名台詞



「あ〜腹が減っただ〜」
「もう歩けないだ〜」
「おまえらだらしないぞぉ!!」

相変わらずのやりとりをしながらダラダラと森を進む3人であったが…ようやく目の前が開けてきた。

双子は急に鼻を活発に動かし「食べ物の匂いがするだーッッ!!」と叫ぶと同時に猛然とダッシュした。
その行動があまりに唐突だったので、前を歩いていたZロリは派手に突き飛ばされてその場でクルクル8回転した。

「おい、おまえたち待て…!!」

やっと起き上がり、駆け出した…その前方に、華やかな幟が何本も見える。何かの祭りらしかった。
運がいい。きっと何か食べ物にありつけるだろう。

双子にはすぐに追いついた。

「せんせ、こっちだ!食べ物の匂いがするだよ〜!」
「それになんだか賑やかだね〜」

走りながら3人とも心が弾んでいた。祭りはいい。…なんの祭りだか知らないが。

Zロリがそのままの勢いで双子を追い抜こうとした、まさにその時、
どこから沸いて来たのか大勢の男たちが争うように走って来た。

ざっと見ても1000人は超えるであろう、まさに人の海。そのうねりに呑まれそうになりながら、
3人は走った、走った走った!!

すぐにNシシの姿が消え、Iシシの声も遠ざかっていった。
それでも止まれない状況に、Zロリの俺スイッチが入った。
人の海は周りに立ち並ぶ幟や出店を蹴散らしながら、なお進む。

「ちぃっ!!なんだか知らんが負けるかぁー!!」

Zロリはひたすら全力で駆け、前方をふさぐ扉を勢い良く開けて、その向こうに転がり込んだ。

気がつくと大勢の老若男女に取り囲まれていた…どうやらゴールらしかった。

「おめでとう!一番乗りです!あなたのお名前は?!」
「Zロリ」

向けられたマイクに条件反射的に答えると同時に嵐のような歓声に包まれた。

「い、いや〜…どもども〜」

手を上げてそれに答えようとした、その時、信じられないことが起こった。
後ろから追いついた男たちも含めて、その場にいた全員が、Zロリに襲いかかって来たのだ。

( 正確には襲いかかっているワケではないのだが、その人数と勢いではどうしても そうとしか見えないのだった )

やっと追いついた双子がまず目にしたのは、地面に落ちてメチャメチャに踏みしだかれたZロリの服だった。
服の中身は 熱狂し、砂糖に群がるアリのような人々の上に担ぎ上げられていた。

「ほらっ、あれが今年の福男さんだぞ!おまえたちも触らせてもらえよー!」
「ご利益ご利益!!」

双子はあとからあとから押し寄せる人の頭の上を走るようにしてやっとZロリのそばにたどり着いた。
「なんだかおっそろしい祭りだなぁ…」
「んでも、…ご利益があるんなら、…とりあえずオラたちも触っておくだよ」

Zロリは誰の体液だかわからないものにまみれてグッタリしていた。
何度達したのか、もうトランス状態に陥っているZロリはとても神々しく見えた。









数時間後、潮が引いたように人がいなくなり、静まり返った神社に3人はいた。
Zロリの服はボロボロになってしまっていたし、未だ意識も戻らない。
双子も腹ペコで動けなかった。あの騒ぎで食料を確保するどころではなかったのだ。

双子が途方に暮れながら見つめていたZロリの体に、黒いコートがふわりとかけられた。

驚いて振り向くと、Gオンが立っていた。
ニセ双子の件から、どうにも好きになれないと思っていたが、今この状況下、こんなにありがたい人物はいなかった。

GオンはZロリの体に触れ、けがや骨折がないことを確かめた。
双子が泣きながら話すそれまでのいきさつを聞きながら、いつものように鼻先で笑った。

「キミたちは走ってこの村に入ってしまったから、道祖神を見逃したらしいな」

「ドーソシン?」
「…ウ、ウマイんだか?!」

Gオンは双子にわかりやすいように図を描いて見せた

「村の外にあったこんな形の石像だ」

「ウウウなかなかやるだな!!」

そこに描かれていたものは、恥ずかしくてハッキリとは言いにくいものだった。

「道祖神は村を災難から守る神だ。いろいろな形をしているがこれはその一例さ。これを見ていればこの村の風習が…」

Gオンの説明はいきなり鳴り出した双子の腹の虫にさえぎられた。

「む、難しいことを聞くと、いつもならおならが出るんだども…」

そう言って照れる双子に、Gオンはコインを握らせた。

「これで何か買って食べるといい」

大喜びで去る双子の後姿が見えなくなった頃、Zロリは意識を取り戻した。

Zロリは自分を見守っているのが双子ではなくGオンだったのに驚いたが、
すぐに自分が裸同然なのが なぜかを思い出して我に返った。

「あっちへ行ってくれ!…おれさまを見るな!!」

Gオンは激しく混乱しようとするZロリをなだめるように、言い聞かせた。

「恥じることはない。キミはこの村の人を幸せにしたんだ」

Zロリは潤んだ目でGオンを不思議そうに見つめた。

「なん…で、…おまえ、なんでそんなに優しいんだ…」



Gオンは しばしの沈黙の後、静かに言った。

「Zロリ。…×まみれでも キミは美しい」




おそまつさまでした(2007年1月13日)


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