タイトル未定
「なんっだコレは?!」
思わず大声が出てしまったのも無理はない。
とある町にたどり着いた師弟が見たものは、写真の部分に別の紙が貼られたZロリの手配書だった。
「せっかくの手配書なのに、これではおれさまのカッチョイイ顔が見えないじゃないか!ンもぅ!!」
Zロリはその紙をむしり取った。何か書いてある。
「なになに…"かいけつZロリ。この手紙を読んだなら、トニイ谷まで来い。
来なければお前の恥ずかしい写真をばらまくぞ…"…だとぉ?!」
恥ずかしい写真と聞いて、双子は明らかにソワソワしていたが、Zロリはその紙を破り捨てた。
「何が恥ずかしい写真だぁ!!どこのどいつか知らんがこんなこと言われておれさまがノコノコ…」
そう言いかけた時、目の前をひらひらと舞うものが目に入った。
反射的にそれを手にして、Zロリは息をのんだ。
吸い込まれそうな千尋の谷に、Zロリたちは立っていた。はるか下の地上は雲に覆われてよく見えない。
そして、目の前には初対面の男が一人立っていた。整ってはいるが、なぜか下品な印象の顔をしていた。
「よく来てくれたねえ」
「こんなもん…どこで撮ったんだ!まさか…もう持ってないだろうな!」
とっても恥ずかしい姿の写真を手に、Zロリは頭から湯気を立てていた。
「たぶんまだまだあるだ」
「せんせ無防備だもんな」
相手が答える前から双子には確信があったのだった。いつもナマで見てはいるが、写真となるとまた新たな興奮があった。
「きみに来てもらったのは、相談したいことがあるからだよ」
男はそう言いながら、もったいぶったしぐさで、小さな壺のようなものを取り出した。
「これが…なんだか わかるよねぇ?」
双子は 固く拳をにぎりしめたZロリの全身が震えるのを見た。
「きみのことをいろいろ調べたよ。なかなか大変だった。…そしていちばん大切なこれを やっと手にいれたよ」
「それで?…何が欲しいんだ?」
「さすが 話が早い。…Zロリ城を建てる資金を貯めているんだろう?それをそっくりいただくとしようか」
有名人であるがゆえ、時折こんな奴らに出会う。…しかし、ここまでされたのは初めてだ。
「あいにくだな。金ならない!」
胸をはって堂々と言い放つZロリに、しばしポカンとしていた男は ぶるっと頭を振った。
「つべこべ言うな!!…おとなしく渡したほうが身のためだぞ!…これが欲しくないのか?!」
もう本性を出している。薄っぺらい奴だ。金のためなら人の墓さえ掘り返す、最低の奴だ。
男はそのいやらしい目で、Zロリの体を舐めまわした。
「なんなら…金は…できるまで待ってやってもいい…それまでお前の体で…」
Zロリは ふん、と鼻を鳴らした。
「なんだその態度は!!…大切なママがどうなってもいいってのか?!」
男が手にした壺が何なのかを、双子は知った。
「ああっ!!あれってせんせのママ…」
「へぇぇ…せんせのママは ちっさいだねぇ〜」
「……どうにでもしたらいいさ」
「なっ、なんだと?」
「笑っちまうぜ!そんなものをママだと思っているのか?!…それはママの入れものだったにすぎない。
そんな所にママはいない!……ママは…おれさまのそばにいる!」
「足が震えているくせに…強がりを言うんじゃない!!!」
そのとき、一陣の風が谷を吹きぬけた。
男はふらつき、その手から壺がこぼれ落ちた。
「せんせのママが…!!」
Nシシは思わず飛び出したが、Zロリはすばやくその小さな足をつかんで止めた。
「だめだ!落ちるぞ!!」
壺は……まるでスローモーションで見ているように、ゆっくりゆっくりと、谷底の雲の中に吸い込まれていった。
Zロリは糸が切れたようにその場に座り込んだ。周りが霞んで見えなくなった。
その時…谷底の白い雲の中から紅い飛行機が現われた。
紅い飛行機はそのまま上昇し、Zロリたちの頭の上を越え、青い空の中に消えていった。
その座席に、Zロリは人影を見た気がした。
以前見かけた時は一つだった人影が、今日は二つ。…寄り添うように、二つ。どちらもなつかしい感じがした。
ふと 目をやると、突然現われた飛行機に驚いたのか、男は震えていた。
Zロリの凛とした声が、谷に響きわたった。
「おまえは許せん!……遺骨を人質に金を要求するなんて…おれさまよりも卑怯なことをするなんて…絶対に許せん!!」
双子には、Zロリが本気で怒っているのがわかった。
これまで 怒っている、と思っていたZロリなど、まだまだ怒っていなかったのだと感じるほどのすさまじい憤怒を感じた。
ハンディキャップは風がさらって行った。
あとは全力で、目の前の敵を倒すのみ。
おそまつさまでした。(2006年7月1日)
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