タイトル未定
旅の途中、遺跡のある国に立ち寄ったZロリたちは、その遺跡の奥にねむる、財宝の噂を聞いた。
遺跡には財宝を守るためのトラップが仕掛けてある。危険だから絶対に入ってはいけない…らしい。
しかし、やめた方がいいと言われれば、やってみたくなるタチだ。
早速遺跡に挑んだZロリたちだが…やはり…というか トラップにかかり身動きがとれなくなってしまった。
Zロリが、自慢の尻尾をくずれ落ちた岩の隙間にはさまれ その場から動けなくなってしまったのだ。
「せんせ、しっかり。オラたち助けを呼んでくるから」
「待て待てぇ!!そんなみっともないことできるかぁ!…おれさま今すぐ脱出してみせ…」
言い終わらないうちに、双子は泣きながら遠ざかって行った。
まだ別のトラップがあるに違いない。双子がそれにかからなければいいのだが、
今Zロリにできるのは、無事を祈ることだけだった。
持ってきた明かりも切れ、暗い遺跡の中は時間の経過がわからない。
脱出しようと動いてみたが、はさまれた尻尾はびくともしない。
あまり動いて体力を消耗するわけにはいかない。
「しかたがない…寝るか!」
Zロリはそのまま岩に体をあずけて目を閉じた。野宿に慣れているので、どこででも寝れる。
「驚いたな。こんなところで人に会うとは…」
突然聞こえた声に目を開けると、目の前にロボットの姿があった。
暗闇で見るロボットの不気味さに、思わず悲鳴をあげそうになったが必死で飲み込んだ。
「これは遺跡発掘用のパワードスーツだ。驚かなくていい」
「べっ、別に…おれさま驚いてなんか…」
頬を染めてぷいと顔をそらすZロリに興味をもったのか、男は近付いて来た。
「…なんだキミは…遺跡荒しか?…しかも、ド素人だな?」
「なんだとぉ?!」
「遺跡荒しでなければ…冒険者、とでも言いたいのか?……キミは冒険者としては失格だ。
こんな無防備な姿で遺跡に入るなんて…
死にたくなければ冒険などやめて、どこかの町で静かに暮らすがいい」
パワードスーツの奥から聞こえる、くぐもった声だが…たしかにそう言った。
かつて誰かに言われたセリフに似ている……なんだか腹が立つセリフだ。
「おおきなお世話だ!」
男は、ふふ、と笑った。
「強がっているが、ここで私に会ったのは奇跡と言ってもいいことだぞ。私が去った後、
次に他の誰かが来るまで どのくらい待てばいいのか…見当もつかないだろう?」
確かにそのとおりだ。Zロリは悔しさに歯を食いしばったが…どうすることもできない。
「では、ここで…助けて下さい お願いします。…と、言ってみようか?」
「ばっ……ばっか!…誰がそんな…」
「どうした?」
「ふん!…あいにくだが、おれさまは自分で…」
そう言いかけたとき、Zロリの腹の虫が大音量で鳴きだした。
そういえば…昨日から何も食ってない…力が出なければ脱出するのは困難だ。
「助けて下さいと言えるなら、私のランチを分けてやってもいい。さあ言ってごらん」
このかいけつZロリさまが…くぉんな感じわるぅ〜いパワードスーツ野郎に…そんなことを言わされるなんて…
「それとも、このままでいいのかな?…数百年もたてば…キミも遺跡の一部となるということだ」
「うぅ…たっ…助けて…下さい…」
「そう。…最初からそう言えばいいのさ」
屈辱に涙ぐむZロリの尻尾を、じっと見ながら、男は言った。
「なかなか立派な尻尾をしているようだが…ここでは仇になったというわけだな」
男が何気なくZロリの尻尾の付け根を握った、次の瞬間、Zロリの体がびくっと跳ねた。
「なんだ?」
「きっ、急に…触るヤツがあるかぁ!」
真っ赤になって怒るZロリに、男は意外そうな様子だった。…パワードスーツを着ているため、表情は見えない。
「それは悪かったな…しかしここを持たなければ、抜くことはできないだろう?」
「そんなこたぁ…わかってる」
「今度はそっとやるから、じっとしていろ」
だが…尻尾の付け根をそぉっと握られると…体から力が抜けていく。
「ふぁ……っ…あぁ〜…」
「なんて声出すんだ」
「だっ、出したくて出してるんじゃ…あぁ…は、はやく…してく…れ…」
「あまり声を出すな。遺跡が崩れて下敷きになるぞ」
男はそう言ったが、そんなことはない。少々大声を出したとしても、遺跡が崩れたりすることはない。
ただ、声を出してはいけないと、耐える相手の顔が見たいのだ。
「う……ぅ…く…」
「なかなか…いい顔をする……それにしても…おもしろい男だな…キミは…」
ふと見ると、かいけつ服の胸に、さきほどまではなかった小さな突起が浮き出している。
「あれだけでもうこんなになって…無防備なだけでなく、恥ずかしい服だな……」
最先端の科学によるパワードスーツは、その姿からは想像できない繊細な動きをする。
指先で胸に触れ、そこをこすってやると、Zロリは声を出すまいと必死に耐えて、細い体を震わせる。
しばらくすると…男はZロリの尻尾に刻まれた、ある痕跡を見つけた。
触れようとするとZロリは体をよじって抵抗する。
「そっ…そこは……や…ぁ…」
「初めてでもないだろうに。…そう恥ずかしがることもないだろう?」
顔を伏せようとするZロリの顎を上げ、男は静かに言った。
「数千年、数万年前の者たちが残した痕跡を研究している私に、数日前の痕跡を見つけることなど たやすいことだ。
ほら、ここに愛し合った痕がある…ここにも。…そしてここにも…」
その痕を残したのが誰なのかも、彼にはわかっていた。
彼はZロリの体に残された愛の痕を、ひとつひとつ、指でたどっていった。
正確に言うとその指は、若干ずれた部分を、じらすように、丹念にたどり…時折急に核心に触れてはまた離れた。
そのたびにZロリは たまらず声を上げそうになり、またその声を飲むたびに息が荒くなる。
意識がもうろうとしてきた時、突然まぶたを軽く舐められた。
「急にこうしたくなったのだよ。キミの涙を見ていると……」
そこには パワードスーツのヘルメットを脱いだ男の顔があった。初めて会った男なのに、初めて見る顔ではなかった。
違う部分は……眼鏡…そしてその奥の、冬の星のように冷たく輝く双眸だった。
「初めまして。…キミはGオンのものかい?…ならば、私のもの、ということだな」
今までくぐもって聞き取りにくかった声が、Gオンの声によく似ていたのだ、ということを感じながら、Zロリの意識は遠のいていった。
目を開けると、先ほどの顔が覗き込んでいた。
いや。先ほどの顔に似ているが、その涼しい色のまなざしには暖かさがあった。
その目にはうすく光るものを浮かべていたが、Zロリの視線に気が付くと、指先で急いで拭き取った。
「覚えているかい?…遺跡の外まで出たところで倒れていたんだ」
Zロリは、まだ少しぼおっとした頭で、Gオンの声を聞いていた。
遺跡の中で会った男のことは、…今は黙っていようと、なぜか思った。
「ケガはないか?…十分な準備もしないで遺跡に入るなんて無茶は…もうしないでくれ」
そう言いながら、GオンはそっとZロリを抱き寄せた。…そんな優しさがZロリにとってはつらかった。
今は…なぜか今だけは、もっと乱暴に扱って欲しかった。
おそまつさまでした(2006年8月11日)
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