「フタリノカンケイ」
作者6165さん
「…ああ、まだここにいたのか」
陽子は自然に顔がほころんだ。
金波宮を訪れた楽俊だったが陽子が多忙のためなかなか会うことができなかった。
すっかり陽は落ちた頃、書房に戻ってきた陽子は書物に読みふける楽俊を見つけた。
「ああ。悪いな。女官が呼びに来たんだがオイラまだここで書物が読みたくて…」
楽俊はひげをそよがせて持っていた書を閉じた。
「構わない。楽俊の気がゆくまで読んでいて構わない。何か面白いものはあったか?」
そう言って陽子は楽俊のとなりの床几に腰掛けた。
「この慶の史書がな…」
そう言って一冊の書物を二人で覗き込んだ。
楽俊が説明をしていると、一瞬はっとなって説明を辞めた。
「ん、どうした?」
怪訝な顔で陽子は楽俊を見る。
楽俊は軽く首を振った。
「何でもない。…王様とこんな顔を近づけているのを誰かに見られたらまずいからな」
わざわざ楽俊は書卓を挟んだ別の床几に移動しようとした。
すると陽子はすっと手を伸ばしてそれを制した。
「楽俊…そいうことは二人の時はやめて欲しい…」
そして顔を引き締める。
「前も言ったはずだ」
楽俊はその小さな手で自分の顔を掻いた。
「そうだった。すまねぇ」
何かを考えるように尻尾が左右に動いた。
「…それにこんなに綺麗になった陽子の近くで顔を見るのがちょっと恥ずかしくてな」
それを聞いた陽子は少し黙った。
そして意を決したように立ち上がる。
「楽俊…ちょっと一緒に来て欲しいとこがある」
「お、おう」
二人は連れだって書房を出た。
書房の近くの小さな堂屋にやってきた。
「ん、ここは?」
問う楽俊に陽子は悪戯っぽく微笑む。
「私の隠れ家だ。ちょっと仮眠をとるときに寄るんだ」
確かに少し奥まったところにあるので気付かれにくいといえばそうだろう。
室内の奥の方には臥牀があった。
「少し話をしよう。楽俊」
椅子や床几のない房だったので陽子は臥牀に腰掛けた。
楽俊は床に腰を降ろそうとしたが陽子に軽く睨まれたのでバツが悪そうに同じく臥牀に腰を降ろした。
「…な、なんだよう」
「前に約束したはずだ。私と楽俊の間には何の隔たりもない…と」
翠の瞳で覗き込まれ、楽俊はかりかりと鼻の頭を掻いた。
「ま、まぁな…。そうしているはずなんだけどな」
それを聞き届けると陽子はおもむろに立ち上がった。
そして自らの帯に手をかけ、その帯を解いた。
「ちょっとっっと待て、陽子! どうした?」
慌てて楽俊はその帯を持った手を掴んだ。
陽子は至って真剣な様子で冷静に言った。
「だめだ、まだ楽俊は私と隔たりがあると思っている。…私は楽俊と同じ場所に立ちたい」
その本気の語りに楽俊はうろたえ、考え、悩んだ。
悩んだ末におずおずと視線を上げて、陽子を見た。
「…ということは…その…そーゆー関係になりたいって陽子は言いたいんだな?」
すると陽子は力強く頷いた。
「そうだ。私は楽俊と一つになりたい」
若く魅力的な女性、しかも一国の主の威厳を兼ね備える陽子に抗えるはずがなかった。
楽俊は一瞬下を向いた。
意を決した様に顔を陽子に向けた。
「わかった。陽子、オイラが脱がせる」
そう言って楽俊は小さな手を陽子の羅衫に手をかけた。
陽子は後ろを向いて袖から腕を抜いた。
楽俊の方に向き直ると、楽俊は人間の姿になっていた。
「楽俊…」
思わず陽子は楽俊の首に腕を回して抱きついた。
「嬉しい…」
「そ、そんなにぴったしくっつかれたら小衫が脱がせられねぇじゃねーか」
「そっか、ごめん」
そう言って体を離した。
小衫を脱がし、裸体にした陽子を臥牀に横たえさせた。
もちろん楽俊は半獣から人間へとなったので既に裸だった。
そのまま、横たわった陽子の上に楽俊は覆い被さった。
「よ…ようこぉ…」
「嬉しい…嬉しいよ、楽俊!」
そう言って陽子も楽俊を目一杯抱き寄せる。
