作者:587さん >932-936、948-953、966-971 @二冊目
恭国に新王が践祚して5年。
僅か12歳の少女の登極は、その本国はもとより、近隣の諸国にも驚きを以て受け止められたが、その後ろ盾に大国の奏がついているらしいことが知れ渡るにつれ、国は急速に落ち着きを取り戻してきていた。
奏王ご自身は姿を見せずとも、王太子・卓朗君が頻繁に恭の王宮を訪れ、新王の後見役を務めているのは、宮廷内では知らぬ者のない事実。
何よりも27年の長きに渡って国を支えてきた仮朝の諸官が、誰であろうと王がいることの安寧を求めていたことからも、恭国がこのまま最初の十年を乗り切るのは確かなことに思われた。
そういうある日。この日も卓朗君はお気に入りの出入り口、王宮の王の私室の露台に面した窓に直接騎獣で乗り付け、のほほんとした様子で女王のご機嫌を伺いに来ていた。
「やあ珠晶。久しぶりだね。
私に、今日、尋ねて欲しいと知らせがきたけれど、どうかした?」
「あら、利広! 来て下さったのね。嬉しいわ」
気のせいかいつもよりも着飾った風情の少女王は、晴れやかに微笑んで王太子を出迎える。
「なにかあるの?」
そう利広が問うたのは、珠晶の部屋にいつもよりも多くの花が飾られ、居室の卓子には簡単な祝いの膳が並べられていたからだ。
「ええ、今日は私の17歳の誕生日なの」
嬉しそうに答える珠晶を見下ろし、利広は一瞬言葉を失った。
ああ、この少女はまだ現世(うつしよ)の時を生きているのだ。
利広は痛ましい思いで少女の幼い顔を見やる。
王になる、とは神仙にとりたてられるということだ。
その日その時を境に王は不老長寿への扉をくぐり、肉体上の加齢は一切なくなる。
12歳で王になった少女は、それ故に永遠の幼さと稚(わか)さを生きることになった。
しかし、人がそんな立場に慣れるには長い年月を必要とする。
利広自身、自分が現世の時間にいないことを諦観したのは、かれこれ百の年月を数えてからのことだった。神籍に入ったときにはすでに青年だった彼にしてからがそうなのだ。
まだ成長期のまっただ中にあった珠晶が、自分のあるべき成長の年月を現世に合わせて数えてしまうのは無理もない。
それに外見は12歳の少女のままだが、この5年でその内面が大きく成長したことも真実だ。「ああ、それはおめでとう、珠晶」
そこで祝いの言葉をさらりと言ってしまうのが、利広の優しさではある。
「しかし贈り物を用意してこなかったよ。君の誕生日のお祝いなんて初めてだし」
「いいの。私のおねだりを聞いてくれれば」
そこでイヤな予感がする。珠晶のおねだりというのはいつも曲者なのだ。
「私にできることなら、なんなりと」
用心しいしい言ってみる。
「利広にだからできること」
「そんなことがあるのかな?」
「そうよ」
ここで何故か微妙な間が空いた。
「私を女にして欲しいの」
早口の一言。
「―――珠晶!?」
これは、こんな事は想像の埒外だった。
「あら、そういう言い方じゃないのかしら。えーと、利広の・・・」
「珠晶! やめなさい」
「私ふざけている訳じゃないのよ」
「当たり前だ。ふざけてそんなことを言うのなら、私は君を見損なったことになる・・・って、いや、珠晶!」
年甲斐(?)もなく慌てふためく利広。
「利広、もしかしてそういうことをしたことがないの?」
「珠晶、いい加減にしなさい!」
しかし珠晶は大まじめだった。
「利広、聞いて。
私はまだ17年しかこの世に生きていないの。この国の王になったけど、自分がまだまだ人として未熟だって事は解ってる。
私はもっともっと長い治世を布いてこの国を立て直すつもりだけど、人間としての人生を生きて、経験を積む必要があるのよ」
「けいけん、て、だからってそんなことを・・・」
