タイトル未定




  ほとんど文無しで旅をしているので、夜は大抵野宿である。

しかし最近、格差社会とかで 目ぼしい場所には先客がいることが多くなってしまった。
今夜休む場所を求めて、Zロリたちはもう数時間 町を徘徊していた。

「もう歩けないだぁ〜」
「昨日からなんにも食べてないだぁぁ〜」

毎度おなじみな双子の訴えに答えて

「おまえら、情けない声出してンじゃない!」

と、言おうとした時、いきなり双子がすごい勢いで走り出した
後を追って走るうちに、おいしそうな匂いが双子を誘っているのだとわかった。
クンクン鼻をならし、よだれをたらしながらたどり着いたのは、町はずれに張られた大きなテントだった。
そこから食欲を刺激する芳香が、これでもかと漂っているのだ。
んもうぅ、三人の腹の虫は大合唱している。

「せんせぇぇ…」
「おなかがすいただぁ〜…せんせぇ〜…」

双子はもう、涙とよだれでベチョベチョになっている。

Zロリは すたすたとテントに歩み寄った。うまくいけば雨風はここでなんとかしのげるだろう。
声をかけると、中から少しくたびれた様子の青年が出てきた。Zロリたちを見て、一瞬目を丸くした。

「すまんが、一晩泊めて…」
そう言いかけた時、奥のほうから聞き覚えのある声がした。

「おや。Zロリくん」

Zロリを自然とツリ目にしてしまうその声の主は、もちろんこのテントの持ち主だった。

「Bルル!なんでお前がこんな所にテント張ってるんだ」

はっきり言ってしまえば、Zロリがこの町に入ったことがわかってから、テントを張ったのだ。

(フフフ…キミは目立つのだよ…今どきそんな格好で、徒歩で旅をしている者などいないからな)

真っ黒な腹の中ではそう思っても、口には出さない。

「ここは 我が社の日雇いたちのテントなのだよZロリくん」
「Bルル様は 住む家をなくした彼らに、こうして援助しているのでしゅ」
「ふ〜ん、そうなんだ」

Bルルも、なかなかいいとこあるじゃないか。

「そんな所に突っ立っていないで入ったらどうかね?」

Bルルのテントという所がなんだか気にいらないのだが、腹ぺこだし眠い。背に腹はかえられない。
中に入ると意外と広く、数名の男たちがいた。
Zロリは気づいていなかったが、みんな少し潤んだ目で Zロリの方をちらちらと見ていた。
ついでにズボンの前にテントを張っている者もいたが、Zロリは気づかず、普通に挨拶を交わした。



料理はなかなかおいしくて、双子も大喜びだった。
疲れていた双子は食後すぐにいびきをかき始めた


「まぁ、一杯どうだね」

Bルルがそう言って濁酒をすすめてきた。
だが、はいそうですかというワケにはいかない。

「そんな怪しいものが飲めるか!おれさまは遠慮しとく」
「そうかね?ではワシがいただこうかな」
「Bルル様、私がいただきましゅ!」
「あっ、よろしければ私が」
「社長、俺が」
「俺が飲みます!」
「いやわたくしが!」

その場にいた全員が、俺が俺がと挙手するので、テント内部は騒然となった。

(…そんなにおいしいのか これ?!)

「そ、そんならおれさまも…」

「どうぞどうぞどうぞ!!」

全員にすすめられ、Zロリは濁酒を口に運んだ。…そしてそれは、やはり罠だった。


たちまち意識がもうろうとなり、体に力が入らなくなった。

「さすがBルル様!」
「さあ、手はずどおり やりたまえ」
「いいんスか?…本当に、やっちゃっていいんスか?」
「こんなキレイな男と…夢みたいだ…」

血液が流れ込み硬くなる、その一箇所以外は全身ぐにゃぐにゃになってしまったZロリを囲んで、狂宴が始まった。
Bルルはその様子を録画しながら、これをいくらで売ろうかとほくそ笑んだ。









Zロリが気づいた時にはすでにテントはなかった。 全身は濁酒で汚れ、アルコール臭が漂っていた
例によって寝たふりをして堪能していた双子は、Zロリの全身を汚しているものは濁酒だけではないことを知っていたが、
例によって黙っていた。







その夜の様子を記録したDVDは、結局お蔵入りとなってしまった。

Zロリの姿態を覆い隠すように、ものすごい形相の白い狐が映り込んでいる 心霊DVDになってしまったからである。

今までKンロン博士や双子たちが何度もやってきたことではあるのだが、
さすがにBルルにまでは、ママのお許しは出なかったのだ。











おそまつさまでした。(2007年8月20日)

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