作者702さん >702-704


 鈴は泣きじゃくり、祥瓊の胸に突っ伏した。
祥瓊が身につけていたのは薄い小衫のみ、たわわな乳房の温みが鈴の顔を包んだ。
鈴はそれを今はとうに亡くなっているであろう祖国の母親のもののように感じ、
知らずうちに頬を擦り寄せ、掌でそれを愛撫していた。
揉むようにそっと押すと確かな弾力が返ってくるのが嬉しく、固くなり始めた桃色の先端に指を伸ばした。
祥瓊が短く息を飲むのを聞き、鈴ははっと身を起こす。
「いやだ、あたしったら。ごめんなさい」
 今日初めて出会ったばかりの少女に、何と言うみっともない真似を。
しかし鈴が見上げた祥瓊の顔こそ、赤らんでいた。
「いえ……。わたしの方こそ、はしたない」
 言ってしまってから、祥瓊は眉を顰め、慌てて口を噤む。
鈴の脳裏に、かつての主人に虐げられた日々の記憶が去来した。
わけても、深夜に一人鈴のみを呼びつけた梨耀の痴態を思い出す。
下僕らしく主人に奉仕してみせろと強要された、あのおぞましさ。
股を開いて自分で弄ってみろと、足の先で嬲られた。
しかし忌まわしく思う気持ちとは裏腹に、鈴の足の付け根はじんわりと熱を帯びてきた。
 祥瓊は王の娘だったと言う。梨耀も王に近しい存在であった。
朝廷の深部では、あのようないかがわしい行為が、日常茶飯になされていたのだろうか。
「ああ、まさか祥瓊は違う……、違うわ」
 幼子のように首を振りながら、鈴は己の浅ましい考えを否定しようと躍起になる。
しかしその頬の赤味を祥瓊は見逃さない。
久方ぶりに与えられた愛撫に、今や祥瓊の奥は熱く滾り
厭らしい露が仄かに染み出していた。
「ひょっとして、わたしたち、同じことを考えている?」
 鈴は目を見開いた。臥室に秘密めいた沈黙が降りた。
「また、会えるといいわね」
 鈴は短くうなずく。
 ずいぶんいろんなことをした。桓タイには聞かせることのできないことまでついしてしまった気がする。
それでも祥瓊も鈴も、道具や薬無しに出来ることの限界を知っている。
「本当に、会えるといいのにね……」
 鈴が上擦った声で言うので、祥瓊は下腹部に強い疼きを感じた。
「会えるわ。慶が落ち着けば」
「うん……」
 それじゃあ、と互いに視線をそらして騎乗する。
またねと短い言葉を交わして街道を東西に別れた。


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