既に利広は守勢に回っている。
「どんなことにも適齢期ってあるでしょ?」
「しかし珠晶、こういうことは無理にすることじゃなくて」
「こういうところで、こういう年格好のまま時を重ねて行く人間には、無理矢理にしなくちゃ経験できないことが山ほどあるの」
なんだか妙に噛み合わない会話が続く。
「だからって」
「城の書庫にはその手の書物や絵を蒐めた場所もあるのよ。私ちゃんと勉強したわ」
やれやれ、本で得た知識を実地に試すためのお相手に、光栄にも選んでもらったという訳か。
「男の人を知りたいの。18や19のおばさんになってからじゃなくて、17歳の今だから、それを知る必要があるのよ。お願い」このお願いに弱いのだ。
解った。珠晶が思い詰めているのはとても良く解った。利広はとりあえず事を収めるために提案した。
「じゃあ、こうしよう。
こういうことはお願いされて『はいそうですか』とできることじゃない。
君も私に言ったことで少し気持ちが落ち着いただろうし、どちらにしろ真っ昼間からする訳にもいかない。
今夜月が昇る頃にまた来るから、君もそれまでに良く考え直してご覧」
少し不満そうだったが、珠晶もここはおとなしく折れた。
「わかったわ。今夜月の昇る頃に、ここで、ね。
で、あのう・・・」
心なしか、珠晶の顔が赤らむ。
「なんだい?」
「じゅ、準備って・・・なにか、あの・・・」
「なにもしなくていい。普通にしておいで」
なんとか微笑を作ってみせ、利広は窓から逃げ出した。
利広は城下町の手頃な舎館に宿を取り、食堂におりた。
(こんな時にあんたがいてくれたらな)
珠晶のしでかすことを共感をもって語り合える朱氏の友人は、今、黄海に入っている。
おそらく珠晶のための騎獣を狩っているのだろう。
しかし、利広は心の中で友人に問いかけてみる。
(あんたなら、どうやってあきらめさせる?)
〔珠晶のことだ。行きずりの男を拾ってでも思いを遂げようとするぞ〕
友の声が頭の中でする。
確かにあのお嬢さんならやりかねない。
〔そうなった時、お前は後悔しないと言い切れるのか? あいつの身体を、どこの馬の骨とも知れない男に開かせてしまったとしたら〕
どこの馬の骨であろうと、よしんば大国のやんごとない身分の者であろうと、その成長を大切に見守ってきた珠晶が、自分の知らない男の下に組み敷かれている様を思い浮かべることは、利広には愉快なことではなかった。
いや、知っている男なら尚更気に入らないことに気がついた。例え黄朱の民でも、本来その役を果たすべき麒麟であったとしても。
しかし珠晶も王として君臨するつもりなら、いずれ閨房術を身につける必要があるだろう。
だが、あんなに小さな子供だ。どこの国が色仕掛けで落とそうなどと考えるだろうか。
しかしそういう例が皆無とは言えないことを、経験上利広は知っている。
そういえば、黄海を一緒に旅していたときには平気で抱き上げたり、(妖魔から護るためとはいえ)上から覆い被さったりしていた珠晶とは、しょっちゅう会っているにも関わらず、このところ手を繋ぐこともなくなっていた。
考えがまとまらないままに、軽い昼食をしたためたあと、利広は早々に部屋に引き上げた。
牀榻に寝転がって天井を眺める。
さっきうっかり思い浮かべてしまった、珠晶と見知らぬ男との濡れ場が不意に脳裏によみがえった。
ややあって、利広の手がゆっくりと股間に忍び込む。
珠晶が12歳の少女の肉体に捕らわれているのと同じように、淡白な方ではあるが、利広は二十歳の肉体の性欲に捕らわれている。王族としての修行故に自分で制御するすべを学んだとはいえ、こればかりは例え何百年の時を旅してこようと、どうしても逃れられない檻だった。
一度始めた手淫を止めることが出来ず、利広の息が荒くなる。
