Automatism 16
サムとアッシュは、リストにあるビルを全て捜査し終えても何も見つけられず、他の刑事や警官からもそれらしき報告は入らなかった

仕方なく最も近く手薄な箇所に救援に回ることにしてサムは黙ったまま車を走らせ、その空間には自分達の考えが正しいのかという不安に満ちた空気が漂っている

「通常犯人は同じ種類の犯行なら、最後までそのパターンを貫くもんだかな、サム
 今回に限って引き篭もるための部屋を用意してないなんて変だよなぁ?」

「・・・・・」

「次の探査でまだ調べ終わってない建物に2人が近づいて来てるところならベストだよ
 待ち構えて検挙できる・・・でも、そうじゃなかったら益々分からなくなる、だろ?」

「・・・・・」

「おい、なんとか言えよ!・・どうしたんだ?」

何にも言わぬままでいると流石にアッシュも怒り、リストの紙を筒状に丸めてサムの頭をパコンと殴って来た

「っ・・ごめん、アッシュ・・・・もしかしたらって考えてた・・」

「?・・・何がだよ?」

交差点を走り過ぎた所で次の携帯電波探査の結果を聞く為車を止めて、サムはアッシュに向き直る

「・・・ディーンがさ
 もしかしてディーンが・・・僕達のこの動きも読んでるんじゃないかって
 それでもう誰にも迷惑を掛けたくないと思ってるなら、彼は・」

「犯人と結託するかもな、その点だけは・・・・可能性は有るよ」

「・・うん」



そしてサムの思考が真実に辿り着いたその時、署から無線の連絡が入った

定時に入る筈の電源が、今回は全く探査出来なかったと言うのだ

つまり、もうゲームは終わったと、その結果は告げていた


















































「ふっ・・まったく・・驚かすなよ」

渾身の力を込めて床を蹴ったディーンだが、微かに息がかかるまでに近づけた銃も後ろ手に縛られたままでは取り上げられる筈も無く、アルバートの手で乱暴に引き摺られマットレスの上へと戻された

