ついて行くだよ。



「あっ、おにぎりだ!!おにぎりが落ちてるだあ!!」
「わぁ!!よく見るだ!それはおにぎりじゃないだよ!!」
……もう何度こーいう会話をくりかえしてきただろう。石ころさえおにぎりに見えるほど二人はハラペコだった。
フラフラと行く手に美しい町が見えてきた。レバンナ国の城下町だ。

町は賑わっていたが、とてもきれいに片付いていて、残飯をあされるようなごみ箱は見あたらなかった。
(アルバイトするしかないだな…………)

しかし今までの経験から言って、簡単には仕事にありつけそうにない。
ウリン坊に毛の生えた程度の若い双子はなかなか雇ってもらえなかった。
経験だけなら大人顔負けなのだが、いつだって外見で判断されてしまうのだ。

アルバイト募集の張り紙でもないかとキョロキョロしていたIシシは、急に腕に痛みを感じて飛び上がった。
「うぇへへへへ……肉だ、肉が食べられるだ」
「Nシシ!いくらハラペコでもオラは食っちゃダメだ!」
もう目つきがイッてしまっている弟に、とにかく何か食べさせなければ。

タイミングよく漂ってきたいい匂いに誘われて、ガード下に入った兄弟は、そこでおでんの屋台を見つけた。
財布の中身はとても心細いが、もう限界だった。なんとしてでもおでんを手にいれなければならない。

お金が足りないよと渋るおでん屋相手に、兄のIシシは必死だった。
「お金はそれだけしかないだ!払ったんだからおでんを食わせるだ!!」

「待て待てーい!!……昼間ッからおでんひと串で全くなさけない奴らだな……そんなにハラペコか?」

急に聞こえた声に、おでん屋も双子もはっとなった。
その声は落ち着いていたが凛とした響きをもっており、その場にいた三人の心を惹きつけた。
だが、次の瞬間
「走れッッ!!」
という叫びと共に声の主と双子とおでんの屋台は消えた。
あとには呆然とした屋台の主人が一人残されていた。



双子はおなかいっぱいおでんを食べた。しかもその男がいたずら修行中で名を馳せているZロリだと知って、心が躍った。
この賢さ。行動力。初対面でも感じる「おれさまにまかせておけい!!」という力強いオーラ。
この人についていけば、この先食いっぱぐれることはないだろう。もう安心だ。


落ち着いたところで、拾った新聞を広げ、Zロリはこの国の姫に一目ぼれした様子だった。
「姫と結婚して、この国をいたずら王国にしてやるぜ!」
自信たっぷりに言い放つその姿を双子は惚れ惚れと眺めた。
窮地を救ってもらったお礼に、自分達にできることなら何でも協力するつもりだ。

Zロリは夜を徹してさまざまな準備をしていたが、双子は疲れと眠気に勝てず、先に眠ってしまった。


Iシシは夜中にふと目を覚ました。Zロリは少し離れた所にこちらに背中を向けて座っていた。
昼間の新聞を見ているようだ。…………少し呼吸が乱れ、背中が揺れている…………。
姫の写真を見ているのだろうか。そして何をしているのか…思いつく答えは一つしかなかった。
そのまま見ていてはいけないような気がしたが……結局誘惑に勝てず、しばらく薄目を開けてその後姿を盗み見ていた。
Zロリは うん、と伸びをして新聞をぱさっと閉じた。
「ああ、マンガおもしろかったぜ〜!!…………二人ともよく寝てるな〜。…おれさまもちょっと寝とくか」
(わ、笑ってただかぁぁ!!…んもう、まぎらわしいだ〜〜!!)
Iシシは寝たふりをしながら密かにツッ込んだ。…………と、もういびきが聞こえる。
(寝つきがいいだな〜)
IシシはそっとZロリを見た。ひざを立てたまま、大きく脚を開いて眠っている。

この上なく無防備なその姿にIシシは胸が高鳴るのを覚えた。
食欲が満たされて、次に満たされたいものを思い出したのだ。
(まぎらわしいことするから……おら興奮して眠れないだ…よし、責任とってもらうだよ)
自分が勝手に想像して興奮しただけなのだが、Zロリの責任なのだった。
しかもこんな「さあどうぞ!」みたいな格好をされていては、もう我慢の限界だった。
(男相手は初めてだども…ぜいたくは言ってられねえ。まあ、なにごとも経験だ!!)

気分を落ち着かせようと、自分に言い聞かせながらそっと触れたZロリの脚が、ぴくん、と震えた。
「んぁ…っ…………」
予想外の反応と甘い声に、若いIシシの頭には一瞬で血が昇った。
ZロリはIシシが与える一つ一つの刺激にうれしくなってしまうほど敏感に反応した。しかも、目は覚まさない。
IシシはZロリの全身くまなく堪能していた。
「Iシシ一人でずるいだ…………」
急に聞こえた声に思わず飛び上がった。
「お、起きてただか………い、いつから………?」
「エヘヘヘェ〜。…耳をペロペロしてた時からだぁ。見てたらオラもこんなになっただよ」
二人ともすっかり昂っていた。そして眠っているもう一人のものも、元気いっぱい立ち上がっていた。


兄弟は夢のような夜を過ごした。最後まで目を覚まさなかった相手は、いままでのどの相手より二人を満足させた。
「ね………寝ててこれだと……起きてると………どうなるだ…………」
「うぅ………か…考えるのも怖いだぁぁ…………」
そう言いながら二人とも幸せだった。
幸せを運んできた本人はまったく自覚なく、いびきをかいていた。
「敏感なのか鈍感なのかわからないだ…………」




そして夜が明けた。計画を実行にうつす時が来たのだ。

この町に伝わるドラゴン伝説をモチーフに、綿密に立てた計画。
途中までは完璧だった。ドラゴンで姫をさらい、結婚相手のAーサーを追い詰めた。
だが、大ヘビが吐き出したおおむすびによって、ドラゴンの正体がばれてしまった。Aーサーは叫んだ。

「Zロリ、お前は何者だ!!」

「ふんっ、知りたければ教えてやろう!!」

そういい放ち、騎士の鎧を一瞬にして脱ぎ捨てたZロリの姿に、双子は釘づけになった。
ピッタリと体にフィットする薄布一枚だけをまとった裸同然の姿。いやいや、はげしく想像をかきたてる所など、裸より刺激的だ。
本人には自分の姿がどんなに刺激的なのか全く自覚がないらしく、次々に大胆なポーズを取る。
その細くしなやかな肢体が動くたびにあっちがキュッと食い込み、こっちがプリッと食い込む。
あの薄い布一枚の下に、昨夜堪能したあの体があるのだ。…………夢見るような光景だった。
双子はもう、その神々しい姿の前にひれ伏して、ありがたやありがたやと拝みたい心境だった。


もう、心は決まった。一生この人について行くと。




おそまつさまでした。(2005年4月9日)

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