ヒエール国のダムの上の二人

  「し、しまった!!オヤジギャグを飛ばしすぎて…」
きしむような音を立てたかと思うとGオンのブックラコイータは耐えられなくなったように弾けた。
製作時の苦労がフラッシュバックし、Gオンは手の中の残骸をただ呆然と見つめるだけだった。

「Gオン…」
名を呼ばれて我にかえると、少し申し訳なさそうな表情のZロリが目の前にいた。
モノを作る大変さを知っているZロリには、それが壊れた時の空しさもよくわかる。
丹精こめて作ったブックラコイータの残骸を持って力なく立ち尽くすGオンに、かける言葉もみつからない様子だ。
花びらのように舞い落ちる雪が、静かに静かに二人を包んでいた。

 Gオンは改めてZロリの姿を見た。戦いの最中は夢中で目に入らなかったのだが、
細身のラインにぴったりしたコスチュームを着ていることに気が付き、はっとした。
体を全て覆い尽くしていながらラインはそのままという姿は想像力を激しくかきたてる。
Zロリを行き倒れの状態から救い出した時、濡れた服で体温を下げないためにすべて脱がせた時よりも興奮した。

「おれさま…あの…」
Gオンは何も言わず、Zロリの手を取った。そのままくるりとひねるようにして背中側から抱きしめた。
これ以上顔や姿を見ていてはたまらない気持ちになりそうだったからだ。…正直、見ていたいのだが……
 抱きしめられて戸惑うマント越しの体は見た目より細く、小刻みに震えているのも手伝ってとても頼りなく感じる。
(無理もないか。つい数日前は死にかけてたんだからな…)
「…もういいんだ。形あるモノはいつかは壊れる。作る者は常にそういう覚悟はできているさ」
「Gオン…」
「それより大丈夫か?無理したんじゃないか?」
「いや。おれさまは…そんな…」
「震えてるぞ」
「雪のせいだ」
「こんな薄いの一枚しか着ていないからだろう。行き倒れていた時といい、もっと考えたらどうかね」
「なんだと?!おれさまが何を着ようが大きなお世話だ」
「何か言われるとすぐ逆らいたくなるのか。…子供かキミは」
GオンはZロリの前に回した手で、胸のあたりをなでた。薄布一枚下に、小さな二つの突起がはっきりと触れる。
びくっと動く体をぎゅっと抱いて、ささやいた。
「寒いな…でもこうしていると少し暖かいだろう?」
Zロリはこくこくとうなずいている。乳首に触れられた瞬間、体は反応したが、されたことの意味はわかっていない様子だ。
(体はこんなに敏感なのに、自分が相手をどんなに刺激しているかってことには驚くほど鈍感なのだな)
もう一度後ろからきつくきつく抱きしめて気が付いた。
自分の脚の間でZロリのふかふかの尻尾が揺れている。すこしくすぐったいような感触。
マント一枚だけに隔てられた自分の胸とZロリの背中。こんなに胸が高鳴っているのだが。
(私の動悸は彼の背中に伝わっていないのかな…)
Gオンはそんなことを考えながら、寒さのためふわりと膨らんだZロリの後頭部に鼻先を埋めた。
こんなに寒い場所なのに、彼の頭からは陽だまりの草の香りがする。きっとそんな所で過ごすのが大好きなのだろう。
いとおしさに胸がつまりそうになるのと同時に心が安らぐのを感じた。このままずっとずっと、こうしていたい……


「うう……まだまだ…だなあ…チャブイ…チャブイ……」
なかなか震えが止まらないZロリはぶつぶつと独り言を言い出した。
「暖めてやろうか……」
と、Gオンが言いかけるより早く、Zロリは声を張った。
「そうだ!!おしくらまんじゅうしようぜ!!」
「な、なに?おい、ちょっと待て!!二人で??……わっ!!」
いきなりすごい勢いでガンガンぶつかってくるZロリにGオンは倒れそうになりながらなんとか持ちこたえた。
「お、おのれZロリ〜〜〜!!今のは不意打ちだろう!卑怯じゃないか!!」
「おれさまは卑怯が大好きなのだぁっっ!!…ニッヒヒ!!」
すばやく逃げるZロリ。思わず追いかけてしまうGオン。
二人はIシシとNシシに呼ばれるまで、そこで走りまわっていた。

 すっかり体がぽかぽかになって満足気なZロリと対照的に、Gオンは頭を抱えていた。
(ううっ…せっかく二人きりだったのに…ム…ムードが……なんでこうなるんだ!!…残酷なほど無邪気だな、キミは…!!)




おそまつさまでした。(初出:2004年9月7日)

妄想文ガオゾロ部屋のTOPに戻る

Gポイントポイ活 Amazon Yahoo 楽天

無料ホームページ 楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] 海外格安航空券 海外旅行保険が無料!