タイトル未定


川原に吹く風が心地よい夕暮れだった。
帽子に挿したバラの花を風が揺らすにまかせて、Gオンは歩き続けていた。
あてのない旅とはいっても、今日はそろそろ寝る場所を決めなければならない。

自然が土手に敷き詰めた緑色の絨毯の上で野宿というのもよさそうだ。
ふと見ると、先客がいるのか、絨毯の一部がへこんで見える。
そっと近付いてみると、Zロリと双子たちが、大の字になって眠っていた。

緑の中に浮かび上がる鮮やかな黄色。……黄色?!
Zロリは何も着ていなかったのだ。…もちろん、双子も。

さすらい人でありながら、この無防備さ。いつものことだが、自覚のなさが腹立たしい。
その身になにかあったらどうするのだ。

Gオンは高鳴る胸をなだめながら、あたりを見回した。
土手に生えた数本の木の枝に、Zロリたちが身にまとっていたものが揺れていた。
せめてそれを体にかけてやろうと思って枝から外そうとしたが、触れると湿っているのがわかった。
どうやら目の前の川で洗濯したらしい…そして、乾くのを待っている間に師弟そろって寝てしまったらしい。
本来ならば一人は見張りで起きているべきだ。

起こすべきなのか…GオンはZロリを見つめながらしばらく考え込んだ。

すうすうと寝息を立てているZロリは、「ママ……マ…マ…」と、急につぶやいたかと思うと、
涙をつう、と流したり、ニヒッと笑ったり、鼻をくすんといわせたり、口をングング動かしたりする。
寝ている間には数本の夢を見ると言われているが、Zロリの表情の変化はとてもめまぐるしい。

幸いなことに、もう時間も遅いので、通行人の姿はなかった。
GオンはZロリの隣に身を横たえた。


こうして、いつのまにか見張り役として、旅の一員になったGオンは、
Zロリたちと今会ったのではなく、ずっと一緒に旅していたような錯覚を感じていた。
とてもとても幸せだった。Zロリを起こさないかぎりこの気分が続くのなら、
寝顔を見つめているのも悪くはなかった。

このまま時が止まればいい。と思った。

















まぶしさにふと気がつくと、朝日が顔を出していた。
そこにZロリたちの姿はなかった。…寝過ごしたのだ。
知らないうちに寝てしまった不覚を悔やんでも、もう遅い。
起き上がろうとしたとき、Gオンは自分の体にかけられたものに気がついた。
それはZロリの旅装束である、縞の合羽だった。
Zロリと共に、長い長い旅をしてきたその合羽には、洗濯をしても消えない、Zロリの匂いがしみついていた。
Gオンはしばらく目を閉じてそれに鼻を埋めていたが、…やがて、あることに気がついて微笑んだ。

「おれさまの大切な旅装束だ。早く返せよ」

Zロリがそう言っているようだった。
そう。…これは二人が出あって以来、初めてZロリが残していった、「再会の約束」だったのだ。









おそまつさまでした(2006年7月1日)


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