つかまる!
Zロリは天才なんだが、たまに考えられないような失敗をしてしまう。
自分の指名手配ポスターの前でしかも警官の目前で変身してしまうなんてどうかしている。
悔やんでももう取り返しはつかない。前を見るしかないのだ。
四方をコンクリートに囲まれた殺風景な部屋で、ZロリはIシシたちとは別に取調べを受けていた。
「名前は?」
「Zロリ」
「年齢は?」
「え〜と、たしか109?」
刑事の眉が不愉快そうにピクリと動く。
「現住所は?」
「いたずらの王者になるための旅の途中だから、…ないなぁ」
唐突に、ガタンと大きな音を立てて刑事が椅子から立ち上がった。
その勢いでZロリの体も一瞬ぴょんっと宙に浮いた。
「ふざけていられるのも今のうちだけだぞ」
「?…おれさまは正直に答えているけどなぁ…」
「うるさい!!次は服を脱げ。上下全部だ」
「え?ここでか?!」
「さっさとしないか!」
周りを取り囲んでいる警官たちが銃を突きつけている。
「おおげさだなぁ……」
Zロリはそうつぶやきながら目だけをすばやく動かしてちらと周りを見回し…この場は逃れられないと覚悟した。
ピッタリとした紫色のスーツが少しずつ下へおりていくにつれて艶やかな黄色い毛並みに覆われた細身の体が
胸、腹、腰……と徐々に露わになる……そしてスーツはぱさりとかすかな音を立てて足元に落ち、
かいけつZロリは覆面をした、ただのキツネになった。粘りつくようなイヤな視線を感じる。
「何も隠していないか調べる。抵抗すると撃つからな」
全身をじろじろと見られ、なで回される。耳に触れられた時には思わずびくっと反応し、失笑を買った。
「感じているのか?いやらしいヤツだ。よし、四つんばいになれ」
「え?!」
そんなカッコ悪いこと…と躊躇するZロリの尻を固い爪先が蹴り上げた。
「いぃっっ!!」
背中を押さえつけられた。尻尾をぎゅっと握られ、高く上げられ、屈辱的なポーズを取らされる。
「な、何する…」
「手間をかけさせるな。こっちは忙しいんだ」
尻尾をつかまれたままで、その下の孔に慣らしもせずに太い指がぐいと挿入された。
指はそのまま中を執拗にかき回している。激しい痛みに食いしばった歯の間から声がもれる。痛いのは大嫌いだ。
「んくっ……!!ん…んぅぅ…………」
「ずいぶん喜んでやがる」
「う……うぅ…だ…誰が喜んでるかぁっ!!痛いって!!…………んあっ!!…………はっ……はぁ……」
指が抜かれると同時にZロリの体からも急に力が抜け、体を支えていた腕がガクンと折れ、その場に這いつくばった。
「なにも隠してはいないようだな。……なかなか締まりもよかったぞ」
羞恥と屈辱で真っ赤に染まったZロリの顔を覗き込むようにして、刑事はニヤリと笑った。
周りの警官たちもみんなあざ笑うような顔をしている。
指が抜かれ、ほっとする間もなく後ろからまた何かが挿入された。
「あぅ………!!は………っ………あ………」
むりやりこじ入れるように挿入された異物が気になって仕方がない。
「よし立て」
「な、なんだと?!なんか入ったままでか?!」
「つべこべ言うな。お前には質問に答える以外発言する権利などない!立て!」
むりやり両脇からかかえられ、立ち上がることを強要された。続けて投げ与えられた囚人服を仕方なく身に付けながら、
Zロリは一刻も早くここから脱走してやる!と強く思った。
「逃げようと思っているのか?……無理だな」
まるで心を読んだように、警官はニヤリと笑うと、Zロリに手錠をかけた。
さすがにこの手錠にはまいった。手の自由を奪われ、食事するにも苦労しただけでなく、
挿入された異物を取ることができず、かなり気持ちの悪い夜を過ごさなければならなかった。
次の日、独房に刑務所の所長Gメスが現れた。
「かいけつZロリ。お前には今から10年間ここで社会復帰のための勉強をしてもらうことになっている」
「10年も?!」
目の前のパネルには10年後のZロリ予想図が描かれている。
丸く穏やかな目つき。よい子を絵にしたような顔に虫唾が走る。(冗談じゃないぜ!!)