それはまるで幼い頃、逃げ出そうとしたベッドへ養父の手で戻された時と同じ

「・・こんなふうに餓鬼の頃も抵抗したのか?、ディーン
 逆らえば逆らえだけ酷い目に遭うと・・・学ばなかったのか?、殴られると」

「・・・・」

「ああ・・・それとも酷くされるのが好きか?
 もっと無理矢理、残酷に扱われたい?・・・それなら俺はいくらでも期待に応えられるぞ」

ディーンは、アルバートを取り巻く雰囲気が一瞬で変化したのを感じ取った

それは子供を性的な対象にする男の共通点ともいえるもので、彼らは2つの顔を持っている

一つは子供を油断させ、近づく為に使う優しい顔

そしてもう一つは、手に入れた獲物を残虐に嬲り殺す時の悪魔の顔だ

「っぐ!・・・ぅっ」

アルバートはディーンの腹部を蹴り付け、衝撃で詰まった息に丸まった防御の体制を取ると、今度は頭を硬い革靴で踏み付けた

「まずは大人しくなってもらおうかな、ディ−ン・・・又暴れられては興醒めだ
 ・・それに・・・暴力もお前には必要だろ?」

「・・意味が・・わからねぇ・・・」

「分かるさ・・・今のお前は、又あの時みたいな状態になれば良いと思ってる筈だ
 俺が今まで殺した餓鬼の怨霊を身体に入れて、力を借りて俺を殺したいってな」

「っ!・・そんな・・こと・」

「考えてないって?・・嘘だな
 だったらこのまま俺に殺される?・・それでいいのか?、力が欲しいだろっ」

髪が抜け落ちる程に乱暴に掴まれ、ディーンは無理矢理立たされると腹部や脇腹を続けざまに殴られた

急所だけはどうにか避けようと体を曲げる努力をしたが、巧みにアルバートはそこを突きものの数分でディーンは再びマットの上に崩れ堕ちてしまった

「・・っ・・は・・・・や・・やめっ!」

「歯を食い縛ってろっ、舌を噛むなよっ」

そしてディーンはアルバートがその手に鉄パイプを掴み振り上げた姿を見た直後、ボキリと自分の右足の骨が叩き折られる音を聞き絶叫した

綺麗に折れた足は有り得ない角度に折れ曲がり、アルバートは呻き続けるディーンの姿に興奮したようにぺロリと自分の唇を舐める

「どうだ、痛いか?・・・・これは俺が餓鬼を犯す時、毎回やる方法でな」

「・・っ・・ぅ゛・」

「こうされて乱暴に腰を揺らされたらどうなると思う?・・・折れた足がブラブラ揺れるだろ?
 そうすりゃただでさえ狭い子供の肛門が、激痛で更に俺を締め付けて・・・たまらねぇんだよ
 ・・・ほら」

「ぁ・・・ああっ!・・」

うつ伏せに返され、大きく脚を拡げられたディーンはそのままアルバートが侵入しようとしていると知り愕然と振り返った

幼い頃に養父をその身に受け入れた時とは、到底違う

明らかに性的な虐待の痕だと分かる酷い怪我をさせるのを恐れていた養父は、その時だけは丁寧に濡らし、慣らしてから行為に及んだものだ

だからその痛みと異物感は大きいのに変わりは無かったが、ここまで自分の肉体が破壊されるかもしれないという恐怖は感じなかった

「酷い方が燃えるんだろ?、行くぞ、ディーン」



「っ・・ぁ・・・やっ!・・あ・・あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!」



メリメリと肉が裂かれ、目の前が真っ赤に染まったその一瞬だけは、折れた足の痛みが吹っ飛んだ

そして数日前に理由も教えずに別れを告げた愛しい男の顔が一人戦う事を決めてから初めて、ディーンの心の中に浮かんでいた









































動物のポーズで這わされ、ディーンは腰だけを高く掴まれて何時間もアルバートに犯された

振動が折れた足に伝わる度に自分でもきつく肉棒を締め付けるのが分かり、そしてそのタイミングに合わせて殊更にアルバートが前立腺を抉る動きを繰り返している事も鮮明に感じ取れる

「・・ぁッ・・・あっ・・ん・・やあっ・・っ」

「ふふ・・・・いい子だな、もう思い出したのか?・・こんな物にまで悦んで」

やがて幼い頃から男を受け入れて悦ぶ術を叩き込まれていたディーンの肉体は、乱暴に抜かれる性器に因るものではない快楽を容易に思い出し、アルバートが傍らに有った空のワインボトルを挿入されても喘ぎを漏らしてしまう



そして肉体が、過去と現在を錯綜させた


仕込まれた体を使って、養父に商売をさせられた時

同じように男達は乱暴にディーンの肉体を弄び、満足すると次に用意した性具で執拗に嬲った

まだ異性との恋も知らない年齢の少年を、淫らだと、淫乱だと蔑む言葉を吐き捨てながら

そして自分の体が自分のものとも思えなくなる頃に開放されてフラフラと家に戻れば、稼いできた金を奪い酔った養父は気晴らしに度々ディーンを殴った

酷く




「淫らな子だな、ディーン・・・なんでもいいんだな、挿れてもらえる物なら」

「・・・・・・」

「ちゃんと出来なければまた痛い目に遭うぞ?、今度は左足を砕いてやろうか?」

「・・・・・・」








アルバートとあの時の男達、そして養父の声が重なり、気付けば傍らの子供の死体が目に入る

毛布が捲れて青白い顔が剥き出しになって、その瞳がディーンをまっすぐ見つめている気がした










そして  異変









「・・ぃや・・だ・・・」

ゆっくりと前後に、ディーンの頭が勝手に揺れ始める

少しずつ、少しずつ、大きく









「・・・やめろ・・・やめてくれっ・・」

喘ぎの中に呻き声が混じり、身体も快楽故ではない震えに包まれる

哀しみや憎悪が、まるで汚水が染み込むように精神を暗黒の色に変えてゆく








このままじゃ駄目だと、自分の心の叫びが聞こえる



身体に入れるなと

だけど











だけど











「っ・・・助けてっ・・・サムっ!!!」








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