一人の夜
600年前、中世ヨ−ロッパ

そのある国の、バンパイア最長老ビクターの城の一室に、ディ−ンはいた

石造りの部屋の中に置かれた天蓋付きのベッドには月明かりに白い影が浮かび上がり、ついさっき彼のその唇を真っ赤に染めた血の入ったグラスは今は空になり傍らに置かれている

だが、その横に愛しい男の影は無い

一週間前からビクターは、隣国でバンパイアの勢力の増した地域視察の為、城を留守にしていたからだ















「・・ビクター・・」

ディーンは、切ない気に今夜は側に居てくれない人の名前を呼んで、一人その身をくねらせる

『とんだ悪癖だな』

いつかビクターに言われた言葉がその耳に蘇るが、もう血液を摂取した後の、男を欲しがり燃え立つ体は抑えられなかった

絡み付く夜着を毟り取り、ディ−ンは幻の彼に抱かれることにもう躊躇いは無い

「・・ビクター・・俺を抱いて・・」

甘えた声で名を呼べば、妄想の中で彼はディーンの上に優しく微笑みながら覆い被さって来てくれた

その唇はいつか噛んだ首筋を舐め、長く形の良い指は執拗に胸の突起を押し潰す

「・・っ・・ぁっ・」

ビクターの愛撫を自らの手で再現して、寂しいディ−ンは寝台の上で一人欲しがる体を慰めてゆく

『咥えなさい』

早々に反り返る性器には触れてくれず、いつもビクターはそうディ−ンに命令してくる

だから今夜ディーンが傍らから取り出して口にしゃぶったのは、ビクターの置き土産

いつものビクターとの営みを再現しようとディ−ンが自らの手で咽の奥まで飲み込んだそれは、血を飲むのと同時に抱かれるという刷り込みがなされてしまった彼の為に、ビクターが職人に作らせた木製の男根

「・・っ・・んっ・・ふ・・」

『私のサイズで作らせた・・これがあれば留守の間も寂しくはないだろう』

そう言ってビクターがくれた物を、ピチャピチャと舌で舐め回し口蓋に擦り付けながら、同時にディ−ンは自らの体に愛撫を施して行く

性器を擦り、乳首に爪を立て、喉の奥まで人工物のビクターをスライドさせる

『もういい・・尻を出しなさい』

やがてディーンは幻のビクターの命令を聞いて、シーツの上にに獣のポーズで這った

そして指を肛口に挿れて、ビクターを迎え入れる為に慣らす

「・・ぁ・・っ・・んっ・・・」

もう片方の手はさっきまで嘗め回していた唾液塗れの木製男根を体に滑らせ、乳首など感じるポイントにグリグリと押し付ければ、ディーンの体からは力が抜け、漸く2本の指を飲み込む

それだけではこその異物を受け入れるのにまだ早いと分かっていたが、もう我慢は出来なかった

硬い先端を入り口に添えて、ディーンは幻のビクターにいつも言い付けられている通りに言った

「ビクター、欲しいんだっ・・・・・俺を・・犯してっ・・」

『いいだろう、ディーン・・・力を抜きなさい』

クチュっと音をたてて本物と同じように張ったカリ首が、ディーンの下の口をその皺が伸び切る程に大きく開かせる

その衝撃に手の力から抜ければ、当然今宵のディーンの相手の人工物はビクターのように強引に挿入はしてくれない

「・・ゃ・・・もっと・・」

強く、無理矢理突いて欲しいと、ディーンは自分の体内からの圧力に負けて排出され、シーツの上に転がった木製男根を悲しげに見つめた

そしてズキズキ疼く内部に後押しされて決意したディーンは、体を起こして枕を引き寄せてそれを跨ぎ、浮かせた腰の下に人工物を据え置くと体を落としてゆく

しっかりと両太腿で枕を固定し、震える手にも決して男根をその位置からずれないように必死で力を込める

「・・あっ・・ぁ・・っ・・」

やがて太いその先端はディーンの体内に顔を潜らせ、肉襞が食んだ異物はもう手を離しても垂直に屹立したが、途中内部の狭い肉の門に引っ掛かって止まった

それにディーンは迷わず全て飲み込もうと、上から全体重を一気に掛ける

「・・っ・・く・・ぁっ・・あああっ!・・・っ・」

ズブリと鈍い音と共に全てが入り込み、ディーンの上半身は勝手に反り返ってガクガクと痙攣した

枕も血の色に染まったが、ディーンが痛みに顔を歪めていたのは一瞬だった

直ぐにその腰はゆっくりと前後に動き出し、その両手は自らの体の上を撫で回し始める

「・・ぁっ・・・あ・・んっ・・ビクター・・・」

どちらも立ち上がり硬さを増していた乳首と性器を弄り、そのどちらの先端にも爪を立てて嬲った

それはディーンお気に入りのビクターの手管の一つで、彼にゼロから男に抱かれる事を教え込まれたディーンは、一人の閨でも正確にそれを再現するしか出来ない

たった一つ違うのは、今夜は堪えられぬディーンが性器を好きなだけ擦って何度達しても叱られないという事で、いつものビクターとの行為では根元を握られたままだったり縛られたりで、射精さえ管理されたディーンは最後には狂う程乱れさせられる

だが、ビクターのそんな嗜虐じみた行為も、彼が望むならどんな事でもディーンには悦びに変わった

恐らくこれからどんな行為を要求されても、ディーンはビクターを拒めない

「・・お・・お願いだ・・ビクター・・いかせてっ・・」

惨めに泣き喚いて懇願する自分の姿を思い出し、そう叫ぶディーンの先端からは白い粘液が噴出した

ビクビクと震える体は体内の異物をビクターと錯覚して締め付け、いつもは達している間も乱暴に肉を抉られる刺激が今夜は無いのに、ディーンは嫌だと首を振る

もっと乱暴にしてほしい

叩きつけるように、容赦無く

細身だが最長老のバンパイアとして特殊な能力を持つビクターは、軽々とこの体を抱き上げて立ったままでもディーンを犯せた

それだけでなく回復力も超人的で、寝室でたっぷり啼かされた後でも、城の中で出会い頭に部屋に引き摺り込まれ再び精液を注ぎ込まれる事もあった程なのだ

「・・ビクター・・ぁ・・ああっ・・・・」



ディーンをこんな淫らな体にしたのはビクターだ

そして彼意外に体を預けるつもりもないディーンを満足させてくれるのも、ビクターしかいない










「・・お願いだ・・ビクター・・・・早く帰ってきて・・・そして俺を滅茶苦茶にして・・・」







ディーンはその夜いつまでも異物を尻の中に嵌めたまま、何度もビクターの名を呼び続けていた







end

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