「ぜひ真人間になってもらうよ」
「真人間……おれさまキツネだけど」
Zロリがそう答えたとたん、突然体の中からくぐもった機械音がしたと同時に強い振動が起こった。
「………くっあ……!!あぁぁぁぁ!!」
強く突き上げられるような刺激に体が硬直し、ガクガクと震える。何が起こったのかと一瞬頭が混乱したが、
すぐに昨日挿入された何かが動いているのだと気が付いた。早くこれを外さなければ…………!!
いや、待て!…外す?!コイツの目の前で……ここで下着を脱ぐってことか?!………でっ、できるかそんなコト!!
しかしこのままでは……どうすりゃいいんだ!!……ど…っ…どうする…というより…もう体に力が入らない………
振動はますます強くなり、Zロリを昂らせ続けた。とても座っていられず、椅子から転げ落ちた。
強制的な快感から逃れようと身をよじり呻くZロリをGメスが見下ろしている。
見ている、というより観察している目つきだ。
「み、みっ…見る…な……んぁ!…………んん!!……んっくぅぅぅ…………」
びく!!と体が跳ね、目がふわっと空ろになった。一瞬体が弛緩しようとしたが、体内で振動する機械はそれを許さなかった。
休む間も与えられずまた次の昂りが繰り返し繰り返し襲ってくる。
ああ……濡れていく。体の下に水溜りが広がっていくのをぼうっとした頭で感じる。もう理性があっても苦しいだけだ。
「ふざけたことを言うからこんな目にあうんだよ。よく覚えてお…………
気が遠くなっていき、Gメスの言葉を最後まで聞くことはできなかった。
Zロリの意識は何度も遠のいてはまたうっすらと戻った。そのたびに青い色がぼんやりと見え、途切れ途切れに話し声がした。
「……ほんと…く締めるぜ」「早く代……よ!!」
意識が戻るたびに中心に痛みを伴って体が激しく揺れているのを感じまた意識が遠のいていく…………
体がびくびくと跳ね、中にも外にも生暖かいものが何度も何度も流れるのを感じる。
やがて何度目かの意識の波が遠ざかり、闇が訪れた。
固く冷たい床の感触が意識を取り戻させた。白濁した液で体じゅうがべたついていた。
意識のない間に何が起こったのか…………考えたくなかった。
ぼんやりしていると廊下で誰かが言い争っているのか、何か興奮してまくしたてているような声がした。
「たしかに正義はぼくらにあるかもしれません!!でもこれはあんまりじゃないですか?!」
「いいんだよ。あんな恥ずかしいこと誰にも言えやしないって。今度お前もどうだ?」
「恥ずかしいのはこっちです!!犯罪者だからって彼に何してもいいんですか?!Zロリがかわいそうじゃないですか!!」
「ほっとこう。Iヌタクは坊ちゃんだからな」
それを聞きながらZロリは鼻の奥がツンとした。
(おれさまは………おれさまは…かわいそうなんかじゃない!!今に吠え面かかせてやるんだからな!!)
不意に、冷え切った体に誰かの手がやさしく触れた。びくっと反応するZロリの体にあたたかいタオルがかけられた。
「大丈夫だよ。それで拭くといい」
背の高い、若い警官は微笑みかけたが、Zロリはぷいと横を向いた。
その目にうすく光るものを、Iヌタクは見なかったふりをした。そうすることしかできなかった。
まさかいずれ運命の再会をすることになるとは、まだ知る由もない二人だった。
おそまつさまでした。(2004年10月30日)
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