狼は知っていた 2

Zロリ、Iシシ、Nシシの三人は今日も旅を続けていた。
Bルル銀行のあまりのヒドさに、現金持ち歩き主義になったため、
まったく蓄えがない彼らは 今夜の食事代さえ心細い。

「なんかバイトないかなぁ…」

「手分けして探すと早いだ」
「オラ、こっち見てくる」
「じゃ、ここで待ち合わせしようぜ」


…しかし簡単に仕事があるわけもなく、Zロリは疲れて待ち合わせした場所に戻って来た。
そしてしばらくの間、その場でぼんやりと双子を待っていた。

「一人かね?」
声の方を見ると、こんな場所には不似合いな身なりの初老の紳士が微笑んでいる。
「おれさまか?…今は一人だな」
それを聞いて紳士は一歩近付いてきた。

「食事でもどうかね…?」

(おお…なんかしらんがメシを食わせてくれるのか??)
Zロリがそう思いかけたとき、いきなり褐色のかたまりが宙を飛んできた。

「せんせ ダメだぁッッ!!」

紳士は双子の蹴りをまともにうけて吹っ飛んで行った。

「あ。お前たち何するんだ。…ああ…今夜のメシが…」

食べた後に食べられるかもしれない、など これっぽっちも考えていない。

「も〜う、無防備にもほどがあるだぁッッ!!」
「危なくて仕方がないだな…!!こんな所にせんせを一人にしたオラたちが間違っていただよ」

その時、無防備で危ない3人は いきなり勢いよく走ってきた通行人につきとばされた。

「ヒ、ヒドイだ〜」

しかしその後も血相変えた通行人が続々とやってくる。Zロリはすばやく双子をわき道へ引っ張りこんだ。

首だけ出してみんなの行く先を伺う。

「なんだ?あそこに人だかりがしてるぞ」

そこで何かの紙が配られている。みんなはそれを争うように奪い合っている。
「なんかしらんが タダでくれるものはもらっておくぞ!」
Zロリは宙を舞う紙を華麗にキャッチし、目を通した。太く大きな文字が並んでいた。



Gオン王子重傷


Gオン王子はよく実験室にこもり、いろいろな機械を製作していたのだが、
昨夜何かの手違いか爆発が起こり重傷を負ったというのだ。

街は騒然としていた。

「号外!!  号外!!」

怒鳴るような新聞屋の声。
「え〜!!う、ウソだろう??」
「ああ…Gオン様 なんて おいたわしい…!!」

人々のざわめき。そして女子供の泣き声。
それらの音が響く中、Zロリはただ立ち尽くしていた。


「せんせ、せんせってば!!」
双子の呼びかけでわれに返り、少し口をゆがめてZロリは言った。

「ふ…ふん…Gオンのやつ、けっこうドジなところあるんだな……ぃよ〜しッッ!!マヌケ面を見に行くぞぉ〜!!」

縞の合羽を翻して走り出した。その速さに双子はとても追いつけない。

重傷なんて信じない。この目で確かめるまでは。



城のセキュリティは以前来た時とは比べ物にならないほどになっていた。
王様大会の時とは別の場所のような緊張感がみなぎっていた。

友人のZロリ王子だと言えば入れてもらえるだろうか?心配して見舞いに来たと………

心配?!…なんでおれさまがGオンの心配をしなきゃいかんのだ!!カッチョ悪くケガしている姿を笑ってやるんだ!

Gオンの部屋へ、怪しまれずに入らなければ。





心配ご無用。Zロリはメイド姿ですんなりと入室に成功した。天才だから。


Gオンはベッドに腰掛けていた。重傷というほどではないなと ほっとしたのもつかの間、
近付いた瞬間、Zロリは どきりとした。Gオンの碧い目が包帯で覆われていたのだ。

「誰だい?」
視覚を閉ざされている緊張感をかんじさせない穏やかな声。

「あ…あっ、…お掃除にまいりましたぁ」

見えないGオン相手に無駄になったメイド服姿。
しかし目が覆われていたショックで頭の切り替えができず 思わず女の子声を出してしまった。

「聞きなれない声だな」
「新人で〜す。なんでもお申し付け下さい」
「すまないな。こんな目でなければ…」

Gオンの目が覆われているだけで、こんなにも もの足りない感じになるのか。
見つめられるだけで、どんなに心が満ち足りていたのか、今さら気がついた。
どうなるんだろう。Gオンの目は。

「あの…王子様の…目…治りますよね…」

Gオンはじっとしている。…まさか、まさか彼の目は …もう…
もしそうなら、大好きな機械いじりはどうなるんだ…一人でフラリと旅をする楽しみはどうなるんだ。

「号外で…重傷だと…」

重い沈黙に耐えられず、独り言のようにつぶやきながら、
Zロリはいつの間にかGオンのすぐそばまで近付いていた。
それに気がついたのは、Gオンの手がZロリの手を捉えた時だった。
重傷とは思えない力強さであっという間に引き寄せられ、二人はベッドの上に重なって倒れた。

「キミは…私を心配してくれているのかい?」
「し、心配って……あ…っ…」

Gオンにささやかれる。耳に息がかかるだけで敏感なZロリはたちまち我を忘れそうになる。
いや。待て待て…危うく忘れるところだったが今おれさまはメイドに変装してるんだぞ!
Gオンなんだお前、誰にでもこんなに手が早いヤツだったのか!

そんなことを思っている間にも、Gオンの舌は耳からうなじを何度も往復して、Zロリの体を燃え上がらせる。
ああ…何も考えられない。…知らず知らずに出てしまう甘い声を女の子声にすることで精一杯だ。

「大丈夫…たいしたことはないんだ。こういう時はすぐに話が大げさになるものさ。
…キミが私を気にかけて 来てくれたのがうれしいよ……Zロリ…」

    え?     

な、なぜだなぜだなぜバレたんだ…?!おれさまの変装はカンペキ…いや見えないか。で、でも声は??
声変えてるだろう?!

声色には絶対の自信があるのに…。今までバレたことなどないのに!!

「なぜキミだとわかったのか…と思っているのかい?…私はキミを目や耳だけでなく、肌で覚えているのだよ。…それに…」

ぎゅっとZロリを抱きしめるGオンの胸は、Zロリの体よりも熱くなっていた。

「キミがこの部屋に入ってきたときから おひさまの匂いがしていたのさ」



おそまつさまでした。(2005年9月4日)

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