イク先は天国(違)
「どうなっとるんじゃ!このZロリという男!!えんま帳に名前がのっておるというのになぜまだ地獄に来ておらんのだ!!」
空気をびりびりと震わせる、えんま大王の怒鳴り声に、あくまはすくみ上がった。
「えんま帳に名前がのっているということは、地獄に来る運命だということだぞ!顔や居場所はもちろんわかっておるのだろうな!!」
「はっ、はいっ、こ、これがヤツの写真です」
あくまがおどおどとかばんから出した写真を、えんま大王はひったくるように受け取った。
隠し撮りのその写真は、入浴中、着替え中、睡眠中という、無防備三態だった。
「うむうぅぅ…………こいつ…こいつは………………許せん!…………うん、許せんなマッタク!!」
心なしか写真を持つ手が小刻みに震えている。あくまはおずおずと言った。
「あの……三枚セットで1000円…」
えんまは聞こえないふりをして、それをすばやく懐に入れ、あくまを怒鳴りつけた。
「どんな手を使ってでも、こいつを地獄へ連れてこんかぁー!!」
あくまはもう一度ふるえあがると、ころがるように地獄を飛び出して行った。
あくまはくじけてしまいそうだった。
ビルから落ちそうになっても、地獄の怪物に食われそうになっても、毒入りの鍋を食べさせようとしても、
あらゆる危険を切り抜けてしまう悪運の強さ。しかし、なんとしてでも地獄へ送らなくてはならない。
地上では、あくまはこの世界の住人に直接触れることはできない。だがこのまま間接的に接していては
Zロリを地獄へ導くのは不可能な気がしてしかたがない。
「もう容赦はしないぞ!こうなったら……」
あくまは、禁を犯す覚悟を決め、寝息をたてているZロリたちに近寄って行った。
ところが、一緒にいた双子がまだ起きていたのは計算外だった。
しかもうれしい計算外だった。二人の会話が聞こえたのだ。
「カワイイだなぁぁ〜」
「せんせ、ここんとこが弱いんだよな〜」
「そこそこ!この前なんか、もう限界だぁ!って言ってただ」
「それからこことか。死ぬぅ、って言ったことあるだよ」
「ああ、なんだよそれ!オラ聞いてねえだぞ!!」
「かわいかっただなぁ〜デヘヘヘヘ…………」
「ずるいだ!!…………もっと、もっと聞かせるだ!」
「ん〜…………でもなんか……眠く……………」
「…………あぁ…………オラも…………せんせ…………おやす…み…………」
もちろん、双子を眠らせたのはあくまの力だ。
あくまはそっとM字開脚でスヤスヤと寝息を立てているZロリに近寄った。
何かいい夢でも見ているのか、時々ニコニコ笑っている。
…かと思うと、急にべそをかいたような顔になり「ママ…」とつぶやいたりする。
見ていて飽きないが、自分には大切な仕事があったことに気がついて、頭をブルブルッと振った。
「いくら不死身の男でも、体のどこかに弱点があるはずですよね」
あくまは魔法でZロリの服を消し、全裸にした。
「ふふふ…………こうすれば、目を覚ました時に一番の弱点をガードするはずです。
つまりは、そこを攻めればイチコロ…………ふふふ…………」
「ふ…ふぁ……ッ…、クショッ!!」
その時、くしゃみと共に跳ね上がり、Zロリは目を覚ました。
「おわっ?!」
全裸になってしまっているのに気が付き、あわてて服を探すが、あくまが消しているので見つかるはずはない。
「な、なんで服がないんだ??」
「もうお前に服は必要ないのさ」
「わぁっ?!」
いきなり目の前に知らない相手が現れたのに驚き、Zロリはそのままあとずさった。
そしてその手は自動的に一番大切な部分をガードした。
「そこが弱点だな?!」
あくまはZロリに跳びかかってきた。
「なっなんだお前なんなんだ急に?!!」
「ごまかそうとしてもダメだね!必死に隠そうとするところがますます怪しい!!お前の弱点はそこだろう!!」
「何言ってんだお前は?!ここは男のコならばガードして当然の場所だろうがぁ!!」
Zロリも必死だがあくまも必死。全力で取っ組み合いをしたが手が使えないZロリの不利は明らかだ。
思わず背中を向けてしまったとたんに背後から胸をつかまれた。
「んぁっ!!………はぁ…っあぁ〜…」
急にくずおれるZロリにあくまは少し驚いたが、このチャンスをのがしてはならない。つかんだ手に力を込めた。
「やっ………、やめ……ソコは……ソコはぁぁ…………」
敏感な部分に触れる指を振りほどこうと必死に身をくねらせるほど、あくまの指にこめた力は強くなる。
「ここも弱点か!ようし!放すものかぁ!」
「あぁっ…………やぁ……」
あくまは指の触れた部分がしだいにコリコリとした手触りになってくるのを感じた。
同時にZロリの体から汗がふきだし、毛並みが乱れてくる。呼吸も苦しそうになってきた。
もう立っていられないほどのダメージを与えている。………このまま地獄へ連れて行ってしまおう。
あくまは尻尾をのばすと、Zロリが手でガードしていた"弱点"に巻き付け、ぎりぎりと締め上げた。
「あぁぁあぁっ…………!!」
あくまの尻尾に締められたZロリの一部ははちきれそうに脈打っている。
苦しそうなZロリの顔をのぞきこんでいると、あくまの心に今まで感じたことのない感情が湧きあがって来た。
「お前を地獄に連れていく前に、何か願いをかなえてやろう」
あくまは思わずそう言うと、自分を見つめ返すZロリの潤んだ目に少し頬を染めた。
(あ、あれ…何言ってるんだ…………おれは…………)
自分の気持ちに戸惑うあくまの目を、潤んだ目で見つめたまま、Zロリは苦しそうに言った。
「じ…地獄……?なんで…おれさま…が…」
「えんま帳にお前の名前がのっているんだ。これは逃れられない運命なんだ」
Zロリは頭がぼぉっとなって、だんだん何も考えられなくなってきていた。そんなことを急に言われても、わけがわからない。
「い…痛くしないで……くれ…………」
それだけやっと言ったあと、頬を伝ったZロリの涙に、あくまは胸を貫かれた。
さっきから感じているわからない感情が、あくまの中ではっきりとしてきたが…それは認めたくない感情だった。
いけない…………このままでは…………好きになってしまう…!!
あくまはもう、これ以上Zロリの姿を見たり、声を聞いてはならないと思った。
目を閉じて、手と尻尾に力を込めた。このまま一気に地獄へ送り込んでしまおう!!
Zロリの全身がけいれんし、うめき声と共に巻きつけていたあくまの尻尾が暖かく濡れた。
虚ろな目をして動かなくなったZロリを見つめながら、あくまは考えた。
(もう…地獄へ行ったかな…………)
その時突然、腹にずしんと来る、えんま大王の声が聞こえてきた。
「昇天させてどうするんじゃぁ?!このバカ者がぁ!!」
おそまつさまでした。(2005年6月4日)
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