つかまる!2

はっきり言ってZロリは自分が大好きだ。
だから世界中に貼られる指名手配ポスターが あんな出来なのにはがまんがならなかった。
あのポスターはひどすぎる!おれさまのカッチョ良さを教えてやるからよっく見ろ!
という思いを込めて 納得するまで何度も撮影し、やっと仕上げたポスターには大満足していた。
………ただ、これでつかまる、ということをすっかり忘れていたけれど。


パトカーに乗るスペースがないと言われ、手錠でつながれたまま 警察署まで全力疾走させられ、
息も絶え絶えなのにすぐ取調べを始められてしまった。
「名前は?」
「…ッハッ、ハ…ッ、…ハァ…ッ、…Zッ…、Zロ……ッ…うっ、うぇ〜……」
しゃべると戻してしまいそうだ…だがZロリはまだいい方で、双子は動けなくなり別室に運ばれて行ってしまった。

「現住所は?…早く言え!」
こんなにぜえぜえ言っているのに、情け容赦なく返事を急かして来る。
お前は相撲取った直後に平気でインタビューするようなヤツだな!もう…!と思いながら、
Zロリは汗ではりつく かいけつ服の胸元を少し引いて風を入れようとした。

「きさまっ!何か隠しているのかっ?!」

刑事はそう叫ぶと、いきなりZロリの胸元に手をかけ、服を引き裂いてしまった。
一瞬で へそまで見えるようにされ、Zロリは反射的にうずくまった。
思わず声をあげてしまったのだか、力が出ず、鼻から抜けるような声になってしまった。

「んふぁんっ…!」

自分の意外な声に赤面して顔を上げると、刑事がギラつく目でじっとこちらを見つめていた。

「な、何も隠してないようだな。…まぎらわしい動きをするな。撃たれても文句は言えんぞ」

(大げさだな)…と、思ったが、舌を出してぜえぜえ言っている今は思うようにしゃべれない。

「なかなか強情なヤツだ!」
「ハーッ、ハーッ、ゼェー…ぜェー」(だから…しゃべれないんだって〜…)
「腹が減っているのか?」

そういう言葉と同時に、Zロリの目の前に、大きな丼が置かれた。取調べ食の定番、ボリュームたっぷりカツ丼だ。
しかし今はそんなヘヴィなものは見たくもなかった。水が欲しい。喉がカラカラだ。
ウンザリしたZロリの顔に気がついて、刑事は言った。

「何か飲みたいのか?…おい、牛乳持って来てくれ」

ほどなく牛乳が運ばれて来た。…バケツに なみなみと。
目を丸くするZロリの前に置かれたそのバケツの側面やや下に、 太く長い指のようなゴム製の突起がある。
いつの間にか後ろに数人の警官がいて、抵抗する間もなく Zロリの顔や体を固定してしまった。

「そら、腹いっぱい飲め!」

突起の部分をグイグイ押し付けてくる。

「な、何すんだ…なんだコイツッ…」
「これは牧場で赤ちゃん牛にミルクを飲ませる道具だ。テレビに出てたろう?」
「…あ〜…なるほど……って、知るかぁッッ!!…普通に飲ませろ!コップでぇ!!」
警官たちは 激しくかぶりを振るZロリの口をこじ開けて、ゴムの突起をぐいぐいと挿し込もうとする。
そんなものをくわえるワケにはいかないので、歯をくいしばっていたが、
突然耳をふっ!と吹かれてふわっと力が抜けた。

「ん〜…んぅ〜!!…ング…ング………」

無理やり流し込まれる牛乳に涙が出る。涙で滲んだ視界には、いくつもの警官の顔がうつっている。
……さっきよりもえらく人数が増えていた。

「うぉ〜…たまらんっ!」
「チクショー見えないぞ!場所代われ!!」

周りで大騒ぎされているうちに気が付いたが、動悸が激しくなってきた。
牛乳に何か入っている…!これ以上飲んではいけない。
必死に抵抗してやっと口を放したとたんに残った牛乳を浴びてビショビショになってしまった。
若い警官たちがなぜか興奮して大騒ぎだが、年配の刑事が怒鳴った。

「なんて…なんてもったいないことを…!食料を無駄にした罰だ!グラウンド20週全力疾走!早く行けぇ!!」
「えぇ〜??!!」
まだ牛乳でおなかがタプタプいってるのに〜……




「ハッ、ハッ…ハァ…ハァ〜……ハァ〜………」
舌を出して喘ぎながらZロリは戻ってきた。戻って来たくはないのだが、あちこちから銃口がむけられているのだ。
体が思うように動かない今、逃亡することは不可能だった。

その場に倒れてしまいそうなのに、警官たちは両脇からぐいとZロリのうでをつかむと、別室へ連れて行った。


「写真を撮るから上半身裸になれ…もう裸同然だけどな」
嘲笑の中で服を脱ぐ。名前と番号を書いた大きな札を持たされた。
Zロリは舌をしまうと、きっ、と顔を上げてカメラを見た。
このZロリさまが カッチョ悪い姿を撮られるわけにはいかない。
正面、横顔、と撮影されたと思ったら、カメラをかまえている警官が声をかけてきた。

「ん〜…じゃ、今度は少しニッコリしてみようかぁ!」
「はぁっ?!」

倒れそうなのをこらえて、頭がボーっとしているので、聞き間違いかと思ったが…

「ホラホラ、目線こっち!」
「いいねぇ〜…いいよ〜…少し上向いてみようかぁ!」
「さっきの舌だした顔ちょうだい。…あ〜!いい、いい、最高!」

いつの間にかカメラマンの数が増えている。…なぜかギャラリーまで。

「もっと大胆に脚を広げて!そう!…いい!!いいよ〜!!」
「今度は腹這いになって、お尻を少し上げて…ああ、ステキだよ。いいね〜、その表情いいよ〜!」

パシャパシャというフラッシュの音の中で Zロリはいつの間にか言われるままに次々とポーズをとっていた。
あれ?…あれっ??…おかしいな……とは思うのだが、疲れきった体と頭に響くフラッシュの音とほめ言葉の心地よさ…
Zロリは完全にノリツッコミのタイミングを逃してしまった。
もう、荒い呼吸を整えようとしていることも忘れそうだ。


若い警官たちは見ているだけでは耐えられなくなりだんだんZロリに近付き、汗ばんだ胸や腰に執拗に触れてきた。
大胆な一人がZロリのタイツをずらし、尻尾を持ち上げて指を挿入してきた
突然の痛みに悲鳴を上げて体をよじろうとしたが、数人がかりで押さえつけられた。

「動くな!!ここに何か隠しているんだろう!」
「脱出用の道具かぁ?!」
そのまま何度も抜いては挿され、中をかき回され、意識がもうろうとしていく中で、
体ががくがくと揺れはじめるのをぼうっと感じる。

警官たちに言われた『窃盗罪』という言葉が頭の中をグルグルと回る。
この町でいたずらはしたが、盗みをした覚えはない。この場をなんとか逃れなければ…と思う気持ちが
激しく叩き付けるような水音に押し流されていくのだが、Zロリにはもう どうすることもできなかった。




今回 Iヌタクは出ません!(キッパリ)


おそまつさまでした。(2005年9月23日)

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