You Are My Sunshine 4
「・・・・ディーン・・」
「・・・?・・・」
「・・・ディーン」
「ど・・どうしたんだ・・サム・・・」
ディーンは、ジリジリと近づきながらまるで泣き出しそうなのを堪える顔でサムが自分の名前を呼ぶのに、何が起こったのかと後ろへ下がったが少ししか岩場との距離は無く、迫り来るサムに頭の両側に手を付かれてそれ以上逃げることが叶わなくなる
「その石・・」
「・・?・・」
「やっぱり・・間違ってなかった・・」
「・・?・・何が?」
「間違ってない」
ディーンは訳が分からないまま、サムの右手が差し出した石ではなく自分の頬へと伸ばされるのを、驚きをもって見つめた
しかしそれは寸前で止まり、サムはゴクリと唾を飲み込んでからディーンに尋ねる
「ねえ・・さっき言ったよね・・?
僕がディーンを好きか・・・まだちゃんと確かめてないって」
「・・・言ったけど・」
「触ってもいい?」
「・・・・・・・サミー・・」
何時だって何処だってそれを自分が拒める筈など無いと、ディーンはサムに突然の変化を齎したものが何なのか分からないまま、仕方なく小さく頷いた
今夜こんな事になると期待は全くしていなかったというのに、サムの手が眩暈を起こしそうな優しさで頬に触れた瞬間、ディ−ンの全身には熱い痺れが走った
ゆっくりと骨ばった長い指が顎を捕らえそっと震える唇をなぞると、それは直ぐサムの唇に取って代わった
そして最初怖がるように触れただけの口付けが、ディ−ンが肩を引き寄せたことで一瞬で深いものに変わる
「・・ん・・っ・・」
「・・っ・・・」
直後サムの手もディ−ンの頭をきつく掴み、途端に互いの歯がぶつかる音や衝撃にも構わず目茶苦茶な角度と深さで唇に噛み付いて、舌を絡ませ合い相手の吐息と唾液を奪い取る
長い間の、足りなかったものを埋める、獣のようなキス
二人の頭の中にはもうさっきまであった罪悪感や、変わることの恐ろしさも何も無くなっていた
ただ『間違っていない』と言った言葉だけが、なんの確かな根拠も無いまま想いを堰き止めていた心の枷を壊したのだ
ディーンは背後の岩に強く押し付けられた背中の痛みにも気付かず、自分が呼吸が出来ない苦しさに鼻に掛かった声を上げ、無意識のまま身を捩ってもサムの体を押し退けるはしなかった
だがその目から生理的な涙が流れ落ち、酸欠で足元が覚束なくなると漸くサムはディーンを解放し、その腕で支えてくれた
それでも乱れた呼吸を整えている間時折震えの走る体はキスだけで恥ずかしい位燃え立っていて、このまま終わりにするなどと言ったら殺してやるとディーンは考えていた
そして冷たく清冽な空気の満ちる聖地に少しずつ緩やかになる二人分の呼吸音だけが、辺りの岩に反響して静かに落ちてゆく
「・・俺から抱いてくれって言わせる気か・・?・・」
やがてそのまま何も言わず、暫く何もして来ないサムに苛立って、ディーンは耳元で言った
「ちっ・・違うっ・・ちょっと、自分に言い聞かせてて・・」
「?・・何をだよっ!?」
「ディーンに二度とあんな怪我させたくないから・・冷静になれって・」
それを聞いたディ−ンは八つ当たりにサムの後頭部をそう軽くもない力で殴り付けると、自分のこの余裕の無さはなんだと呆れてながら、こんな時に限ってしっかり着込んでいるサムの服を闇雲に引っ張った
それで漸く服を脱ぎ始めたサムが下のゴツゴツとした岩に敷いてくれる時間さえ、もどかしくて気が狂いそうになる
「・・畜生っ」
訳も無く泣き出したくなって、ディーンは即席の寝台の固さまで確かめているサムを思い切り後ろから突き飛ばすと、仰向けに倒れたその上に馬乗りになった
「・・ディ・・ディーン?!」
「煩いっ!」
腹筋を使って起き上がろうとするサムを片手でどうにか押さえ込みながら自分のシャツを毟り取って、サムのジーンズを無理矢理引き下ろしてから顔を近づければ、酷く焦った叫び声が上から聞こえてくる
「ちょ・・ちょと待っっ!・・っ」
構うものかと、ディーンは兆し始めていたサムのペニスを思い切り根元まで咥えてやった
どうせもう子供の頃から化け物に犯された事も知られているし、売春までする程慣れてると分かったなら何十人という男と寝た事だって想像が付いているだろう
今更、優しく大切に抱こうとしているサムの気持ちは嬉しくない訳でないが、そんな事をされたら多分自分は終わる頃には恥ずかしさで憤死すると、ディーンは殊更巧みに舌を動かした
そして喉の奥まで飲み込んで数回スライドさせてやれば見る見るそれは立ち上がり、普段シャワーの後などに垣間見れる大きさからは想像も付かない程質量を増す
「・・ディーンっ・・やめろってっ・」
「・・っ・・」
