続・お色気賞金首 2
日が傾きかけた道の真ん中に出て左右を見回すと、遠くに人だかり見えその不穏な雰囲気がここまで伝わって来ていた

「ねぇっ、あの騒ぎ何?」

僕は思わず向こうから歩いて来た年増の女に、何が起こっているのか尋ねる

「んー?・・なんでも賞金稼ぎがお尋ね者の若い男を狙ってさぁ・・
 最初に撃った弾が逸れて、本当ならそれで殺されるところを
 狙われた方の男が正々堂々そのまま決闘に持ち込んだんだってぇ」

「・・・・」

「みんなは有名な男だって言ってるよ、最近英国からこっちに来た私は知らないけどねぇ」

「・・まさか・・」

何時も平気な顔をして町をうろつくから忘れがちだが、ディ−ンの首には多額の賞金が掛けられていて何時それ目当ての人間に襲われるか分からないのだ

嫌な予感に走り出し、人を掻き分け前に出た瞬間乾いた銃声が二つ、ほぼ同時に辺りに鳴り響く

「・・!」

見れば手前には見た事も無い男、10数メートル向こう側にはディーンが立っている

彼が手にした銃口からは煙りが立ち上り、男が崩れ落ちるのを見るとディーンはクルクルと銃を回し腰のホルスタ−に納めた

倒れた男は眉間を一発で撃ち抜かれ、即死だ

「・・ディ−ン・・」

周りを多くの人が取り囲んでいるというのに、誰一人して口を者も動く者も居ない

みんなディーンの発した一瞬の殺気と神業染みた早業にゾッと背筋を凍らせて硬直したままで、そういう僕も彼がこちらを見つけ歩み寄ってきて漸く動くことが出来た

大丈夫かと走り寄り言いかけた僕に、ディ−ンはすぐに愛馬を繋いでいた厩へと走り出す

「・・ディーン?、どうしたの?」

「もうすぐ保安官が来る、逃げるぞっ」

そしてディ−ンはインパラを連れ出して跨がると町を出て、再び荒野へと彼女を走らせたのだ



























「あ〜あ、今日も同じか・・」

「・・・・・しょうがないだろ・・食料はこの干し肉と酒しか無かったんだから
 文句言うなら酒場で飲む前に、ちゃんと調達しとけば良かったんだよ・・」

保安官の目を盗んでどうにか町を出るのに成功した二人は、結局今夜も宿屋のふかふかのベッドでは眠れず、粗末な食事と冷える荒野の砂地に毛布を敷いての野宿になってしまった

だがディーンの不満は、この焚き火の前での食事ではなかったらしい

「そうじゃない、俺が言ってるのは・・・・夜のお相手」

わかる?と、ディ−ンは肩を竦めて見せるのに、僕は腹が立つのを通り過ぎ悲しくなってくる

「・・ディーン、僕の・・・何が不満・・?・・」

大きさとかテクニックとか言われたら心底落ち込むなぁと思いつつ尋ねると、ディ−ンは土の上に敷いた毛布の上に寝転んで、う〜んと唸っている

「・・・そんなに・・僕が嫌いなの?・・・・嫌なんだね・・顔も見たくない・・?」

言ってて自分で自分が酷く可哀想で、僕はなんだかウルウルして泣きそうになってくる

ディーンもそれに気付いたのか、焦ったような顔でチラチラこちらを窺って来た

「・・いや・・サム・・嫌って言うんじゃなくて・・」

「じゃ・・なにぃ・・?・」

「な・・なぁ・・泣くなよ、頼むから・・」

「・・・・・・」

そしてさっきまではお気楽な口調で饒舌だったディーンだが何故か途端に静かになり、困った顔で満天の星空を眺めながら溜息をついた

僕は、頼りにもならず嫉妬深く付き纏った自覚が有ったから、そんなディーンの傍で小さくなる

だけど次にディーンが言ったのは、意外な事だった

「・・違うんだ、サム・・嫌いだとか不満だとか・・そんなんじゃない、本当は・・」

「・・?・・」


「・・・・さっきみたいな事が・・何時起きてもおかしくないから・・・」

「・・ぇ・・?」

ヤケクソで乱暴に焚き火を掻き回していた手を止めてディーンを見ると、彼は何時しか背を向けて丸まっている

まさか、と僕は思った

まさかディーンが街に入ると途端に僕を遠ざけようとする理由は、それ?

