ウィンチェスター家族計画 1
「・・ん?・・」

その時、パソコンの画面の中のニュースに夢中になっていたサムは、たった今遠くのベッドの上に座ったディーンが言った言葉を明確に聞き取る事が出来なかった

顔をそちらに向けもう一回、と視線で頼んでみてもディーンは同じことを繰り返すつもりは無いようで、その代わり再び唐突に言って来る

「お前、子供欲しい?」

「・・は?」

益々これまでの会話の流れが読めない

だがボンヤリと遠くを見ているディーンの様子が気になって、サムは正直に答えてみる

「何時かは欲しいけど・・・でも今はそんな事・・」

もちろん今の状況で家庭なんてものを持つのは不可能で、ディーンが言っているのももちろん仮定での話だろうからと、サムは答える

するとコロンとベッドの上に仰向きになったディーンは、う〜んと唸った

「やっぱり・・こんなに移動しながらで、出産なんてキツイよな・・」

「・・?・・」

「・・だったら定住するしかないのかな?
 この仕事も休まないと駄目だし・・母さんの復讐だって一先ず先送りにしないといけないよな?・・」

「・・??・・ディーン・・・悪いけど・・」

一体何の話だと思ったサムは、ノートパソコンを閉じて立ち上がった

するとディーンは直ぐサムに向けて手を力無くヒラヒラ振って、分かった分かったと、繰り返した

「ちょっと・・言ってみただけだ、サム・・・無理なのは分かってる・・」

段々苛々してきたサムは、ディーンが寝転ぶベッドに腰を下ろし最初から説明しろと言うつもりで一つ息を吸った

だがその呼吸は不意に顔を上げたディーンの目が涙で潤んでいるのを見て途中で止まり、その手が下腹部を撫でて言った言葉によって喉の奥で変な音を立てることになる











「・・この子・・・やっぱり堕胎しなくちゃダメだよな・・?」









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