蜜壺から肉棒をずるりと引き抜き、浩瀚は陽子の顔に白濁液を振りまいた。
「やぁぁあん、だめぇ」
自分の望み通りに、膣の奥に放たれなかった液体を、口を大きく開けて受け止めるように顔で受ける。
「ん…おおい…」
顔に飛び、そのまま下へと垂れて乳首の倒立した乳房を汚し、引き締まった腹を伝い、割れ目へと伸びた。
「勿体無い…ん…」
指先で掬い、そのまま口へと運んで美味しそうに舐めあげる陽子。左の指は既に先ほどまで浩瀚が蹂躙していた場所を弄っていた。
そんな陽子の前に浩瀚は立ち、雫を滴らせているものを突きつける。
お舐めなさい…。
視線がそう言っているようで、陽子は奮える膝を手で支えながら腰を上げる。
紅潮した頬に潤んだ瞳。
これほど激しくしたのにまだまだ足りないのか、一心不乱に浩瀚を舐め上げ、自分の蜜壺を慰める。
愛しい女性。
崇拝する王。
紅い髪が揺れるのを眼で捉えながら浩瀚は陽子の腰紐を手繰り寄せて手に取り、陽子の両手を掴んで背中へと持っていく。
その行動に陽子の体はぴくりと反応したが、抵抗はしなかった。
次への行為に期待を膨らませて…大きくて全ては口に含めないモノを喉の奥まで入れて前後に動かす。
「んぐっ…ん…ぅん…」
鼻にかかった熱い息が、入りきらない部分を刺激する。
飲み込めない唾液が銀の糸を引きながら零れ落ちた。
「まだまだですよ、主上…ほら…私の心が満足してないのです。まだ貴女を貪り尽くしてはいない…」
そう、これからなのですよ。
浩瀚は拾い上げていた腰紐で陽子の両手を縛り上げた。

 

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