白い罪


 白い息が一瞬だけ何も見えなくする。この穢れた手も…。 どうせなら体全部が見えなくなれば良いと思う。
 熱のない手も足も、冷えた弟の体も決して消えはしない罪の証。
「兄さん…! こんなところに居たんだ。もう、風邪ひいちゃうよ」
「アル…」
 顔を上げればアルの姿が有った。
「兄さんてば何も言わずに行っちゃうんだからー…」
「ん…悪ぃ…」
 手をついて立ち上がると機械鎧の付根がキシリと痛んだ。
「……」
「大丈夫?」
「何でもねえよ」
 上手く笑えたかどうか…。オレの動きで考えてる事、何から何まで分かられてしまいそうで…。
「ねえ兄さん…」
「ん?」
「な、何でもない。ごめん」
 少し笑った。
「何だよそれ」
 オレには分からない…アルが何を考えてるのかなんて。
 少しして着いた宿の中は暖かかった。
「兄さん、先にお風呂入っておいでよ」
「ああ…そうする」
 まだ少し一人で居たいような気がした。
 扉一つ隔てただけで遠くなったような気になる。
 今の事、これからの事…考えれば考えるほど分からなくなっていく。今抱いてる感情も。 家族への愛情なのか単なる劣情なのか…。
「どちらにしろ…」
 この状態ではどうしようもない。冷たいシャワーなんかでは抑えようがない。
 温いシャワーを浴びながら自分の熱に手を滑らせる。
「く…」
 どこまで堕ちればいい…。
「ンぁっ」
 誰を想い。
「は、あん」
 指に触れる堅さと。
「ァ…」
 猛る熱と。
「ア、ルッ…!」
 壁に降りかかる白い筋。
「兄さん?」
「…!!」
 ガチャリとドアが開いてアルが顔を覗かせた。
 そのままどちらもが固まった。
「に、兄さん、ご、ごめん。あんまり長いから心配になって」
「いや、その…」
 聞かれた…絶対に聞かれた…。
 オレが何してたのかも、誰を思い浮かべてたのかも…。
「シャワー止めてよ」
「え、あ…?」
「いいから」
 意味が分からないままオレはシャワーを止めた。
「お、おい! アル!」
 アルの体が浴室に入ってきてオレは身動きできなくなった。
「何やってんだよ!」
「…兄さん…触っても良い?」
 思わぬ言葉を聞いた。
「何が、あっ、」
 アルの指がオレに触れた。
 まだ冷めきらぬものを冷やりとした手に握られて仰け反った。
「だ、駄目だっ」
「大丈夫。兄さんのイイ所、ボクに教えてよ」
 押えようとした手は頭上で纏め上げられた。足の間に体を割り込まれて逃げ場がない。
「ンぁ」
 ゆっくりと、でも確実にオレは追い詰められていた。
 アルの手がオレを上下に扱いたかと思うと、袋もやんわりと揉みしだかれる。
「も、ヤメロ…!」
 オレは強い快感に攫われて喘ぐので精一杯だった。
「もっと感じて…」
 手が放されてもアルを押し退けるだけの力は無く、ただアルの体に手を乗せているだけ。
「ここも立ってる…」
 薄く色づいた胸を摘まれ、ぷっちりと堅くなった所を潰すように揉まれる。
「ひぃ!」
 乱暴にされているのに痛みはない。
「アルッ! 放せ、よ」
 疼きは快感へと摩り替りどうしようもない所まで来ていた。
「いいんだよ、兄さん」
 身を捩るオレにアルはそう言う。
 オレはこれ以上見っとも無い所を見せたくなくて…けれど抗えるだけの時間も無くて…。
「ああぁぁっ!」
 青銅色に白く筋が流れていた。
「っ…だから放せって言ったのに」
 これ以上アルを汚したくないのに。
「兄さん可愛かった」
「ば、」
 思わぬ言葉を聞いて、オレは真っ赤になってしまった。
「ボク、兄さんのこと大好きだから…」
「アル…」
 ぎゅっと抱き締められた。
「オレもだ」
 罪は消えはしないけど、お前の体は絶対に取り戻すから。
 もう少し…もう少しだけこのままで…。




2005/10/13 UP

Novel

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