「さっきの決闘の相手・・
 呼び出されて行ったら・・突然後ろから狙ってきやがった、賞金稼ぎの連中は容赦無い」

「・・・・」

「お前だって・・・怖いと思ったろ?、何時巻き添えで殺されるかも分からない
 町で俺と四六時中一緒に居たら・・・・お前の危険度も増すんだ、サミー
 もう少ししたら、お前も俺の仲間だと思われて保安官に追われるようになるかも・・」

僕はボソボソ呟くディーンに近づき、そっと後ろから覗き込んだ

「・・だから?・・・・だから、町では僕と一緒に居たくないって言ったの?・・」

「・・・・・・・・・」

「・・僕の為・・?・・」

僕は、それを否定せず振り返ってじっと見つめてきたディーンを抱きしめると、キスをした

そしてあんなに他の男と寝たがったくせにその口付けを深いものに変えたのは彼の方で、僕は首に巻きついたディーンの腕に促されて正面から体を重ねる

そうすれば二人とももう我慢出来ず、互いのシーンズの前を緩めるとその中のものに手を伸ばし、高め合った

「・・うっ・・ん・・・」

途端に上がる鼻にかかった彼の声が可愛くて、直ぐに高度を増した僕は性急にディーンのジーンズだけを脱がすと、脚を大きく開かせる

「・・ぁ・・っ・・サミー・・まだ・」

「・・だめだよ・・我慢出来ない・」

地面に敷いた毛布が薄いのも、事前に小石を拾っておかなかったから彼の背中が痛いのも分かっていたが、僕は一気にディーンの中に挿いって動き始めた

そして前を擦るのは彼自身の手に任せて、腰を激しく振り立てながらディーンのシャツのボタンを外して小さな胸の突起を探す

それを口に含んで歯を立てればディーンは大きな声で上げて先端から白い液体を振り撒き、彼の直腸の筋肉も痛いほど僕を抱きしめ射精を促して、二人の体は同時にビクビクと跳ねた

「・・は・・ぁ・・」

軽い自己嫌悪に陥るほど早く頂点を極めてしまった僕は、ディーンの体内から出ること無く背中を痛がる彼を抱き抱え、膝の上に乗せる

急速な行為はいくら若いといっても胸の鼓動を激しく乱し、なかなか二人とも呼吸を正せない

「・・馬鹿・・・・サ・・ム・・・慌てすぎだ・・ぞ・・」

「・・っ・・ごめん・・・でも、ディーンがあんな事・・言うから・・」

僕はほんの数分も保てなかった一回目に反省して、今度はたっぷり彼を啼かせようと緩々と中を掻き回しながらディーンを抱きしめた

「・・最初から・・言ってくれればよかったんだよ・・僕の為だって・」

「・・っ・・・ぁっ・・」

「でも・・これからも別行動なんて嫌だよ
 ・・僕はもっと強くなる・・約束するから・・・いつでも傍に居させて」

「・・で・・も、サム・・・・」

月明かりの下でディーンが困ったように忙しなく瞬きするのが分かったが、僕はこの点に関しては一歩も引く気が無かった

「誰に追われたっていい・・ディーンと一緒なら」

「・・あっ・・」

まだ何か言おうとしてるディーンを強く揺さぶって黙らせると、僕はゆっくりと時間をかけて彼を快楽でトロトロにさせ、最後には強引に何時も一緒にいてくれるという約束さえ取り付けてしまったのだ





























「・・でもさ、偶には別の部屋に泊まろうな?」

「・・・・・・・なんで・・?」

ここにきてまだそんな事を言うのかと、僕は後始末をしていた手を思わず止めて、ジトッとディーンを見た

すると疲労の余り脱力している彼はさっさと拭けと言わんばかりに足を僕の膝の上にドンと置き、眠そうな顔で口を尖らせている

「・・俺だってなぁ、サム・・・一応お前が特別だってのは認めるけど・・
 妥協して毎日違う物が食べたいとまでは言わないからさ・・・いいだろ?」

「・・ん???・」

「お前、毎日同じおかず食べるのと毎日違うおかず、どっちがいい?
 ・・それと一緒だよ」

「・・・・・・」

そうゆう例えで来るか、と僕は咄嗟に何も言えず黙り込む

「よし、決まりだな」

さっさと勝手に納得したディーンは、僕に体を拭かせてさっぱりしたのかホッとしたのか、その数秒後には寝息を立てていた

後には、やっぱり尻軽なのかなぁ、と悩む僕だけが荒野の真ん中で一人、眠れずに取り残されていたのだ












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