Sイサイくんといっしょ。
「ママって…大変なんだなぁぁ…」
旅の途中で動く家を見てビックリしたZロリたちが、もっとビックリしたのは、
その家を動かしていたのが、なんと赤ちゃんだったことだ。
テレビに売り込めばきっと儲かる!
でも、ママは自分の赤ちゃんにそういう力があるとは気がついていない様子だ。
うまくママからこの赤ちゃんを借りて、テレビ局に連れて行きたい…
誘拐なんか、決してするつもりはない。ママを悲しませるなんて最低のことだ。
ママが安心して赤ちゃんをまかせてくれるように、きちんと子守ができるところを見せなければ。
そう思って子守を申し出たのだが、予想を遥かに上回る赤ちゃんのパワーにふり回されっぱなしだ。
ごきげんなのはいいのだが、楽しくじゃれる一撃一撃がズシリと重いし、
ちょっと目を放すと危ない所にばっかり行ってしまう。
赤ちゃんてのは、危ない所センサーでもついているのだろうか?
気が休まるひまもない。もうクタクタだ…
(で、でも…金もうけのためだ…がんばるぞ〜)
赤ちゃんと動物は当たるというのがお約束。きっとZロリ城だって建つ!!
そう思ってやる気を起こしていると突然、Nシシたちの悲鳴がした。
「おまえたちどうした?」
「せんせ!Sイサイくんが急に暴れだしただよ〜アイタタ…!!イタイだぁぁ〜」
あのパワーで暴れられてはコッチは骨の2,3本ではすまないかもしれない。
原因を知ろうと、Sイサイくんに触れると、体がほんのりホコホコしているのがわかった。
「ははぁ〜ん…おまえら、喜べ!」
「何でだ〜?」
「Sイサイくんは、おねむだ!」
「おねむ〜?」
「ああっ!…やっと寝てくれるか〜!…よ〜しよし!」
むずかるSイサイくんを抱いた瞬間、Sイサイくんは泣きじゃくりながら素早くZロリの胸をはだけて顔を埋めた。
ちゅうっ、という音が響くのと、同時にZロリの体が跳ねた。
「あっ?!…んはぁぁっ!……」
「せっ…せんせぇ?!」
駆け寄るIシシたちに、Zロリは声を落として言った。
「コラッ!おっ…おまえら、大きな声をッ…だ、出すんじゃない!…んあっ…Sイサイくんは…ああっ…お、ねむなんだぞ!」
そう言ってる間にも、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっという音はリズミカルに続く。
「はぁ…!!…あぁっ…、あぁん…」
PッペはZロリが苦しそうなのを見ていられなくなった。
「Sイサイくん!やめるプ!Zロリさんは男の人だからおっぱいは出な…」
「Pっぺ…こっ…、これは…入眠ギ…儀式ってんだ…」
「にゅ〜みんぎしき??」
三人には、初めて聞く言葉だ
いきなりNシシが大きなおならをした。
びくっと動くSイサイくんの頭を、Zロリはきゅっと抱きしめた。
「ご、ごめんなさいだ…なんか難しい言葉なもんで…」
「入み…、入眠儀式ってのは…ッああっ…寝る前にこ…っ…こうすると……安心し、して…よく眠れるって…しゅ、習慣だ…
何か数えたり…毛布く、くわえたり…それが…この子には…これなんだ……」
「Zロリさん…」
「い…いつも…ママの…を…こうして眠ってるんだ…これが安心するんだ…で、出る…とか、出ない…とかは…いいんだ…」
眠りに落ちようとするSイサイくんを刺激しないように、ささやくようにZロリは説明した。
「さすがせんせ、もの知りだなぁ!」
「ふ…ふふ…そ、それほどでもあ…っああ……あぁ…!」
思わず声を出すと、Sイサイくんがまたむずかる。Zロリは自分の手を噛んで声を出さないように耐えた。
もう少し…もう少しで寝てくれる…あと一息で、寝てくれる…
だが敏感な体は耐えられず、時折跳ねるように動いてしまう。
「Zロリさん!」
「せんせ、せんせしっかり…!」
「く…ッ…く…ぅ…おま…おまえたち…お、おれさまを…押さえるんだッ…」
「はっ、はい!!」
胸、腹、そして手足に別々の重さがかかり、身動きができなくなったのに、まるで空をふわりと飛ぶような感覚がする。
なんだろう、これは……幸せ?…これが…幸せっていう感じなのか……?
(ああ…ママも…こうしてぼくを育ててくれたんだね…なんだか…今、ママの気持ちがわかる気がするよ…)
胸の上のSイサイくんが、規則正しい呼吸とともに重さを増し、びくびくと動いていたZロリの体も静かになった。
「へぇぇ〜…やっとねんねしただねぇ〜…」
「カワイイだぁ〜…」
「大変だったプ〜」
三人が身を起こしても、Zロリはまだぐったりとしていた。目が虚ろになっている。
「せんせ、もうそろそろこの子のママが来るころだよ」
話しかけて体にそっと触れると、ぴくっと動いて、まだぽぉっとした目でこっちを見た。
その体はSイサイくんよりも熱くなっていた。
「せんせが動けないなら、オラたちが抱っこしてやるだよ」
そう話しかけると、ZロリはきゅっとSイサイくんを抱いて、言った。
「やだっ…!!、Sイサイくんはぼくちゃんの!!」
「せ、せんせ…?あの…赤ちゃんは…ママがいいんだよ?」
「やだぁぁ!!ぼくちゃん、Sイサイくんといっしょに行くの〜!!」
すっかり目を潤ませているZロリを説得するのは少し時間がかかりそうだった。
おそまつさまでした。(2006年5月29日)
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