従順たる恍惚  1
夜もかなり更けた酒場

カウンターに座ってウイスキーの入ったグラスを傾けていた俺は、不意に隣に座った若い男に話かけられた

「元海兵隊?」

歳は20代半ばといったところか

服装はラフでビジネスマンという感じではなく、かといって裏家業かと思う程は崩れていない

「・・どうしてそう思う?・・」

不思議に思いその男の視線を辿れば、それは昔隊の仲間と同じマ−クを入れた二の腕のタトゥーに向いていて、俺は向き直ると改めて彼を観察する

この辺りでは初めて見る顔だった

余り人に興味を持たない俺だが、もし以前に一度でも見かけていたなら絶対に分かる

こんな整った顔の男、忘れる筈は無い

「知り合いも元海兵隊員だったから・・懐かしくて」

金色の長い睫毛が酒場のライトに照らされて輝き、やや厚めの唇は性的な魅力に溢れていて、これは俺のような趣味を持たない男でも誘惑されたら堕ちる奴がいそうだと感じた

そして俺は気に入った男と出会った時にいつもするように、せめて今夜の妄想のオカズにと彼の全てを目に焼き付けようと、隣をさりげなく窺った

「俺はディ−ン、あんたは?」

だが彼は意外にも自分からこちらに体を寄せ、俺の顔を覗き込んで来る

「・・・・ジェームズだ」

どうゆうつもりか知らないが数は少ないが女も居るこの酒場で彼は今俺と話がしたいらしく、後ろを確認するように見回したが恋人らしき女も友人らしき男も見当たらない

「・・ディ−ン・・お前さんみたいなハンサムボ−イが今夜は一人か?、連れはいないのか?」

俺が言うと、彼は肩を竦めて見せた

「あいつは真面目なんだ、夜遊びはしない」

「・・あいつ?」

「弟と旅行中だ」

もしやと期待して聞いたが彼の連れが男でも、それが弟ではその可能性は薄い

「・・それで・・君だけここでナンパか?」

「そう、でも今夜ここには同類は居ないみたいだ・・・・・あんた以外」

「・・・・・」

やがてこちらを悪戯っぽくチラリと見たディーンの目つきと綻んだ彼の口元に、自分の性癖が一言二言言葉を交わしただけの青年に知られている事に驚き、又彼も同類だと分かって思わず身を乗り出す

「・っ・・どうして・・・・」

「実はジェームズ・・・俺がこの酒場に入ったのは、偶然じゃないんだ
 ある所で見た顔だと思って、後をつけた
 あんた今日の夕方・・ある場所に行ってただろ?・・・秘密のクラブさ」