だがそのまま受け入れるには履いたシーンズが邪魔で、脱ぐのに気を逸らした隙を突かれたディーンはサムに体勢を入れ替えられ、両腕を掴まれた
「・・離せっ!、サムっ」
「なんでこうなるんだよっ!」
「・・なんでって・・」
そういえばこんな風に揉み合ってスルのはあの強姦された夜と同じ状況だと、ディーンは気付いたがどうにも出来ない
「・・っ・・乱暴にしたくないのにっ」
「乱暴でいい・・ん・・・っ!・・・」
サムは大人しくさせるにはこれしかないと思ったのか、ディーンの両手を捕まえたまま首筋にキスを落として来た
そして上下する胸の筋肉を舌で確かめ、次に赤みを増した突起を見つけると口に含んで転がしてくる
「・っ・・あっ・・」
忽ちそれは硬くなり、それと同時にディーンの体からは急速に力が抜けてゆく
やがてもう片方を愛撫する為にサムが手を離してもディーンはもうその優しさに抵抗出来なくなり、濡れた乳首を指でプルン弾かれれば全身をビクビクと震わせた
「・・っ・・」
「・・ここ、ディーンの弱点だよね」
「っ・・くそ・・」
その可愛い体の反応に反した汚い言葉も、自分の重い通り大人しくなったディーンを見下ろすサムには嬉しいらしく、腰に引っ掛かったままのジーンズを優しく脱がせてゆく
そして全て邪魔な物を取り去るとサムは再び唇を合わせながらその手を下へ伸ばし、もう硬くなって反応を返していたディーンを軽く握り込んだ
唇で耳元を左手では胸の突起を、更に右手で性器を丁寧に擦られると、ディーンは余りの甘さに堪らず顔を背けた
「・・サムっ・・お・・俺はもう、いいから・・っ・」
「よくないよ」
二人はまるで気付いていなかったが、これまでの性体験から相手の欲望に翻弄されその為の道具になるセックスに慣れ切ったディーンと、真に愛した人としか体を重ねる事が無かったサムでは、微妙な擦れ違いは当然だった
だがそれをディーンに言葉で説明しろと言うのは余りに残酷で、サムはサムで意地でも相手の快楽を優先するつもりでいた
それでも慣れない雰囲気と立場で戸惑うディーンは、サムの体が下に下がって行くのを信じられない思いで呆然と見送ってしまう
「・・ま・・まさか・・」
「ディーンだってしただろ?」
「や・・やり返さなくていいだろっ!?・・サムっ・・!」
「そんなつもりじゃないよ・・」
じゃあどうゆうつもりだと、ディーンはサムを睨もうとしてうっかり自分の性器を咥える瞬間の弟の顔を見てしまい、急いで腕を交差させて顔を覆う
「・・もう・・っ・・・勘弁してくれ・・っ・・」
だがそんな事を言っていても、実戦で鍛えられて付いた腹筋が時折ヒクリと痙攣する様子で酷く感じているとサムに教えてしまっているらしく、ディーンは口角の上がったサムの口腔内の熱く湿った感触に包まれて、唇を噛み締め耐えるしかない
「・・ね?・・覚えてる?・・」
やがてサムは、それを口に軽くしゃぶったまま話始めた
「そ・・のまま・・喋るなっ・て・・」
先端の部分に僅かに当たる歯と唇が予想できない刺激を与えるのは計算ではないのだろうが、口の中に出さないように必死に我慢しているディーンにしてみれば迷惑この上ない
だがサムは構わず、この状況でどうしても言いたい事が有るらしい
「子供の頃・・僕が最初に夢精した朝にさ・・ディーンに言ったんだよ
・・なんだか分からなくて、そしたら・・」
「・・ん・・っ・・そし・たら・・?・・」
なんでそんな事を今言うんだと思いながらも、ついつい自分が何をしたか忘れていて気になるディーンは聞き返してしまう
「見せてみろってズボンを下ろしてさ・・それから剥いてやるって言って、追い掛け回された
・・それで・・・最後には無理矢理・・」
「・・残念・・だな・・今・・剥き返せなくて・・っ・・」
そんな事もしたかと、ディーンは下半身に執拗に噛り付くサムを引き剥がそうと手を伸ばすが、サムは途端により深くまで口の中を含んで来る
そして、どこで覚えたのか袋を揉みながら根元から表面を薄く歯で扱き上げ、到達した先端に舌先を捻じ込んだ
「出していいよ・・ディーン」
「・・冗談・・じゃ・・な・・っ・・ぁ・・あっ・・」
サムが見ていると分かっていても強引に追い上げられる絶頂はどうにも拒めず、快楽に歪む顔を隠す暇も無い
チュプチュプと耳に聞こえる湿った音が一際ディーンの羞恥を誘い、その後も無駄な抵抗を数分続けたディーンだがサムが一際強く先端を吸った瞬間に白旗を掲げた
そして背中が勝手に反り返り頭の中が真っ白に染まると、ディーンの頭の中で眩い光が膨らみ、そして超新星の爆発の如く弾け飛んだ
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