アンダーワールド 8
「・・サムっ・・やめろっ!」
「・・・っ・・」
ディーンは後ろから回されたサムの手から、身を捩ることでなんとか抜け出そうと試みた
だが満月が近づいたサムの力は増し、その上沸き起こる肉への衝動を堪えているところだったディーンの体にも力が入らず、足が絡まった二人はそのまま冷たい床に倒れてしまう
なんとか理性が残るうちに逃げ出そうとするディーンだが、碌に抵抗が出来ずに揉み合ったままでいると驚くべきことにやがてサムの手は、ある目的の為の的確な動きを始めた
少し先に有るシンクの脚部を掴もうとディーンが腕を伸ばした隙に、その左手は床と体の間に差し入れられ黒の絹のシャツを掻い潜って胸に潜り、もう片方は乱暴にディーンのベルトを外すとシーンズの中に忍び込んで彼を強く握り締める
「・・っ・・ぁ・・あっ・」
血を飲み干した後の、熱を帯びた体の疼きを持て余していたディーンにとってはもうそれだけで決定打になる感覚で、サムの手が蠢いて与える刺激にまるで水から上げられた魚のようにピクピクと体を跳ねさせた
なぜなら、本当は欲しかった
ディーンは人間の血液だけでなく、同時に男の肉棒も欲しくなる体だ
だからサムには不用意に近寄って欲しくなかったし、彼とだけはこんな関係になるつもりも無かったのに
だが、もう遅い
狼男特有の満月近くの性欲の昂ぶりに流されたサムに強姦されるような形は取っていたが、その実こうされなければ襲い掛からずに居られなくなっていたのは、今となってはもうディーンの方だった
「・・っ・・くっ・」
望み通り、直後にサムは下半身だけ服を毟り取り、腹部に回した腕でディーンの体を軽々と引き上げた
そしてディーンに四つん這いの淫靡なポーズをとらせると、慣らすこともしないまま滾った男根を入り口に宛がう
その数百年生きて初めて見る程のサムの大きさに、ディーンは恐れと期待からその瞳を魔物の特有の蒼に発光させ、伸びた牙が覗く口を開きもう少しで大声で早く挿れてくれと懇願するところだった
そうしなかったのは一瞬の間も無く、腰を抱え上げたサムがその巨大な杭を肉が裂けるのも構わずに、乱暴に全てを突き立ててくれたからだ
「・・ひ・・っ・・あっ!・・ぁああああっっっ!」
ブチブチと肛門が切れディーンの太腿を流れ出した血が伝い落ちるのにも構わず、理性を失ったらしいサムは直後から骨同士がぶつかる鈍い音がする位の激しい動きで、前後に腰を振り立てる
だが反り返りビクビク痙攣するその体に走る快楽の痺れはこれまで感じたことが無い程に強烈で、ディーンのピンク色の性器は尻を血塗れにしながらも腹に付く位に勃起して、その先端は濡れて光っていた
そしてもっと乱暴にしてくれと望んだディーンの気持ちが伝わったのか、それとも切れた尻の締め付けに不満を覚えたのか、サムは臀部を掌で叩きながらその肉を屠った
そのストライドの幅は大きく、入り口の粘膜が捲り上がる程引き抜いたかと思えば、極太のそれの根までを頬張らされる
それを高速で繰り返す人間離れしたセックスに、バンパイアと言えど余りの激しさに翻弄されたディーンの両手の力が抜ければ、サムは苛立ったように強引に肩を掴んで体を起こさせ、自分の満足する角度で肉を抉り続けた
「・・ああっ・・ゃ・・ぁっ・・・あ・・・・・っ・」
やがて呼吸もままならぬほど責め立てられるディーンは性器に触れられる事もなく達したが、それと同時にサムの右手がディーンの短い髪を掴み、頭を床に叩き付けた
そのままサムが片一方の手で肩も押さえ込み、尻だけが上がったところを上から叩き付けるようにして穿れば、その激しい衝撃は硬い床は少しも緩衝してくれず全てディーンの肉体が受け止めることになり、思わず床に立てた長く伸びた爪は割れて辺りに弾け飛ぶ
そして絶頂を極めたままプラプラ揺れるディーンのペニスからは、壊れた蛇口のように精液が滴り落ち月明かりにキラキラと輝いた
「・・ゃっ・・・もう・・あっ・・・ぁあっっ・・」
やがてそれが見つかると、堪え性の無い尿道にはサムの伸びた爪が捩じ込まれ、同じリズムで出し入れされれる
