スイッチ2


遠からず開催される予定の 全国王様大会にそなえて、
Gオンは とあるひなびた温泉地にいた。


温泉といえば卓球!だからである。

え〜…なんのこっちゃ?とお考えの皆様のために解説させていただくと、

今回の王様大会最大の呼び物が『卓球競技会』だからである。

主催国の王子として、みっともない姿を見せるわけにはいかないという理由での、お忍びトレーニング。
しかし、はっきり言ってしまうと、あんまり乗り気ではないのだ。

自分の状態をベストに持っていくためのトレーニング。
それすなわち、他国の王族たちに大差をつけて勝ってしまう、ということになってしまうからである。



勝負に熱くなるには、好敵手が必要不可欠なのに、知っている限りの王族に そんな骨のある者はいない。
ふらりと旅に出ては、Zロリと血がたぎるような勝負をするのは実に楽しかった……
ああ…逢いたい……。

そう考えているとなんだか体が熱くなり、頭がぽぉっとしてきた…。
いや、考え込んでいるうちに忘れていたが 今は温泉に入っているのだった。

(もう少しで湯あたりするところだったなー…)

などとぼんやり考えながら、ふらりと脱衣所に足を踏み入れた瞬間、

「キャーッ!!いやぁ〜ん!!」

という甲高い声がした。

見るつもりはなかったのに、反射的に目がいってしまった。
バスタオルを巻いた姿で、若く可憐な女性がうずくまっている。

「こ、これは失礼を…」

一気にクリアになってしまった頭で それ以上認識してはならないと、くるりと背を向けると、
間髪入れずに若い男の声が聞こえた

「どうしました?!…ああ、ここは男湯ですよ」

女性に優しく言い聞かせるように伝えると、彼はGオンに深々と頭を下げた。

「私の妻が失礼いたしました」

彼女を守るかのように、そっと手をそえている姿が微笑ましい。

(新婚旅行なのだな)

Gオンは笑顔で、

「いや、もう気になさらないで下さい」

と、答えながら、
恥ずかしさに頬を染め、消え入るように立っている新妻の姿に、不思議と胸が高鳴るを覚えた。

女性相手にそんな感情を持ったのは、初めてではないだろうか。
しかし、彼女はもう人妻である。

そう思って、忘れようと努めたのだが…それはとても困難だった。

“運命の人”

そんな使い古された表現が、しっくりとなじむような…こんな気持ちを感じた相手は…過去にただ1人だけ。

「いかん」

Gオンは気を取り直し、卓球台に向かった。

トレーニングに打ち込んで、彼女のことは忘れるんだ。

Gオンはきりりとサーブの構えをした。
独り練習である。…だが相手を想定して…そっとつぶやいた。

「いくぞ。Zロリ」
「おうっ!」

返ってくるはずのない声がした、次の瞬間、
目の前には…先ほどの新妻の姿があるではないか!

「どうした いつでも来い!Gオン!!」

ほっそりとした片肌を脱いで、打ち返す気満々である。

金縛りにあってしまったGオンの方へ、先ほどの若者が走って来た

「Zロエさん!どうしたんですかZロエさん!!」

そう呼ばれた彼女は、はっと我に返ったように、

「はっ…!!…いやぁぁ〜ん!!」

と、叫んでうずくまった

Gオンはわけがわからなくなってきた。
さっきとはまるで別人だ。……あれは確かにZロリだった。



最初は「もう少しからかってやるか」という、軽い気持ちだったのに、
もう後戻りできないほどに、Zロリの人格は分裂していた。


「Zロリ」と呼ぶ、Gオンの声でZロリへ、
「Zロエさん」と呼ぶIヌタクの声でZロエへとスイッチしてしまう。







なんと、Zロリは 犬のおまわりさんも困ってしまう、
愛の迷子になったのだ。





おそまつさまでした。(2007年8月4日)



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