いたずら王をめざすZロリせんせにとっては おそらく一年中で一番輝かしいその日。
これは、もしもせんせが日本男児ゆえに その日をご存知なかったら…という考えからこんなんなってしまったものです。




日本男児だ!Zロリせんせ



行く手に大きな町が見える。

「やった!町だぁ〜!久しぶりにまともなものが食べられるだ!」
「まともなものかぁ…そろそろあったかいもんがうまい季節だな」
「あったかいもの〜あったかいもの〜」

久しぶりに入る町はとても賑やかに見えた。
「おお〜…いたずらしがいのありそうな町だぜぇ!早いとこ腹ごしらえだぁっ!!」

「先生!Zロリ先生!!」

思わず振り向くと、大きな目をぎょろつかせた紫色の怪物が牙をむいていた

「キャーッッ!!」
「いや〜お久しぶりですね〜お会いできてうれしいです」
「…はぁ…はぁ…なんだ……よ…っ…妖怪学校の先生かぁ………き、急に現れないでくれ…こわいぞ…」
「こわい。おお、こわいと言えば…また先生のお力をお借りしたいのですが…」

腹は減っているが、そんなにすがるような目で見られると放ってはおけない。



妖怪先生は住宅街の中の小さな空き家に入った。
薄暗い部屋の中にいた4,5人の妖怪がいっせいにこちらを見た。

(ひぃぃ…!)
あまりの迫力に出そうになる悲鳴を 必死に飲み込む。



「夏が過ぎると なんだかやる気がなくなってしまってですねぇ…Zロリ先生に気合いを入れていただけたら…」

「先生。Zロリ先生は、“え〜?こいつら今でも充分コワイぞ〜。おれさまオシッコちびりそう”って思ってますよ」

けむくじゃらの生徒が突然言った。

「おやそうですか サトリくん」

「よけいなこと言うなぁ!!」

Zロリが真っ赤になって抗議するのもかまわず、サトリは続けた
「はらへったな〜はらへったな〜…って思ってますよ」
「なんだそうだったんですか?!遠慮なさらず言って下さればいいのに〜」

言いにくかったことを代わりに言ってくれた。なんていいヤツだ!

「サ、サトリくんと言ったね?!あ、ありがとう〜!!」




妖怪たちと一緒に食事をすませて満足した。これで落ち着いて話を聞くことができる。

まず河童たち。
「夏すぎると水泳しに来る子供が減るし…おれたちあまり丘に長くいられないんですよね〜」
「最近の子は相撲しようって言っても のってこないんで力を見せたくても…」

「なるほど…それにしても…なんだか河童くんたちが前より派手に見えるのはなぜかな…」

「あ。先生さすがです!気が付いて下さいました?…ここですよここ」
河童の一人が頭の皿を指さした。鮮やかな色彩で花が描いてあるではないか。

「いいでしょ〜!これ、柿右衛門ですよぉ〜!」
「はぁっ?!」
「お、オレのはマイセンです!」 
「おれのも中島先生の鑑定書付きです!」

「なんでも鑑定団見ている人にしかわからんぞ。大体なんでそんな高級皿なんか のっけてるんだよ?!」
河童たちは意外なことを言われたと言いたげに、互いに顔を見合わせた。

「だって皿はおれたちの命ですよ!」
「なあ!」
「別な意味でコワイぞ!そんな奴らと相撲なんかとれるかぁぁッッ!!」

河童の皿を普通のヤツに戻して…次!

人造人間。
「ボク死体を縫い合わせてつくられたんですよ」
「うぅっ!その設定だけで充分コワイだろうっ!」
「でもなんでか笑われちゃうんですよね」

その理由は彼を見ているとわかってきた。
大きな体をしているのに、チョコマカした動き。そのギャップが笑いを誘うのだ。

「もっと重々しく動くんだ。迫力が違うぞ」
「え〜と、重々しくって言われても…」
「おれさまをお手本にしなさい!…そうだな。起き上がるところからいくか」



「映画なんかで見たことあるだろ。雷鳴轟くなかで、ゆっくりと起き上がるんだ。迫力あるぞぉ!…こんなふうに…」

「それならオイラ手伝う!」

高い声がした、と思った次の瞬間、Zロリの体を電撃が駆け抜けた。

「ぐぅああぁぁぁ――――――――――――!!……っホ…ホントに…電気…………流すヤツ…が…」

「雷鳴というのはあくまで演出ですからねぇ…本当に流してはいけませんねぇ」
妖怪学校の先生はカミナリ小僧をたしなめた。Zロリの役に立とうと思ってしたことなので、強く叱ることはしない。
ぶすぶすと煙をあげて痙攣しているZロリを揺り動かして、
「先生、Zロリ先生…大丈夫ですか?」
と声をかける。見ただけで大丈夫でないのが明らかなのに…。



