不死の王国
あの日

地獄の猟犬は、俺の体を引き裂いた

ズタズタにされた俺は、普通なら当然死んでいたに違いない傷を負わされていた

だが





俺は死ななかった


































不死になる方法を知っていた、ベントン医師

彼はモンスターのような風貌で200年も生き永らえ、遂に俺達に殺されるそうになるとその方法を教える事と引き換えに命乞いをした

どうしてか俺に残された時間があと僅かだと、彼は知っていたからだ

だが、当然俺は断った

単純な話だ

モンスターになって生きるか、人間として死ぬか

そこまで俺も馬鹿じゃない

そして当然、サムも俺の意思を汲んでくれると思っていた



あの瞬間までは











気付けば俺の口にはクロロホルムがたっぷり染み込んだ布が宛がわれ、耳元でサムの謝る声が聞こえた

ごめんね、ディーンと、サムは言った

何をしても兄貴を死なせない、と

そして俺は、サムが最初からこれを計画していたのだと、知ったのだ























































「・・っ・・・サム・・もうやめろっ、頼む・・から」

暗い地下室

何度目か分らない台詞を、俺は無駄と知って繰り返していた

何故なら手足を寝台にきつく縛られ、頭さえ固定された状態では自由になるのは口だけだ

いっそ意識も奪ってくれればいいのにと思ったが、サムは俺を正気のままモンスターに変えていた

「やめないよ・・言っただろ、ディーン」

ペイトンから不死の科学の知識を得たサムは契約の日をその技術で乗り切ると、その後もう不要だとばかり彼を殺した

そして、取り付かれたように俺に毎日向かい合った

「ディーンを地獄にやらない・・・そのためなら、僕は何だってする」

「・・だけど・・それはっ・・・」

「そう、やっと手に入れたんだ」

俺の横の寝台には、若くて健康そうな男

それは、サムの手によって誘拐されてきた、哀れな被害者の一人

「皮膚用・・・ディーンと同じくらい綺麗なの、探すのに苦労したよ」

「・・っ・・」

俺は、サムの手が無造作に鋭利なメスを掴み悲鳴を上げる男の皮膚を切り取り始めるのから、必死に目を逸らした

信じたくなかった

サムがこんな風になるなんて

だが、これは現実

紛れも無い現実だった

「ほら・・・・取れた、なかなか良いよ
 これでディーンの傷だらけの体も、元通りになる・・・嬉しいよね?」

「・・サムっ・・・」

「内臓だけ取り替えたんじゃ満足出来ないよ・・・全部・・全部元通りにしないと・・ね?」

古い皮膚を剥され他人のものを縫い合わされても、この体にはもう痛みが無い

それどころか新鮮で新しいパーツは、心地よい安らぎさえ齎す

「・・どう?・・気持ちいい?、ディーン」

「・・っ・・ん・・・・ぁっ・・・」

隣から罪も無い男の絶叫が聞こえるこの状況でも、新しい細胞を迎えた快楽は俺を酔わせ、見っとも無く喘がせる

「もっと・・もっと・・・ディーンを綺麗にしてあげる」

「・・っ・・サミー・・・ゃ・・んっ・・」

やがて血の饗宴は終わりを告げ、全身の皮膚を生きたまま剥された男は絶命した





















そして気付けば俺は、寝台の上でサムに高ぶったものをしゃぶられていた

ぺチャぺチャと音を立て、サムの舌が硬度と質量を増した俺を巧みに頂点へと誘う

「っ・・・サム・・?」

「気が付いた?・・・いつも手術の後、気を失っちゃうんだね
 でも、ディーンのココは僕を求めて起き上がってきて・・・面白いよ」

「・・っ・・」

そう、もう何度こんな時間を過ごしたか分らなかった

どうしてだが体のパーツを取り替えられると性的な衝動が湧き上がって抑えられなくなり、そのたびサムは俺をこうして慰めてくれている


傍らには、もう何人目かわからない犠牲者の死体

そして俺に優しく触れ、懸命に奉仕するサム

血の海の中

サムと俺だけ、たった2人

「・・・・・・・」

その時俺は、唐突に全てを諦める決心をした

もう、時間を元に戻すことは出来ない

俺は死ねない体になった


そしてサムを失う勇気の無い俺は、いずれサムも同じような体にしてしまうのだろう

ずっとサムの傍らで生きたいと、俺は絶対に思ってしまうから

「・・・サム・・もう・・拘束を解いてくれ」

「ダメだよ」

「もう・・分った・・・分ったから、ちゃんと俺を抱いてくれっ」

「・・・・ディーン?」

その時驚いたようにこちらを見るサムの表情がまるで子供のようにあどけなかったから、俺は思わず笑った

「もういいんだ、俺はお前と生きて行く・・こうして・・・永遠にな」

「・・・ディーンっ!・・」

サムはむしゃぶり付くように俺にキスをした

まだ互いの舌は自分の物のままだから、存分に互いを味わう

だがやがてそれさえ他人の肉体を使わなければならなくなるのを、2人は知ってる

「・・・・他の奴ので・・キスは・・嫌だな・・」

「・・?・・ああ・・そうだね、ディーン・・でも僕は」

サムは、ふと漏らした俺の本音に、泣き笑いのような顔で勃起したものを握りこんで言った

「俺だってこっちや、こっちも・・・・他の男のじゃ嫌だよ」

全くだった

俺は漸く自由を得た腕で、サムに抱きついた








これでいい

もう、こうするしかないなら

狂った王の支配する、この不死の王国で、生きて行く






2人だけで







end

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