Galaxy Express 17
「・・ベッドじゃその気にならないなんて・・言わないよな?・・」
以前、自分への衝動を抑えられなくなったサムを確かに知っていたディ−ンは、寝台車両に戻るなり彼の気持ちを疑う事無く風呂上がりの桃色に染まった体をサムの隣に寄せた
「・・・も・・・もちろん・・僕は・・・」
だが、待っていたサムはとても愛しい人とこれから結ばれるという表情に見えない
だからと言って完全に拒絶する雰囲気も感じさせないから、ディ−ンはサムの真意が測れず少し不安になる
「じゃ・・なんでそんな暗い顔してる?」
ジョ−の宇宙船から帰った時のサムの行いは褒められるものではなかったが、あれでディ−ンは自分から行動を起こしてもいいのだと決心し、今夜誘ったのに
「・・別に・・緊張してるだけだよ・・」
「緊張か・・・それなら俺もしてるけど・・」
ディ−ンはサムの言葉を100%信じた訳ではなかったが再び次の停車駅で何が起こるか解らず、もしかしたら一緒に過ごせるのはこの数日だけになるかもと考えれば、躊躇う暇は無いと思った
「男とは・・初めてなのか?、サム」
ベッドから垂らした脚をモジモジ擦り合わせながら、ディーンは横目でサムを窺う
「・・・・・・」
「お・・・俺はほら、スラム育ちだから事故みたいなことが何回か・・昔あったけど・・」
「・・・・・・」
「初めてなら道理で・・あの時強引で手荒だと思ったよ、お前・・自分でする時みたいに優しくしろって」
同じ体の構造してるんだら分かるだろ?と、ディ−ンは敢えて明るく話し掛けながらサムの服にも手を掛けた
「っ・・ディ・・ディ−ンっ」
「いいから、じっとしてろ」
そうは言ったものの自分もこんな場面で余裕を見せる程の経験は無く、更に機械伯爵の城で遭った非道な仕打ちで付いた心の傷も未だ癒えずに、少しでも気を緩めればその手は無様に震え出す
そんな自分に内心舌打ちしながら、ディ−ンは躊躇うサムを裸に剥きベッドに乱暴に押し倒した
「・・ちょっ、待って・・ディ−ンっ」
「もう待てないっ・・・知ってるだろ?、俺の気持ち」
「・・でも」
「でも、じゃない、サム・・・今夜しかないんだ
もうすぐ機械の体をくれる星に着くって・・・だから、その時何かあって俺達のどちらかが死んだら?」
「・・ディ−ン・・」
ディ−ンは、目の前のサムの顔が哀しそうに歪むのを見て安堵した
「俺と・・二度と会えなくなったらって、考えろよ・・」
「・・ディ−ンっ」
「このままお別れなんて嫌だろ?・・嫌じゃないのかっ?!」
一向に動き出さないサムに焦れて、ズボンも毟るようにしてベッドの下に落とすとサムの上にそのまま跨がったディーンは、自分から最後までしてしまうしかないかと考える
だがその時、突然ディ−ンの世界がクルリと一回転回った
「えっ?」
気付けば自分の方が寝かされ、見上げればサムの顔がある
それはこれまでの憂いや迷いを抱えた表情ではなく、どこか激しい痛みを堪えているように見える
「サム・・?」
「・・・・ディ−ン・・僕を・・許して・・・」
「・・なに・・言ってるんだ?・・」
そのまま首筋に顔を埋めて来たサムの体は、震えていた
彼が何に苦しんでいるか予測も付かないが、ディーンは戸惑いながらもただ一つの望みを口にする
今夜しかない
今夜しかなかったから
「・・サム・・・許して、なんて言葉じゃない、今俺が欲しいのは・・」
「・・・・・」
「お前の・・・・正直な気持ちを言えよ」
やがて、顔を上げたサムの目は、全てを運命に委ねた者だけが見せる漂白されたような静けさに満ちていた
「・・愛してる、ディ−ン
・・・・これが・・今の・・・僕の真実だよ・・・」
それは小さく掠れた声だったが確かにディ−ンの耳に届き、漸く聞きたかった言葉を貰った嬉しさにサムの首に両手を回しきつく引き寄せる
「・・サム・・っ」
サムが、自分の計り知らぬ何かに苦しんでいるのは分かった
でも、今はサムも自分を愛していると言ってくれた、それだけでいい
その言葉に、嘘は無い
サムを信じてる
何があっても、彼だけば自分の味方でいてくれる
「・・どうしたの?・・これ・・」
今まで自分の気持ちの整理で精一杯だったのか、サムは心を決め抱き合って鎖骨にキスを落とす段になって初めて、惑星ヘビー・メルダ−の時間城でディ−ンがどんな目に遭ったのか気付いたようだ
「機械伯爵がっ?・・そうなんだねっ」
違うと言いたくても、白い肌にくっきりと付いてしまった赤い痕や手首の拘束の傷に、ディーンはサムに対しこんな事が遭って直ぐの体を差し出す申し訳なさを感じる
「・・ぁぁ・・ちょっとな
