戦いすんで日が暮れて



あかねいろに染まる夕暮れ、一台のエアバイクを駆る者がいた。

周りには、一時 絶望的になった人々によって荒らされた町が点在しているが、
一つの集団の力により希望を取り戻した今、このかけがえのない世界はとても美しく映えている。


エアバイクの主は、Gオン。向かう先は言うまでもなく、自分の城だ。

Gオンは 隕石接近のニュースを聞いてからの、慌ただしかった二日間のことを考えていた。
いや。集団の中心となって、地球を救った英雄(自称悪人)のことを考えていた。

彼に逢いたくて城を抜け出してきたのに、彼は多くの人々の期待の目に囲まれていて、
手が届くほど近くにいても、触れあうことさえできなかった。
地球が救われた瞬間、喜びのあまり下着をつけるのも忘れたまま みんなに大声で礼を述べる彼を見て、
Gオンは頭に血が昇ってしまい、なんだかわけがわからなくなった。


気がつくと、まわりは宴会で賑わっていた。たぶん、あの中心に彼がいたのだろう。確かめるまでもない。

Gオンは誰にも告げることなく、そっとその場を離れた。
ここでの役目は終わったのだ。城へ帰ろう。


本当に友達が多いやつだな。…まあいい。世界が続くかぎり、またきっとどこかで逢える。

そう考えていた時、突然バイクが重くなった。
驚いて振り向こうとしたGオンの首に、濡れたものがこつんと当たった。
「Gオン おまえ、いいモンに乗ってるじゃないかぁ〜。…なんだコレ、作ったのかぁ?!」
ぶつかったもの、それはZロリの鼻先だった。Zロリの吐息がうなじをくすぐる。

「ええい、いつの間に乗ってきたんだ!降りろ!!」

思わずそう言うと、Zロリはぎゅっとしがみついてきた。

「なんだよぉ〜そんな冷たいこと言わずに乗せてくれよぉ。おれさまもうクタクタでさぁ」
「んだんだぁ!!」

高い声で合いの手が入った。Zロリの背中には、あの双子がしがみついているのだ。見なくてもわかる。

「…ま、まあ、大変だったからな。疲れているのもわかる…」
そう言いかけて、Gオンは気がついた。…今ここにZロリがいる、ということは……

「宴会はどうしたんだ」
「へンッだ!おれさまを誰だと思ってるんだよ、いたずらの王者なのに 英雄あつかいなんてまっぴらだぜ」

彼も自分と同じように、あそこをそっと抜け出してきたのか。

「いいだろう。しばらく乗せて行ってやるが、しっかりつかまっていないと振り落とされるかもしれないぞ」
それを聞くと、ZロリはGオンの腰に手をまわし、背中にぴったりと体をよせてきた。

重い。…ああ。なんて幸せな重さだ。

「行くぞ!Zロリ」

Gオンは声高くそう言うと、いつもより少し荒っぽくエアバイクを駆った。



おそまつさまでした。(2006年3月31日)

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