歯と歯がぶつかってしまうほど激しく何度も唇を合わせた。
「ん…」
楽俊の唇から唾液が零れる。
それすらも陽子は逃さぬように下を這わす。
やがて陽子は唇を離すと楽俊と顔を見合わせてうっとり笑う。
楽俊は体をずらして陽子の胸の谷間へと舌を這わせた。
そしてや乳輪の大きな胸の頂を舌で転がし始めた。
「あ…ん…。すごくいいよ…楽俊…」
乳首を口で啄み、甘噛みし、舌で転がす。
何度もその動作を繰り返すとだんだん陽子の息があがってくるのがわかった。
乳首を攻めながら両手でわき腹を撫であげる。
ピクリピクリと反応する陽子の体が愛しかった。
「ら、楽…俊…」
胸の上あたりにある楽俊の髪を思わず掴んでしまうほどだった。
「痛いよ、陽子…。でもいいけど…」
少し早いとはわかっていながらも楽俊は陽子の秘裂へと指を忍ばせた。
「う…っ、もう濡れてきてる…」
すると陽子は不満の声をあげた。
「わかっているから! 言わなくていいよぅ…」
「わ、悪ぃ」
せっかくの気分を害したのではないかと内心ひやりとした楽俊だった。
指の腹で陰谷を擦り回した。
いきなり来た強烈な刺激に陽子は喘ぎを増す。
花の蕾にも触れ、人差し指と親指の腹で擦り合わせつまみ上げた。
「痛っ………あぁ、止めないで…」
陽子の体がかなり反応したので指を引っ込めようとした楽俊を制した。
小さく楽俊は頷くとそのまま蕾の中心を軽く指で指した。
狭い…しかし愛液が湧き上がってくるのがわかった。
片手は内股を撫で上げ、もう片手で丹念に指の出し入れを浅くして準備を整える。
楽俊の肩を掴む陽子の指先にも力が入る。
「す、すごいいいよ…陽子ぉ」
何度も繰り返すうちにかなり奥まで指は入るようになり、本数を増やしても自然に受け入れるようになった。
「待って…楽俊…私も悦ばせてあげたい…」
そう言って陽子は無理に上肢を起こした。
それにつられて楽俊も顔をあげる。
「…へ?」
陽子は両手で楽俊の自身を包み込む。
「ぐぅわ! よ…陽子ぉ」
まだ恥じらいがあって陽子はさすがに自分の口にやったりはしなかった。
しかし両手で丹念に楽俊の自身を撫で上げ、擦り、包み込んだ。
「…こんなに大きくなるんだねぇ……」
楽俊は息を必死に整えようとしながら言う。
「陽子も…言わなくていいよぅ」
「そ、そうだね…」
お互いの準備は整ったようだ。
楽俊が自身を納めるために整えた蕾に、陽子が自らの蕾に納めるために硬く大きくした楽俊の自身を整えた。
「そ、そろそろだよなぁ?」
「…うん」
お互いの意志が通じた、陽子はそのまま楽俊の上に跨った。
「いくよ…」
「………おう…」
楽俊の自身が陽子の蕾に先端まで入った。
「あぁん…ん」
陽子の蕾から愛液が楽俊のために湧き上がる。
腰をより沈めることによって刺激が強くなる。
お互い強く強く最後まで納めようと動かす。
「陽子ぉ…いいか? そろそろ出ちまいそうだ…」
「ん…うん…あぁん、いい早くっ!!」
こうして初めて陽子の中に楽俊は今あるものの全てを放った。
「陽子ぉ…いい…。ちょっと早かったかな…すまん」
「楽俊…大丈夫だよ。私もすごく良かった…」
ばたりと二人は初めての結合を終えて横たわっていた。
「また…慶に来たらしようね?」
陽子が微笑みながら言う。
楽俊は恥ずかしそうに頬を染めながらカリカリと自分のこめかみを掻いた。
「お、おう。そりゃ…もちろんだ…」
そんな様子の楽俊を見て陽子はくすりと笑った。
しばらくして楽俊は何かを思いだしたようにハッとして顔を上げて陽子を見た。
「ちょっと待った!」
陽子は驚いた。
「えっ? 何??」
楽俊はなんだか必死な様子で陽子の顔を見上げた。
「なんで二人の初めてで陽子が上なんだ?」
「あれ…そう言えばなんでだろ??」
こうして夜が更けるまで二人は首を傾げ続けた。
二人の関係を表すようなそんな夜だった…。