でも、大丈夫だ・・・ちゃんと隅々まで洗ったし、もう汚れは付いてないと思うから
・・・ぁ・・・・もし・・まだお前が気になるなら、もう一回シャワー浴びて・」
「ディーンっ!」
両肩を強く掴まれてた挙句大きな声で呼ばれて、ディーンはビクリと体を緊張させた
こんな汚い体は抱けないとサムに言われたらどうしようと、そんなことばかりが頭の中をグルグル回って泣きたくなる
だが、次のサムの行動は、ディーンの予測を超えていた
「・・・ぇ・・?・・サ・・サムっ?・・」
突然サムは目の前の肌に付いた痕に、唇を寄せた
そして強く吸って、その痕を新たな痕で上書する
「・・・ぁ・・サム・・・・・んっ・」
乱暴に摘まれて赤く腫れた胸の突起も、サムの口に含まれて丹念に清められて転がされる
「・・痛い?」
「ぃ・・痛く・・ないけど・・・」
ディーンの頭の中には、慣れてないと言ったくせにこの上手さはなんだとか、突然やる気になるなんてズルイとか、そんな言葉が浮かんでくる
もう片方もチュっと音を立てて舐められ息を詰めたディーンに、サムはその気持ちを察したのか言ってきた
「・・ごめん・・許せないんだ
ディーンの体に他の奴がこんな・・・・だって・・ディーンは・・・・」
「・・俺・・は?・・」
「・・・・・・」
「そこで黙るなよ、馬鹿野郎・・・・俺の物だから、って言え」
だが、今まで自分から動かなかったくせに嫉妬深いディーンの恋人は、そのまま請われた言葉を返さず行為を再開した
そしてディーンの胸の内に息付く微かな不安は、サムの肉体が与える刺激に掻き消されていった
「・あっ・・ぁっ・・・・サムっ・・待てって・・っ」
「・・ディーン・・っ・」
慣れているフリをしてリードするつもりが、結局ディーンはサムの肉体を前に白旗を掲げていた
そしていざ挿入という段になれば、その掲げた旗を無様にプルプルと振りたくなってくる
「・・畜生っ・・・聞いてない・・ぞっ・・こんな・・っ」
動揺してついついスラム育ちの乱暴な言葉が飛び出すが、その勢いは全く無い
それもその筈、サムは経験がそう無いディーンでも分かる程、規格外の大きさだったのだ
「ごめんっ・・・ディーン・・・」
「・・・まる・・で・・コーラの瓶・・じゃねぇかっ・・・こんな・・ん・無理っ・・」
きつい場所へ入る方も辛い筈だがサムは決して諦めようとはせず、うつ伏せになって荒い息をつくディーンの体を宥めるように撫でながら、少しだけ萎えてしまった前を優しく擦り、1ミリ、又1ミリと体内に入り込んでくる
限界まで口を拡げて侵入を図るそれは機械製のものと違って火傷すると思うくらいに熱く、ドクドクと脈打つ鼓動はディーンの粘膜にまで伝播しヒクヒクと蠢かせる
「・・ぁ・・んっ・・・・も・・・ゃ・・っ・・」
「もう・・少しだよ、ディーン・・・・力・・抜いて・・」
隙間無く埋まったことで嫌でもポイントを強く擦られるディーンは、そんなのは無理だと首を振った
決して痛みからではなく、自分の全てがサムになってしまう恐怖が体を強張らせ、やがて来る悦楽の予感にその肉体は期待して震えている
「・・も・・駄目・・・だって・・・っ・・・」
延々と続く異物の侵入はディーンの呼吸と脈拍を限界まで早め、もはや意識は朦朧として上半身もグッタリとベッドに投げ出していた
あと数十秒でもこの状態が続いたらサムとの初めての夜が意識不明のまま終わることになると覚悟していたディーンは、その時自分の両肩をしっかりと掴むサムの手の感触に気付かなかった
それは同じく限界を察したサムの、苦しい選択
「ごめん、ディーン」
「?・・・・・・っ・・ああ゛っっ!!!」
次の瞬間には、サムが最後まで全部、体内に入っていた
そのショックにディーンは声も出せず、ビクビク体を痙攣させ、ただ口を大きく開けて必死に呼吸をする
「・・っ・・」
「・・ディーン、まだ動かないから安心して・・・ゆっくり、しっかり呼吸して」
「・・っ・・・はっ・・・・・馬鹿・・サムっ・・・・」
確かにこの方法しか無かったと分かっていても、この状態でそれを笑顔で受け入れられる男なんて居ないとディーンは心の中で叫んでいた
だが、これまでディーンが経験した全ての男は欲望を抑えられず勝手に動き出したのに、サムだけは一人背後で苦しげな息を付いて耐えている様子が感じられ、やがて落ち着きを取り戻したディーンは後ろを振り返って無理矢理笑顔を作ってやった
「・・・俺・・少しも動けないから・・・腰、しっかり掴めよ」
「・・・っ・・」
そしてサムは漸く出たお許しに、早速腰を前後に動かし始めた
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