珠晶を思い浮かべながら始めたそれを、その姿態を思い浮かべたままに手巾の中に吐き出して、利広は己を嫌悪した。
まあいい、今夜月が昇るのは夜半過ぎ。うまく珠晶が眠ってしまってくれていたら、今日のところは切り抜けられるだろう。時間を稼げればなにかいい手を思いつくかも知れない。
利広はため息をつき、長旅の汗を流すべく宿の者に湯の仕度を頼んだ。
その夜。
満月の光が斜めに窓から差し込み、居室の中は灯りがなくとも気にならないほどに明るかった。。
昼間と同じ窓から入って、その場で利広は足を止めた。
珠晶が昼の服装のまま卓子に頭を乗せて眠っていた。
並んでいた祝いの膳は取り片付けられている。
月光の中、長く濃いまつげが産毛の生えたバラ色の頬に影を落としている。
その頬にはいく筋かの涙のあとがあった。
一人で祝ったのだろうか。ちりりと胸が痛む。
まだこんなに幼い・・・。
その愛くるしくあどけない寝顔を見て、利広は昼間、この少女が男に抱かれる様を妄想したことを恥じたが、その寝姿から視線を外すことは出来ず、しばしその場に立ちつくしていた。と、頬に落ちた影がゆらりと動いた、そう察する間もなく、音がしたかと思うほどにぱっちりと開いた珠晶の瞳が利広を真っ直ぐに捕らえた。
その瞳が雄弁に物語るもの。
愛くるしい少女の身体に捕らわれているのは、確かに芳紀17歳の、今まさに開こうとする大輪の花のような娘なのだった。
深淵の闇をたたえた、身内に牝を棲まわせた瞳に、なすすべもなく利広は絡め取られた。
その刹那、利広は理解した。
どうしてこの娘を言いくるめることが出来るなどと考えたのだろう。
利広自身がこんなに珠晶を欲していたというのに。
いつの間にか口の中が乾いていた。
珠晶は半ば微睡みに身を浸したままで、逆光の中の利広を見つめている。
「待たせたかな?」
我ながら間の抜けた言葉だとは思うが、なけなしの理性を振り絞って尋ねた。
「私、眠ってしまったのね」
まだぼんやりとしているらしい少女の声。
「君も考える時間があったとは思うけど、止める気になった?」
情けないが、ここは珠晶から気を変えてくれるのが一番だと思う。
「私の気持ちは変わらないわ。利広は私がいやなの?」
「いや・・・そういうことではなくて」
どうしても珠晶のペースに巻き込まれてしまう。
「その、ええ、君が私を選んだ理由を聞かせてもらいたいのだが」
「私があなたを? 当ててみて」
少女の声音はねっとりと甘い。
「その、王宮の中で適当な相手を捜すのが難しかったからかな?」
「それはあるかも」
「かといって平民を相手にするには、君の身体は幼すぎて怪しまれる。連檣ではまだ、君の顔を覚えている者もあるだろうし」
「そうね」
「それでもどうしても、17の内に経験しておきたいことなんだね?」
「そうよ、それから?」
「私なら君のおねだりを断ったりしないだろうと踏んだのかい?」
「そうよ」
何をどう尋ねても、自分を追いつめるだけだ。
「わかった」
と利広は内心の葛藤を押し隠して言う。
「全部わかったの? 他に訊くことはないの?」
虚をつかれた。
実はあと一つだけ訊きたいことがある。しかしその問いに「そうよ」と答えられるのが怖かった。そうと答えられるくらいなら、訊かない方がましだ。
完全に目覚めた珠晶がじっとこちらを見ているのを、利広は全身で感じていた。
「あとひとつ」
「なに?」
応答が早すぎはしないか。
「私でなくても、良かったんだろう・・・? 他に、適当な者が、いれば」
何でこんなみじめた事を訊かなければならないのか。
珠晶の瞳の闇が濃さを増した。「あなたって・・・」
声が震えてはいないか。
「ばかね。ばかみたいだわ」
吐き捨てるように言って立ち上がった。
「私があなたにお願いするのに、どんなに勇気を振り絞ったと思っているの?
