楽俊×陽子
作者639さん
遠慮なく抱きしめる陽子に、楽俊は既に半泣きだった。
「楽俊、熱い・・・。」
「よ、陽子、勘弁してくれよぉ〜」
そう言って逃げようと試みるが、半獣のままでは
力強い陽子の腕力に勝てるわけが無く。
そうしてもがいてるうちに、陽子の手はするすると
楽俊の下の方へと移動していった。
今が人型だったのなら、きっと顔面蒼白になっていただろう。
「よ、ようこ、ほんとに。な!」
既に情けない涙声。
それに対し冷徹な声。
「楽俊男だろ。」
「それは関係無いっ!」
陽子は聞かなかった事にして、問答無用とばかりに
そのまま楽俊のお尻の穴に在る物を突っ込んだ。
「・・・!!」
声にならない声を楽俊は発してそのまま布団に倒れこんだ。
陽子はそれを見て、半ば苦笑しながら言った。
「もう。熱にはこれがいいんだって。お医者様も言ってたじゃないか。」
「・・・何も陽子が入れなくたっていいじゃないか・・・」
「だって、お医者様忙しいって言うから。
他にたくさん患者さんが居るのに悪いだろ、手間取らせたらさ。」
「・・・そりゃそうだけど。」
そう言って涙目のまましつこく何かを訴える楽俊を尻目に陽子は笑った。
「ほら、もう、布団入って。
楽俊はまだ熱があるんだから寝てなきゃ駄目なんだ。
折角座薬入れたって安静にしてなきゃ治らないんだぞ。」
「・・・解ってるよ。」
そう言って楽俊は素早く布団へと潜り込む。
陽子は素直に従った楽俊を見て微笑んでいるが、
楽俊にしてみれば羞恥心と、興奮とで敏感になってしまったあそこを
陽子から早く隠したかったのが、本音。
極めつけは部屋を出て行くとき。
「よく休んでね、楽俊。」
そう言って、陽子は楽俊の頬にキスをした。
楽俊は寝ているにもかかわらず、酷いめまいを感じた。
(・・・人の気も知らないで)
このまま人型になって襲ってしまおうか。
そんな事さえ頭を過ぎってしまった。
楽俊は、嗚呼と熱にうなされながら
二人旅の際どさをしみじみと実感していた・・・。