数分後、ゆらぁ〜…と起き上がったZロリはしばらくの間 虚ろな目をしていたが、やがてポロポロと涙を流した。

「うぅ…ママが…ママが……まだこっちに来ちゃいけませんって………」
「せんせ、ママに会って来ただか!」
「よかったね〜せんせ」
「うぅ…うん…うん…」

Zロリは何度もこくこくうなずきながら、涙をぐしぐしと拭いた。

「すばらしかった。わかりましたよZロリ先生。こうですね?」

人造人間はさっきのZロリのように、ゆらぁ〜…と起き上がって見せた。
とても威圧感があり、迫力満点だ。悲鳴をあげたくなるほど怖い。


「えーと、次は…」

部屋のすみのほうに、小さな影が見えた。黒い小人がしょんぼりとひざをかかえてうつむいている。

「なんだなんだぁ!元気がないぞぉ!」
「だって…私…ダメなんです…」
「ダメだなんて自分で言ってちゃいけないぜ!しゃんとするんだ!」

彼の「ダメだ」という言葉がかえってZロリのやる気を刺激した。彼につかつかと歩み寄りながら、
ZロリはかいけつZロリに変身した。
そのとたん、何かにはじき飛ばされて、床に転がってしまった。

「いっ…ってぇ……え…な、何だぁ??」

次の瞬間、信じられないものを見て息をのんだ。
黒い小人の股間には、今まで見たことのないサイズのものが誇らしくそびえ立っていた。

周りの妖怪たちがざわめいている。

「おおっ、よかったなぁ!!」
「元気になったんだね、インキュバスくん!」

インキュバスは満面の笑みをたたえてZロリの手を握った。
あまりに大きなモノが、Zロリの鼻先で拍動している。

「先生のその姿を見たおかげです!…いや〜こっちに引っ越して環境が変わってからストレスで勃たなくて…」

「やっぱり かいけつ服はすごいだ!」
「しかもいちばんいいアングルで見ただからなぁ〜」

双子は納得したようにウンウンとうなずいた。

「Zロリ先生、せめてものお礼に一発…」

じわじわと歩み寄るインキュバスに迫られてふるえながらあとずさりしつつ、Zロリはやっとの思いで言った。

「やめろ!…みんなが見てる…」
「あ。そうですね。…気がつかなくてすみません」

そう言うと、インキュバスはZロリを軽々とかかえて隣の部屋に入ってしまった。


あまりの素早さにみんなあっけにとられていると、ドア越しにどすんばたんと賑やかな音がする。

「やめろっ!やめろぉコラッ!!…あぁっ…いやぁ…」
「まぁまぁ。そう遠慮しないで下さいよ。私にはお礼といってもこのくらいしかできないんだから」
「やだって……や…っあぁ……いっ、痛ぁ…」
「ホラホラ…もっと力を抜かないと……いきますよ〜…ふんっ!…ふんっ!!」
「うぁっ!!…あぁ、あぁ……あ、…あ――――――――――――!!あぁ―――――――――!!」





やがて 満足そうなインキュバスの後ろからよろよろとついてきたZロリは、
少しうつむいて2、3度鼻をすすった後、きりっと顔をあげた。
…その目にはうすく光るものがあったが、隣で何が起こったのかということと、
そのことを深く追求してはいけないということは、サトリでないみんなにも明らかだった。



では。Zロリ先生に指導していただいたことをふまえて、今夜は外で実習しましょう。
町の人を驚かせてくること。いいですね。

「はーい!!」

Zロリも生徒たちの活躍を見届けようと町に出た。
町は異様な雰囲気だった。いたるところに妖怪たちがあふれている。

(こんなにいたっけか??いくらなんでも多すぎるぞ)

しかもその妖怪たちは所かまわず急に現れ、その度にZロリと双子は飛び上がって驚いたのでくたくたになってしまった。

やっとの思いで妖怪学校の生徒たちと出会った時、なぜか彼らは両手に持ちきれないほどのお菓子をかかえていた。

「この町、どこに行っても怖がる人がいないんです〜」

思ってもみなかった結果に頭をかかえてしまう、10月31日の夜であった。




おそまつさまでした。(2005年10月18日)

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