こんな身体で誰かに抱かれたいなんてお笑いぐさなのは判ってるのよ。
でもどうしても男の人を知りたい。
理由がなくちゃ動けなくて、17の誕生日にはと思い詰めて。
初めてなのよ。誰でもいいなんて思うはずないじゃないの。
がっかりだわ、そんなこと考えるなんて。
私が誰でも同じだと思って声をかけたですって?
私がどんな思いであなたにあんな事を言ったのか、ちっとも解ってない。
私はね、あなたじゃなきゃイヤなの。
あなたに奪われたかったの、あなたに初めての人になって欲しかったのよ!」
一言ごとに、のっぴきならないところへ追いつめられてゆく。
「珠晶、珠晶わかったから、わかったからもう・・・」
「わかってない!!」
理性が消し飛んだ。
2歩で駆け寄り、利広は珠晶を掴んで思い切り抱きしめた。
自分の胸までしかない少女の顎を強引に仰向かせ、有無を言わさずその唇を奪った。
我に返った珠晶が激しくもがいた。簪が落ちて髪が乱れる。
それに構わず小さな身体を抱きすくめ、珠晶の唇を割り強引に舌を入れる。
男との口づけなど初めてであろう少女にこんな事をする自分を恥じたが、一旦火のついた性急さには歯止めが利かない。
舌を噛まれるかと思ったが、珠晶はすくんだようにされるがままになっている。
少女の強ばって硬い舌を強引に絡め取り、ほぐしてゆく。
同時に襦裙の上から胸を手で包み、やんわりともみしだく。
利広の手にすっぽりと収まる小さな乳房は、しかし確かにふくらんでいた。その感覚を確かめるように、利広は手のひらを押しつけた。
我慢できずに襦の袷から手をさしこむ。直に触れた乳房は、最上級の絹よりもなめらかなえもいわれぬ感触だった。
もっとさわりたい。
手早く胸をはだけさせ、肩から剥き出しにする。
未熟な身体の上に、はじらうようなふくらみが双つならんでいた。「私も、君が欲しかった」
からからに乾いた口から出た声は、欲望にかすれている。
軽々と珠晶を抱き上げて、奥の臥室に運んだ。
牀榻の上に座ると珠晶のからだを自分にもたれかけさせる。
「ためらいがあったけれど、珠晶・・・。君が欲しい」
仰向いた小さな顔に口づけを降らせながら、手はすでに乳房への愛撫を開始している。
珠晶の口から小さな喘ぎが漏れた。
「気持ちがいい?」
「ん・・・」
それぞれの頂点にはこりこりとした桜色の突起がある。
それを指先で転がすとはっきりと勃ち上がってきた。
たまらずに口に含む。
「ひぁっ!?」
今まで他人の口が触れることなどなかっただろう。珠晶の身体がぴくんと震えた。
そんな反応を楽しみながら、両手で乳房を支えて思うがままに乳首を舐め転がす。
小さな乳房の輪郭をなぞるように舐め、鎖骨もうなじも肩も、ところ構わず口づけを降らせる。
口での愛撫を続けながら、手は気ぜわしく下へ下りて、襦裙の裾を割った。
迷わずに少女の股間へと指を伸ばす。
すべすべとしたそこに指を這わせると、珠晶の太股がぴたりと合わされた。
「いやがらないで・・・」
「勝手に、閉じちゃうの」
「力を抜いて・・・」
珠晶が懸命に努力しているのが解るが、なかなか身体はほぐれない。
利広は珠晶の身体を放して牀榻に突き転ばすと、自分は床に跪き、有無を言わさずその両脚を抱え上げた。
「り、利広!?」
怯えた声をあげる少女に構わず、左右の足を自分の肩に担ぎ上げ、むき出しになった股間に顔を埋め、口をつける。
「やっ、利広、汚い!」
いやがる少女に構わず、舌で小さな花芽をさぐり、その下の花びらを探す。
利広もこんな幼い身体を抱くのは初めてなのでとまどいがあった。
