片隅の逢瀬


 薄暗い図書館の片隅。
「鋼の」
 本を読んでいたエドの耳にふぅと息がかかる。
「ぎゃっもが…!」
 口をついて出た叫び声は背後から回された手によって塞き止められていた。
「静かにしたまえ。他の人に迷惑だ」
 エドは手を引き剥がし、小声で、けれど怒鳴った。
「変なコトするからだろ!」
 そんなエドをロイは心外そうに見つめる。
「変なコトなぞしてないだろう。大体、久しぶりに帰ってきたと言うのに私の所に姿も見せず、 図書館に直行している君が悪い」
「オレは忙しいんだって」
「私も忙しい」
 しれっとしたロイの言葉にエドはイライラした様子で本のページを捲る。
「忙しいなら早く戻って仕事しろよ。中尉も探してんじゃねーの?」
「いつもの事だと思っているさ」
 それもどうなんだとエドは思う。
「たまには私のところへも寄りたまえ」
「何でだよ。大佐のトコ行ったって…」
 エドの頭の中を前回の事が過った。
 真っ赤になったエドをロイは怪訝な顔を向ける。
「ん?」
「ぜってー行かねー…」
「またそんなことを言う…」
 拳を固めたエドの手をロイは上から押さえた。
「素直になりたまえよ」
「お、んっ…」
 罵声はロイの口の中へと消えた。
 ロイの舌がじっくりとエドの口腔を犯していく。
 吐息さえも飲み込まれ、力の抜けたエドの手からロイは本を抜き取り棚へ戻す。
「ぁふ…」
 ロイの手は服の中へと滑り込み、小さな突起を優しく摘んだ。
「大、あぅっ…!」
 軽く摘んで引っ張られると体の中を電流のようなものが走りロイの服を強く掴んだ。
「誰かに気付かれたらどうするつもりだね」
 そういうロイの声には笑いが含まれていた。
「ぐ…」
 他の所からは死角になる位置ではあるが、大きな声を出せば誰かが覗きに来るだろう。
「見ら、れたら、マズイのはた、大佐もだろ」
「私は何ともない。鋼のが一人でしていたと言えば済む」
 これにはさすがのエドも返す言葉が無かった。
「てめっ…」
「そう怒るな。短い逢瀬なのだ…」
 再びロイの唇がエドのに重なり、今度は優しく吸い上げた。 舌の付根が痺れるような感覚がエドを襲い喘がせた。
「ふむ…悪態をつく元気は無くなってきたがこっちは随分と元気になったな」
 ロイの手が服越しにエドに触れてくる。
「っ…!」
 エドは息を呑んで必死に堪えていた。 そんなエドを見て機嫌を良くしたロイは服の間からするりと手を滑り込ませた。




2005/10/22 UP

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