さっきまで太陽が覗いていたのに、急速に黒い雲が空を覆っていく。
「…どいてくれないか？鋼の…」
　書類を決裁していたロイだったが、突然やってきたエドワードに背後から伸しかかられて、 その手を止めざるを得なくなっていた。
「鋼の…重い…」
「わざわざ来てやったのになんだよ、その言い方」
　仕方なさそうにエドは離れた。
「外を見たまえ。私は雨が降る前に帰りたかったというのに…」
「たまには雨に濡れるのもいいもんだ」
「この時期にそんなことをすれば風邪をひくだけだ」
　ロイはじろりと睨んで書類へのサインを再開した。
　しばらくの間、会話はなかった。ペンの滑る音が響く。
　エドは…ソファに寝転がっていた。 ロイはちらりと視線をやったがエドの表情は腕が分からなかった。
「あ…降ってきた…」
　エドの呟きにロイは窓の外へ目をやり、小さく溜息をついた。トントンと書類を整える。
「タイミングの悪い…」
「だったら止むまでここにいればいいだろ？」
「することもないのに、居ても仕方あるまい？」
　苦笑で返したロイにエドはニッと笑った。
「あるだろ？ヤる事」
「ちょ、ちょっと待て、鋼の！最初からそのつもりで…！」
　慌てて立ち上がったロイはあっさりとエドに押し倒されていた。
「大佐だって期待してなかったわけじゃないだろ？もうここ凄いじゃん」
「違う、それは…！」
　服の上からエドの手が撫でてくる。
「さっき引っ付いた時も体温上がったもんな」
「っ…！」
　服を捲り上げられ、手が入ってくる。胸を弄られると甘い疼きが湧き上がった。
「鋼のっ」
「我慢できない？」
　エドが嗤う。
「何故…泣く…」
　エドは思わぬロイのセリフに目を見張った。
「泣く？オレが？なに言ってんの、大佐」
　決して手控えられた訳ではない。だが、快感に流されてしまわないようにロイは言葉を紡いだ。
「何か有ったから、私のところへ、来たのだろう…？」
　エドはきつくロイを睨んだ。
「違う…アンタがこうして欲しいだろうと思って来てやったんだよ。久しぶりだろ？」
　直接昂ぶりを掴まれてロイは仰け反った。
「鋼の！話を」
「アンタが欲に溺れる姿が見たい」
　クチュ…と体液が溢れる。
「んんっ！」
　先走りだけでエドの指が濡れていく。
「相当溜めてたんだ…心配しなくても服は脱がしてやるって。 このまんま出したら大変だもんな。それも面白そうだけど…」
「ちょっと待て…！」
　ロイが慌てている間に、エドはズボンを下着ごと引き摺りおろしてしまった。
　指を体内へと侵入させる。指をくねらせて内壁をしつこく擦った。熱く肉が絡みついてくる。
「っぁ！」
　ロイの蕾はひくひくと蠢きエドの指を誘いこむ。 指を引こうとすればそれを嫌がるように締め付ける。
「相変らず…大佐の中は凄いな…オレの指、そんなに旨い？」
「エ、ド…！」
　ロイの先端からは雫が溢れ続けている。
「もう、びしょびしょ…どうすんの？こんなにして…」
　滴り落ちた雫が床に溜っている。
「なあ、大佐。どうされたい？前も後ろこんなにしてさ…」
「はっ…ぁ…エド…も、い…！」
　ロイの手が堪えるようにエドの服の端を掴んだ。
「しょうがねぇなー」
　エドは笑って自分のを取り出すとロイのそこに押し当てた。
　期待に知らず腰が揺れる。だが衝撃はない。
「…？」
「当たり前だろ？欲しいならそう言えよ」
　ロイは顔を歪めたが今更否定はできなかった。
「鋼の…頼むっ！もう…」
　渦巻く快感はもう辛い域に入っている。
「何を？ちゃんと言ってくんねーとわからねえよ」
「！！」
　エドの手はロイを捕えて放さない。
「大佐？」
「…入れ、てくれ、鋼の…ぁくっ！！」
　硬い物でズンと突き上げられる。
　ロイは床で堪えるように背を反らせた。背後からの指が胸を弄くる。
「はっぁ、ぅあ…！」
　三箇所を同時に攻められ吐精した。エドの手を伝ってまた床を汚す。
「んっ…！」
　エドが小さく声を上げたが、ロイの体内にその感覚は広がらなかった。
「中はやめといた。疲れてるみたいだしな」
「鋼の…」
　ロイはだるい体を起こしてエドの顔を見た。
「鋼の、そんな顔をするな」
　ロイの手がエドの頬を撫でる。その手を振り払ったりはしなかった。
「…大佐…アンタは時々分からない事を言うな…」
「私には、そう見えたんだ」
　ロイはゆっくりと着衣し始めた。
　しばらくロイの動作を見ていたエドだったが、服を整えると立ち上がった。
「また来るよ。アンタが会いたくなった頃に」
　ドアはぱたりと閉じた。
「私に、ではなく、私が、か…」
　ロイは苦笑顔で片付け始めた。