無毛のつるりとした丘、未発達の花芽は秘所のあわいにしっかりとしまわれている。そして花びらもまだ花弁の様相をなさず、小さくぴたりと合わさっている。菊座すら小さく、色が薄い。
そのどれもが曙の空の様なうす紅色で、未だかつてどんな男のものも受け入れたことが無いことを示していた。
こんな身体で自分を受け入れられるのだろうか。しかし、後戻りをする気はない。
舌先で丁寧にかき分けるように舐めてゆくと、珠晶が甘い喘ぎを漏らした。
花芽を剥きあげる、えぐるように秘所の裂け目を探る。舌先をとがらせ、何度も何度もなぞるように舐めあげてゆく内に、珠晶の腰がうねった。
勢いを得て更に舌を押しつけてゆく。
「熱い・・・」
珠晶が吐息を漏らした。
舌を平らに使って珠晶の大切な場所総てを包むように舐めあげる。
なにかすべすべした感触があってあらためると、花芽の中心が剥けて、小さな珊瑚玉のような突起が顔を出していた。
ためらわずに口を押し当てて吸い上げる。
「あっ、利広! 利広! あんっ」
指でさぐると、秘所の合わせ目が潤みを帯びていた。
指先でそれを掬って擦り合わせてみる。
糸を引いて粘つくそれを珠晶に見せた。
「利広?」
「これが珠晶の蜜だよ。君が私を受け入れる準備ができたという徴になるんだ」
いいながら舌を伸ばして舐め取ってみせる。
「おいしいよ、珠晶・・・」
「そんな・・・」
そんなことが少女の官能を呼び覚ましてゆく。
珠晶の襦裙はすっかり乱され、帯で括られた腰以外は、胸から上も、臍から下も、総て剥き出しになっている。それが却って淫らに見えて、利広は静かに欲情した。
再び少女の股間に顔を埋めながら、指では小さな乳房の頂点を責め立てる。
やがて身体が大きく跳ね上がったかと思うと、少女は生まれて初めての絶頂に達していた。
牀榻の前に立って、目を閉じて息を荒げている少女にみとれる。
雪花石膏を思わせるきめ細かい肌がしっとりと汗ばみ、体の中から輝くように紅潮していた。もっと、全てを、見たい。
「私に珠晶を見せておくれ」
囁くように口にしてみると、己の欲望が剥き出しに聞こえて、利広の中心が更に熱を帯びた。返事も待たずに帯を解き、珠晶の身体にまといついた襦裙をはぎとると、そこにのびやかな若枝のような少女の肢体が現れた。
華奢な作りだが均整のとれた身体だった。
既に手と口で感触を味わっているが、こうして全身を見るとその初々しさがたまらず、初めて愛撫と絶頂を教えたのが自分だという満足感が湧いてくる。
ふくらみ始めたばかりの乳房は未熟で、横たわると殆ど平らになってしまう。まだくびれのはっきりしない腰、無毛の股間はみずみずしい果物を思わせた。そしてその中心に、縦に一筋入った線。
白い身体の中で、両の乳房の頂点と股間の合わせ目の色が、ひと刷毛の薄紅をさしたように鮮やかに目を楽しませる。
珠晶は恥じらいの表情を見せたが、思い切りよく利広の前に全身をさらして、隠そうとはしなかった。
「きれいだ・・・」
心からそう言うと、ようやく自分の袍衫を脱ぎ捨てる。
「私を見ておくれ」
利広の身体にちらりと目をやったものの、これには反射的に顔を覆い隠してしまう珠晶。指の隙間から見える顔が、耳まで紅潮している。
そんな仕草が愛らしい。
珠晶の手を取って、既に立ち上がっている自分の物にさわらせた。
「!」
その感触にぎょっとして思わずそれを直視した珠晶は、もう目が離せなくなっている。
「ご覧、これが君のここに入る。そして一つになるんだ」
「こんなに大きくて熱いのが・・・?」
その声には不審と恐怖と、そして隠しようのない好奇心が感じられる。珍しい動物を愛でるかのように利広のものに触れた。
「・・・っ、利広! 動いたわ、これ」
その反応が新鮮で可愛い。
