ドッペルゲンガー?前編


(肌寒くなってきたなあ…)


そろそろ野宿はつらい季節だ。雨風しのげる場所をさがして、街まで足をのばした。
今度の街は少し変わっていた。地面から湯気がもうもうと出ている。

「わ〜〜。ココ歩くと熱いのか??」

と思ったがそんなに熱くはなく、湯気に包まれながら街中を歩くという珍しい体験を楽しむことができた。

「オラ、ハラへっただあ〜〜」
「そうだな…メシもなんとかしないとなぁ」

空腹を思い出すと腹の虫は合唱するしよだれは流れるし、なかなか忙しい。
安そうな店を探してキョロキョロしていると、街の人と目があった。

「旅の人。だいぶ疲れてるようだね。ひとっ風呂浴びたらどうだい」
「風呂!!」

Zロリの瞳孔が全開し目が丸くキラキラと光った。
お風呂は大好きだ。お風呂大好き選手権が開催されたら絶対に上位に食い込む自信がある。(そんなもん開催されないが)
(あ、でもお金がギリギリしかない…)
耳を垂らしたZロリにかけられた次の言葉はまさに天使のささやきだった。

「この街は温泉がガンガン湧いていて、無料で入れるお風呂がたくさんある。…あそことか」

……指し示された先には申し分ない建物が。

「わ〜〜い!!風呂だ風呂だぁぁ!!」
はしゃぐZロリの腰をIシシがぽんぽんとたたいた
「せんせ、オラたちハラへって…早くメシ食いたいだ…」
「そうか。んじゃ、こうしよう。おまえたち、先に食事して来ていいぞ。おれさまにも何か買って風呂に来てくれ」
「ホントに風呂好きだなあ…」

その言葉に対してZロリはググッとこぶしを握って力説した。

「旅をしていると、まともな風呂に入れる機会は少ない。寒い時期に川で行水はつらかった…。そこに温泉!!
風呂好きとしては、んもう辛抱たまらん状況だッッ!!」
「わかっただ。オラたちもあとで入りにくるだよ。じゃ、行こう、Nシシ」


一人になったZロリは湯煙の中、さらに土煙をあげて浴場にダッシュした。
もう遅い時間だからなのか見たところ他に客はいない。

「わ〜〜一人占めだぜ。くぅ〜〜〜うれしいッ!!」

すっかり天下とった気分ですこぶる気持ちよく湯の中で何曲も歌った。


歌い疲れて、はぁ〜〜〜と息をついた時、始めて人の気配に気がついた。いつの間にか次の客が来ている。
(わっ!なんか恥ずかしい…)
でも…まあ知らない人だし旅の恥はナントカだ。ここは笑っとこう。
あいそ笑いをしようとしたZロリだが…もっといい笑顔になった。湯気の向こうから現れたのは…

「Gオン!!Gオンじゃないか」
Zロリはおもわず立ち上がった。
「あっ…ああ。聞いたような声だとは思ったが、まさかこんな所で会うとはな…」
Gオンの目が少し泳いでいた。
「どうかしたのか?落ち着かないが」
「まっ…前を隠したまえ。前を」
「あ。こりゃ失礼。…けっこうキチンとしてるな」
「当たり前だ。…子供かキミは」

二人はしばらく並んで湯船に浸かっていた。温泉の心地よさに大満足しているZロリには、
流れる沈黙が全く気にならなかった。話しかけたいときに話しかければいい。

「なあ。あれから何か作ったか?」
「ウ…いや。なかなか作りたいモノってのもなくてな」
「ふ〜〜ん。まあ、そうしたもんかな。あせらずやるさ」
なんかポーッとしてきた。時間を忘れていたがずいぶん入っていたのだ。
(IシシとNシシ遅いな。…もうあがろう。湯あたりしそうだ)
「じゃっ、Gオン、お先」
「ああ」

(気持ちよかったな〜〜 んんっ。キレイに洗ってますます男前になったぜ)
Zロリは胸のあたりまで映る鏡の中の自分を見た。ニヒッと笑ったが、鏡の中の自分は笑わなかった。
(……あれ?やっぱり湯あたりしたか???)
と思った瞬間、鏡の中の自分だけがすうっ…とフレームアウトし、視界から消えた!!
本当に驚いた時は声は出ない。Zロリの視界にぐるっと天井が映りそして真っ暗になった。

「おい。しっかりしろ」
揺り起こされて気が付いた。
「う…んっ…」
Gオンの碧い眼が心配そうに覗き込んでいる。
跳ね起きたZロリは震える手で鏡を指差した。
「いっ今、おれさまが……って、あれ?!」
見て驚いた。鏡だと思っていたのはただの窓だったのだ。しかも開いている。
「なんだと??映っていたんじゃないのか?おれさまがもう一人いたってことか?!」
もう一人自分がいる。IシシとNシシのように双子ではないのに。
知っている答えは一つしかなかった。
「…まさか…ドッペルゲンガー?!」

ドッペルゲンガー。自分以外に存在する自分自身の姿。見たら数日で死ぬ。

血の気が引いた。もう一度気が遠くなりそうだ。
「イヤだあ…なんでおれさまそんなの見るんだよぉぉ…まだやることいっぱいあるのに…」
急に顎をぐいと持ち上げられた。Gオンが涙でぼやけている。
「ドッペルゲンガーなどいない。そんなバカげたことを科学者の私の前で二度と言うんじゃないぞ。
キミは死んだりしない。私が助けた命がそんなくだらないことで終わったりするものか」

Zロリは半信半疑だったがGオンの否定は力強かった。Gオンには確信があったからだ。


To be continued.

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