泰麒女体化
作者6140さん
「―――泰麟か」
問われて、少女は明らかに震えた。
まみえたのは虚海の彼方、ともに胎果で故国での姿を知らない。
―――ただ、濡れた髪が白い顔に昏い光を弾き、それが尚隆にこの娘特有の稀有な色を想起させた。
勁いものの撓められた、その、色。そして秘められた獣の性。
飛散する波頭、肌を打つ礫の中、男は少女を引きずり寄せる。
抗おうとする少女をさらに力を込めて抱き竦めれば、細い躯は易々と手折られ男の腕に収まった。
押し寄せる波に翻弄されている岸と。岸に向かって広がる街と。五百年を経たそれは、
男にとって紛れもなく異国。
そして神の獣は異国の岸に、氷の肌を晒す―――