「もっと熱く太くなるんだよ」
「そんな・・・」
信じられないとばかりにまじまじと見ている。
「勉強したんだろう?」
「本じゃ判らないことばかりよ。意地悪ね」
「ほら、珠晶おいで。私はもっと君をかわいがりたい」
牀榻の上にあぐらをかいて座ると、珠晶の身体を抱き起こして太股の上に跨らせた。ちょうど顔の前に来る乳房の頂点をさっそく口に含む。
逃げないように身体を支え、何度も吸い上げ、舌で円を描くように転がす。
愛撫に夢中になっている利広の顔を頬を赤らめて見下ろしていた珠晶が小さく喘いだ。
たまりかねて自分の乳房にしゃぶりついている男の頭を抱きしめる。
利広の頭は珠晶のそれより一回り大きい。
「ぁあ・・・。私・は、気持ちがいいけど、利広は、何が、楽しい・の?」
「珠晶が私の愛撫で感じているのが楽しい。それにとてもおいしい」
「お・おいしい?」
尋ねる声は欲情に潤んでいる。
いいざまに珠晶を抱き寄せ、その口を吸う。乳首をねぶり回して湧いた唾液を、珠晶の中に注ぎ込んだ。そのまま舌をねじ込み、珠晶の口中を蹂躙する。珠晶の小さな舌を絡め取って、思うさましゃぶった。そうしながらも口で勃たせた乳首を、指でさらにもみ上げる。
そして珠晶を跨らせた脚で秘裂をも揺すり上げた。
「あんっ」
三カ所を一斉に攻められ、一度達している珠晶は、すぐに感じて利広の首にしがみつく。
「きもちいい、きもちいいの、利広。とてもいいのぅ」
幼い少女の声に、得も言われぬ淫靡さが潜む。
初めて人と素肌を合わせる。腕も胸も腹も脚も、こんな風に誰かと直にふれあうことなど無かった。背中にまわされた利広の手の温かさに、何故か背筋がぞくぞくする。
相手が利広だというのが嬉しい。その暖かさと大きさにおぼれて息がつまりそうになる。
そして利広の太股に擦られる部分からは、粘つく水音が漏れていた。
「利広・・・、私、なんだか変・・・に・・」
「わかるよ、珠晶」
答えながら先走りの露を己のものの先端に塗り広げる。これ以上待つつもりはなかった。
衾褥をめくり、ひやりとする敷布の上に珠晶を仰向けに横たえる。脚を思い切り広げさせてその間に座った。
体重をかけないように気をつけながら、珠晶の顔の脇に手をついて上半身を支え、潤んだ秘裂に肉棒の先端をあてがった。
「ひとつになろう」
不安そうな珠晶を宥めるために口づけを降らせながら囁く。
肩を抱くとぐっと腰を押し込んだ。しかし入らない。珠晶の身体はそのまま上へとずり上がってしまう。
もう一度。
珠晶の身体は肉棒に押されてそのまま押し上げられる。
「り、利広・・・。やっぱりあんなに大きいの、入るはずない」
すっかり不安になってしまったようだ。
「珠晶、大丈夫。息を止めないで力を抜いて。そのことばかりを考えないで、私に任せて」
気を変えられては堪らないと、せわしく言葉を紡いだ。
珠晶の入り口は十分に濡れている。
そっと指でそこを撫でた。ぴくんと珠晶がはねる。
構わず指を使う。珠晶の割れ目をくつろげ、ゆっくり指を入れてゆく。指一本ですらきついが、くちゅくちゅと音を立てて擦りたてる。
「珠晶、君の蜜でこんなに濡れているよ。聴こえる?」
ゆっくりと耳元で囁いた。
「利広、利広、そこ・・・感じる。何か感じる。気持ち・・いい・みたい・・・」
最後の冷静さを振り絞り、珠晶の腰の下に自分の脱ぎ捨てた衫を敷いた。
「もう一度、行くよ・・・珠晶」
「こわいわ」
「大丈夫だよ、ゆっくり息を吐いて・・・」
再び珠晶の小さな秘裂に肉棒をあてがい、肩を押さえて腰を送りこむ。
珠晶は少しずつずり上がりながらも徐々に利広を受け入れていった。
「ぁあ利広、すごく熱い、おっきい」
