オレとアイツの青春シリーズより
『番外編 神明の場合。』

良く晴れた気持ちのいい秋晴れの午後ーーー
天下に名高い華道神鳴流の気高き宗匠、つまりわし、秋葉神明はひとり洗面台の鏡の前に立っておった。
我ながら惚れ惚れするような威厳のある面構えじゃ…
だが、しかし、威厳だけあって良いものではない。
とりあえず鏡に向かってスマイル、笑顔の練習なぞしてみるとしよう。
にっこり。
うん、なかなかいい笑顔じゃ。これなら神楽も今以上に打ち解けてくれるに違いない。
自慢の口髭を撫でながら満足げに相槌を打つ。
そこに絶妙のタイミングで最愛の孫登場。
「……おじいさま?」
「ん、なんじゃ?」
可愛い可愛い目に入れても痛くないほど可愛い愛する孫の声に思わず一瞬顔が緩んだが、とりあえず咳払いをひとつ。それでなんとか威厳を保つ。
正直最初は息子に瓜二つな神楽を快く思っていなかった。手塩にかけて育てたはずのひとり息子は簡単に家を捨てて出て行った。それでもいつかは帰ってくると信じて待っていたわしの元に帰ってきたのは、ただの抜け殻だった。もう何の意思も持たないただの抜け殻・・・
わしは愛する息子に二度裏切られた。その時はわしはもう二度と誰も信じないと心に誓ったのじゃ。
だが、しかし、それを神楽はものの見事に打ち砕いてくれた。おかげでわしはもう一度、もう一度だけ、他の誰でもない神楽を信じようと決めたのじゃ。
「……今日神那の家に泊まってもい?」
だが!しか~し!!
またしても鳶は現れたのじゃ!!!
その名も伊集院神那。名前に同じ漢字がつくだけでも腹立たしいのに、その上同性と来た。全く以っていけすかないヤツだ。
ここは!ここはバシーンと保護者としての威厳を持ってだな。
「ねぇ、おじいさま?ダメ?」
…威厳を持ってだな……
「オ・ネ・ガ・イ」
…い、げ……ん………をもって、だな…………
「……仕方がない。くれぐれも向こうの親御さんには迷惑……」
「わあ!やった!神那、OKが出たよ!」
わしが保護者としての威厳を見せる前に、ひょっこりとその男は神楽の後ろから顔を出す。

「駄目じゃ……やっぱり駄目じゃああ!!!」

つくづく意気地のない男じゃ…こそこそと女の、いや神楽の陰に隠れて様子を見よってからに。
あんな男にまだまだ大事な孫は譲れないな。


久々読み返したら、文章が拙いの堅いのって……でも、このシリーズが水木の原点なので。
この番外編な感じで神楽と神那、そしてじいちゃんの生活は続いています、多分。
神明じいちゃんは実は神楽に甘々、でも頑固なのでなかなか素直になれず。
神楽は徐々にじいちゃんの扱いになれてきて、最近では手のひらでころころ転がしてる感じ。
多分将来はじいちゃんの跡をちゃんと継いで立派な(?)神鳴流の家元になるのでしょう。

戻ル?

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