それにディーンは大きな悲鳴を上げてのたうち、そのまま何度塞き止められたままで達してもサムは許してくれず体内に驚くほど大量の粘液を注入した
やがてその回数を数え切れなくなってもその獣の結合は終わらず、最後は意識を失ってもサムはディーンの体を離さずに、何時までも屠り続けたのだった
「・・・ごめん・・・」
火照った体に気持ちが良い、冷たい床の上
意識を取り戻した後も背を向けて床に横たわったままだったディーンは、そう呟いたサムの顔を見なくても彼が今どんな顔をしているか分かった
我に返った彼は自分の突然の変貌が齎した惨状に戸惑い、まるで叱られた子犬のようにその大きな体を縮めているのだろう
「・・謝らなくていい、サム・・・・」
だがそう言ったものの、ゆっくりと体を起こして振り返れば床には血溜まりが出来る位ディーンの下肢は赤く染まっていて、これならサムがこんな顔をするのも無理は無いと思った
「・・僕は・・酷い事した・・・ディーンに
でも・・どうして突然こんなっ・・・・こんな事、するつもりじゃなかったのにっ!・・」
「いいって言ってるだろっ、こんな傷ならすぐ治る」
ディーンの体が男に抱かれる事に慣れていると、初めて満月の影響を受けて頭に血が上っていたサムは気付かなかったのかも知れないが、今更自分の口から俺も欲しかったところだとは言いたくない
だからディーンは殊更に痛みが無いフリで傍の椅子にかかっていた布で下半身を拭うと、早々に投げ捨てられていたジーンズを引き寄せて身に付けた
そしてそれに釣られてサムがノロノロと身支度を整えたのを確認すると、彼の手を取ってその爪を確認する
「・・・・?・・」
不思議そうに見るサムは記憶が曖昧なのだろうが、さっき狼男そのものに伸びて鋭く尖っていた爪は今は又人間のものに戻っていて、ディーンは安堵した
満月にはまだ、8時間はある
どうやらサムを噛んだあの狼男の力は強く、又サムは月の影響を他の奴等よりも敏感に取り込んでしまうらしいのだが、その影響力もあれが狼男族の伝説のリーダーであるルシアンなら不思議は無い
取り合えず今は人間に戻ってくれなければ困ると思いながら、ディーンはその手を手錠で備え付けのシンクの脚に繋いで立ち上がった
「・・っ!・・ど・・どうして?!・・・・ディーンっ、もう僕はこんな事・」
サムはさっきまでの自分の凶行に怒られているとでも思ったのか、焦って言って来た
「・・そうじゃない、サム・・・さっき俺は一旦館に帰らなければいけないと言っただろ?
それにもう少しして満月が出たらお前は・・・変身して食べ物を求めて人間を殺すんだ
それは止められない、だから・・・悪いが街中をうろつかせる訳にはいかないんだよ」
「・・っ・・変身・・って・・」
ディーンはサムが不安そうに聞いてくるのに肩を叩いて言ってやった
「大丈夫だ、必ず戻ってくる・・・待ってろ」
「・・・・ディーン・・・」
そして不安そうなサムを一人その部屋に残し、ディーンは再び館へと戻っていった
最強のバンパイア、ビクターが待つ館へ
だがその頃、狼男達はぞくぞくと戦いの為に武器を持ち車に乗り込んでいた
彼らの隊は3つに別れ、一つは本拠地を固め、一つはバンパイアの館の監視へ、そしてもう一つの少数の精鋭はある列車がもうすぐ到着する駅に向かっていた
なぜなら3人のバンパイアの長老の一人アメリアが、マーカスの復活式に合わせ今夜来る事を知っているからで、それはこの世に存在する3人の長老の中で1人が起きて2人が眠るという千数百年続くバンパイアの掟の為だ
しかしクレイヴンとルシアンの企みは、最長老と言われる最強のバンパイアさえ密かに葬り去ろうとするもので、狼男達は紫外弾を込めた大量の銃器を用意し、彼女に立ち向かおうとしていた
だが、まだ列車の中に居る彼女は仲間の裏切りを知らない
そして、この地で恐ろしい陰謀が待ち受けているなど、露ほども疑ってはいなかったのだ
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