「珠晶、もっと、奥に、くっ、珠晶」
あまりにきつくて、ぎち、と音がしそうな気がした。だが止められない。もっともっとと先を求める気持ちがはやる。珠晶の初めて開かれるそこを容赦なく押し広げてゆく。
何が何でも珠晶の中に収めたい。収めて一つになりたい。
その希いが利広を突き動かす。
しかし何かに引っかかる感触があって、そこで進入がせきとめられた。
「私にしがみついて」
声がかすれて言葉になっていたかどうか。
珠晶が反応する間もなく、利広の腰が一気に押し込まれた。
「!!!!!」
更に押し込み、そのまま珠晶の身体をかい込むように抱きかかえ、利広は動きを止めた。
珠晶は声をあげなかった。しかし利広の背中に食い込む珠晶の爪が、破瓜の痛みを物語っている。
すらりと細い足が、こんな苦痛を与えた男の腰に、必死にからみついている。
愛おしさにたまらず、利広は珠晶の唇を貪った。何度も、何度も、何度も。
さらに珠晶の目尻にふくれあがった涙を吸い取る。
「これ・・・なの? こんなことのために男と女は・・・」
声が震えていた。
判ってはいた。性急にことを運びすぎた自覚はある。ただでさえ未熟な珠晶の秘所を、力任せに開いてしまった。
だが、自覚があっても自分を抑えるつもりはなかった。そんな余裕はなかった。
「いいや、この先がある」
そう伝えると、これ以上痛い思いをするのかと、珠晶が身を固くする。
「大丈夫だよ珠晶、今は休もう。
ゆっくり教えてあげるから、どうして男と女が求め合うのか」
その言葉に、珠晶の身体の緊張が解けてきた。
「とても奥が深くて、一人だけじゃ入れない世界のことを、君に教えたい」
優しくささやいて少女の身体を抱きしめ、頭の天辺に口づける。
「私が君を、どんなに愛しいと思っているかを、教えたい」
珠晶の中はとてもきつくて、利広と珠晶の隙間には毛一筋ほどの隙間すらなかった。
しかし珠晶の中が微妙に変化してきている。
利広を包み込むように、優しく、柔らかく。
指で探るとつなぎ目が濡れていた。紅いものがついた指先を舐め取る。
破瓜のしるしは下にも滴っているのだろうが、それを見越して自分の衫を敷き延べてある。下手に衾褥を汚して女官に見破られて、処女王の評判をなくすことはない。
こんな場合でもそんな計算が働いてしまうのが我ながらおかしく、利広はひそやかに苦笑した。
それに珠晶の身体の負担を思うと、今夜はこれ以上のことは出来ないだろう。
利広には一夜限りで終わらせるつもりはなくなっていた。
これからも機会はある。自分の思うとおりに少女の身体を開き、好みの色に染め上げる娯しみを、利広は見いだしたのだ。
そのまま二人で抱き合っていた。静かで穏やかな時が流れる。
やがて、くるみ込むように抱かれていた珠晶が身じろぎした。
初めて自分から利広の身体に唇を触れてくる。温かいしめった感触がして、珠晶が舌を使っているのが判った。
「なんだか・・・、痛くなくなってきたみたい・・」
これは・・・誘いの言葉だろうか?
「今、この先を知りたい?」
逸る気持ちを抑えて静かに聞き返すが、利広のものは期待に疼いている。
「知りたい。あなたに教えて欲しい」
その声音で、珠晶の中の何かが永遠に変わってしまったのがわかった。
二人とも、もう二度と後戻りの出来ないところに来てしまった。
「それじゃあ、力を抜いて。考えすぎないで、ただ感じるんだ・・・」
利広はゆっくりと動き始めた。
それは、この先数え切れないほどに交わることになる青年と少女との、初めての夜だった。
〈 了 〉
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