「・・・・・・・・」

「凄く、特殊な、クラブだよな?」

俺は浮かれた気分が急に萎んで、口の中が乾いた気がした

確かに彼の言う通り、ダウンタウンの裏路地の会員制のクラブに顔を出したのは事実だ

だがその場所は地人に知られれば、社会的信頼と尊敬の全てを失うような類のものだ

なにせ同性愛者であると同時に、相手を痛めつけることで性的な興奮を覚える嗜好の人間が集まる所だったからだ

「・・どうゆうつもりだ?・・」

俺は自分の秘密をいつの間にか掴まれていた事に途端に恐怖を覚え身構えて隣に座って微笑む男を睨んだが、彼は安心させるように俺の手に自分の手を重ね耳元で囁いた

「別に・・何も脅して金を取ろうなんて思ってない
 ただ、あんたなら・・してくれるかな、と勝手に期待しただけだ」

「・・なにを・・?・・」





「・・俺好みのセックス」

そう言って二コリと笑ったディーンの美しさに、俺はただ彼を呆然と見つめるだけだった











































ディ−ンは俺が連れて行ったホテルの部屋に入り、一目でそうゆう嗜好の為の場所だと分かっても少しの動揺も見せずに上着を脱いだ

疑う訳ではなかったがそれで俺は漸く安堵し、彼を抱き寄せて手始めに乱暴に唇を奪ってみる

「・・・っ・」

髪を掴んで顔を上げさせ傍若無人に口の中を舐め回すが、ディ−ンは抵抗しない

唾液を飲み干し粘膜を味わい、肉厚で柔らかな唇を甘噛みしても彼は従順なままだ

「・・駄目なのはなんだ?、ディーン・・・あるだろう?」

俺は行きずりの行為でもこの種類のプレイにはル−ルが必要だと、改めて彼に確認した

「・・何をしてもいい」

「・・なんでも?・・鞭や吊しは?」

「いいよ・・・但し俺に命令しながらしてくれ、強い口調で・・」

「・・・・・いいだろう」

その縋るような目に、俺は彼が酒場で最初に話し掛けて来た時の台詞を思い出して納得すると、すぐこの目の前の美しい男が望む海兵隊の鬼軍曹に変貌してやった

一呼吸置くとまず壁に向かってディ−ンを突き飛ばし、横柄な態度で息を詰めた彼の前に仁王立ちになる

「さっさと脱げ!、何をグズグスしている!」

一瞬驚いた顔をしたディーンたが、やがてノロノロと服に手をかけるのを見て軽く腹部に拳を叩き込む

「っ!・・」

「返事はどうした!」

「・・イエス・・サー・・」

部下になりきった彼の答えと共に一枚又一枚と布が取り去られ、やがて期待通りの鍛えられ絞まった筋肉に薄く覆われた体が姿を現すと、俺は思わずゴクリと唾を飲み込んだ

その若い肌は滑らかでみずみずしく、ピンク色のペニスは大きさも形も文句ない

待ちきれなくなった俺は早速それを勃起させる事を命じると、その間に部屋に備え付けの道具の中から細い紐とクリップを取り出す

するとディ−ンはそれが何の為のものか分かったのか、自らを擦り上げながら期待に満ちた目で俺の一挙手一投足を見守っていて、俺は彼の短い前髪を掴んで顔を近づけた

「さっさと勃たせろっ・・このグズめっ!」

そして俺が乳首を思い切り摘み上げ、爪を立てて捻り上げてやるとディーンは苦痛に眉を寄せながらも、どこかうっとりとした表情に変わり目を閉じる

「・っ・・ぁ・・」

「早くしないとコレが千切れるぞ、いいのか?」

ギリギリと引っ張りピンク色の突起が醜く形を変えても俺は力を緩めず、片方を存分に嬲り赤く色付くと俺はもう片方も存分に弄ってやり、それにも飽きると手にしたクリップで可愛い突起を挟みこんでやった

「・・っ・・・くっ・・」

分厚い書類を止める為のそのクリップはディーンの小さな突起を易々と押し潰し、激しい痛みに彼は全身をビクビクと震わせる

だが、彼はこの行為を嫌がるどころか、驚くことに先端を湿らせてその性器を滾らせて見せた

「・・ふん、この淫乱めっ・・・乳首だけでもうこんなにしやがってっ」

俺はやはりディーンは本物だったと、痛みを与えられて見事に勃起しフルフルと揺れてる彼のペニスを乱暴に握りこんで、容赦無く力を込めた

「やはりお前には特別なお仕置きが必要のようだな
 ・・だが・・まだ名前を聞いてなかった、なんという?」

「・・ディーン・・ウインチェスター・・」

俺はそれが彼の本名でも、プレイの時に呼んで欲しい名前でもどうでも良かったが、西部劇にも登場するスタイリッシュな銃の名前は彼にとても似合っていると思った

「ok、ウインチェスター・・
 お前も・・上官である俺の許可の無い銃の暴発は困るよな?
 堪え性の無い自分の為にも・・コレを使って欲しいだろう?」

「・・・イエッサー・・」

ヒラヒラと目の前にかざした紐の用途が分からない訳は無いのにそう答えて更に残酷な仕打ちを俺に強請るディーンに、俺は期待通りに彼のペニスをそれで根元から先端にかけてグルグル巻きに縛り上げ、細い紐が肉に食い込んで異様な形状に変わるのを確認してからしっかりと根元で結んでやった

早くも鬱血して色を変え始めるそれだが、俺はディーンなら最後までこのままでいることを望むだろうという確信があった

真にマゾヒズムな嗜好の男は、射精を我慢さられながら酷くいたぶられるに興奮するものだからだ

「さて・・・ウインチェスター、お前は今日排泄を済ませたか?」

俺は壁に押し付けたディーンの腕も後ろで縛り上げて自由を奪うと、乗馬鞭でその体を撫でながら尋問する

もちろん済ませたと答えても、これから彼にしようとしている行為をやめる気は毛頭無いのだが軍隊に尋問はお約束だ

「・・ノー・・サー・・」

「それでは・・洗浄が必要だな?、歩けっ!」

ピシリと俺は形の良い彼の尻を鞭で叩き、ガラス張りの広いシャワールームへとディーンを連れて行った

そこにはこの手のホテルに揃っているべき器具が壁一面のフックに掛けられていて、俺は丁度中ほどの大きさの特殊な形状のシャワーヘッドを選び取る

どれくらいの物にディーンが耐えられるかまだ分からない最初は、こんな程度からが無難だからだ

「四つん這いになって尻を向けろ」

命令通りの格好を後ろ手に縛られたディーンが取ると細い腰が反り返り尻だけが上に上がって酷く卑猥なポーズになって、俺は彼の後ろに回って膝を付き尻の肉を押し開いて入り口の色や形状を確認した

色は美しいピンクで、皺も少ない極上のアナルだ

だがジッと見つめられているとそこはヒクヒク震え、指を2本差し入れて拡げれば柔軟に口を開けて見せる

俺はやはりディーンは慣れているのだと確信し、肛門をマッサージする事もせずに潤滑剤だけを塗りこめて、最初からシャワーヘッドを奥まで嵌め込んでやった

そして、冷水のまま蛇口を、勢い良く捻った











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