ありがとう…雨よ。



地図も磁石もない、いきあたりバッタリの旅。略していきあたりバッ旅。

などとおやじギャグをコイている場合ではないのだ。
次の町まで まだどのくらいあるかわからない山の中で、雨にあった。
親のカタキのように降る土砂降りであった。

「せんせ〜早くどっかで休みたいだ〜」
「寒いだ〜ハラへっただ〜」

道中合羽の下でちゃっかり雨宿りしている双子は、前が見えないためなかなか足が進まない。

Zロリはすばやく両脇に双子をかかえると、雨を蹴散らしながら走った。

いくら見回しても雨宿りできそうな場所はなかったが、ふと、木のうろが目に入った。
少し狭いが、双子をなんとか押し込む。

「せんせは?」
「おれさまは…ムリだ!…他を探すさ。水と食料置いていくからな」
荷物を置き、雨が降り込まないように、木のうろを道中合羽で覆った。
双子はZロリの姿を目で追おうと、合羽をめくりあげたが、その姿はすでにに雨にかき消されていた。











「さ〜どこで雨宿りしたもんかな…ウ〜寒ぅ〜…」

一人旅でクセになった独り言をつぶやきながら、Zロリは森の中を歩いていた。…全裸で。


合羽をうろにかけて来たため、服は全てびしょぬれで、着ている意味をなさないからだ。
むしろ、体温を奪われて大変寒いので、脱いでしまった。こんな森の中に、誰もいやしない。
服を引っ掛けた木の枝を担いで、よさそうな場所を探して歩いた。
双子を残して来た場所をあまり離れるわけにいかないところが難しい。


大きなくしゃみを繰り返していると、後ろから突然柔らかい布に包まれた。

思わず小さく飛び上がるZロリに、聞こえた声は優しかった。

「後ろから近づかれてもわからなかったのかい?相変わらず無防備だな…」

反射的に振り向いた斜め上に、涼しげな碧い瞳。

「こんな所で逢うとは」

Gオンはいつもそう言うのだが、決して偶然などではない。
今回も持てる技術を駆使し、心を砕いてやっと探し当てた時、Zロリは雨に濡れて森をさまよっていた。

双子と離れたのを見て、声をかけようとしたとたん、服を脱ぎだしたのには驚いたが。

雨に打たれて冷え切った体を、コートに包んでキュっと抱きしめた。

「きゅうくつだぞ。…おれさまのレインコートはないのか?」

Gオンはそれには答えずに、抱きしめる腕に力をこめた。
ずっとこうしていたい。雨宿りする場所を探して移動するのさえ惜しい。

コートの中で、Gオンの手がZロリの体の線を、そして濡れた毛並みを確かめるように動く。
Zロリはすぐに立っていられなくなり、少し押されただけでもう座り込んでしまった。
「お、おい…こんな所にいたら、風邪ひいちまうって…」

「平気さ。バカは風邪をひかないと言うからな」
「なんだとぉ?!」
キバをむくZロリに、Gオンは眼を細めて ふ、と笑った。
「キミじゃない。…バカなのは おれだよ」

きょとん、とするZロリの眼をのぞきこんで、Gオンは言った。
「キミのせいだ」









さっきまで斜め上にあったGオンの頭を見下ろしながら、下腹部へ移動する舌を感じて小さく呻く。


雨はやむどころか激しさを増していった。天を向いているZロリは眼を開けることもできない。

Zロリを雨から守ってくれるのは、すこしずつ移動するGオンの体だけだった。

激しい雨音に、互いを呼ぶ声も、甘くとろけるような喘ぎも全てかき消されてしまう。
Gオンの手によって熱くなったZロリの体に当たった雨は蒸気となって二人を包んだ。

GオンにはZロリの姿が霞んで見えない。
Zロリにも、Gオンの姿が霞んで見えない。

互いに まるで幻のようだったが、その触れる手に、舌に、そして重なった体の奥に確かな一体感があった。


Gオンには蒸気でZロリの姿が霞んで見えない。
Zロリにも、Gオンの姿が霞んで見えない。

…それがGオンを包む蒸気のせいなのか
雨に流されても流されてもあふれる涙のせいなのか…
Zロリにはわからなかった。

わかっているのは一緒にいる、ということだけ。

やがて雨がやむまでの、二人きりの時間。

今はただそれだけでよかった。





おそまつさまでした。(2006年5月19日)

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