選択肢
始まりは、今日の朝だった。
転校初日なのにも関わらず、前の学校からの癖が抜けてないのか、寝坊した。急いで学校へと行き、生徒玄関で新しい上履きに履き替えて、職員室へと走っていた。
職員室まであと少し。そんな所で――誰かとぶつかってしまった。それが、生徒会長のゼロス・ワイルダーだった。
もちろん、転校してきたばかりの自分がそんな事を知っている筈はない。知ったのは、放課後の事だ。
帰る準備をしていた時に、生徒会長が呼んでいるとクラスメイトから言われたのだ。
生徒会長なんて面識がないのに、何故呼ばれるのかわからなかったが、一応呼ばれたからには行かなければならない。
しん、と静まり返った廊下で、生徒会室の扉を叩くと、入るように促される。
そこで、見た人物こそ、朝ぶつかった人物だったのだ。
「自己紹介がまだだったと思ってさぁ。俺の名前は、ゼロス・ワイルダー。こう見えて生徒会長やってる訳よ」
「はぁ…その会長が、私に何の用ですか?」
転校してきたばかりの自分に、何の話があるのだろうと、ゼロスに訪ねてみれば、怪しく笑みを浮かべたゼロスはこちらに寄って来て、片手で腕を拘束してしまった。
「か、会長…何を…?」
「さあ?何でしょう?」
笑みを崩さずにゼロスがこちらを見る。何故だか、視線が外せなかった。それと同時に、身体も動かない。
その時、胸の辺りに風が当たった。それが、ゼロスが左手で制服のボタンを外したからだと気づいたのは、少ししてからだ。
そこで漸く、ゼロスの意図に気づいた。だが、気づいたところでもはや何も出来はしない。
「ゃ…やめ…」
「やめてなんて、あげない。こんな可愛い子、先に摘んどかなきゃ、盗られちゃうから」
冷たい手が、胸を愛撫する。時折爪で先端を引っ掻かれる度に声を出しそうになって歯を食い縛る。それが面白いのだろう。微かに笑う声が、耳に届いた。
だが、ゼロスの愛撫が巧みすぎる。刺激が少ないように優しい愛撫に、安心して食い縛っていた歯を緩めたと同時に強い刺激に変える。
先程から、そのパターンで何度も声を出してしまいそうになっている。だが、今回は――胸と加えて秘部へも指が侵入して来た。これには抑えようとしても抑えきれず、声が漏れてしまった。
「あ、ふ…っ」
「ほら、もっとちゃんと抑えとかないと…外のやつらに聞こえちゃうぜ?しいなちゃんの可愛い声が…さ」
声と同時に、一番いいところへ指が触れた。突然の快楽に腰が砕けそうになり、よろけてしまう。それをゼロスが支えようとしたのだが、間に合わず、近くにあった内線の受話器が床に落ちた。と、その直後に、目の前のドアがノックされたのだ。
「ゼロス君、今、大きな音がしたけど大丈夫?」
ゼロスは答えない。答える代わりに、しいなの耳元でそっと囁いた。
「…どうする?このまま開けて、見てもらう?」
「―――っ!!」
「選ばせてやるよ。このまま、ドアを開けるか。それとも…俺の女になるか」
ゼロス君?と呼ぶ声が、ドアの外で聞こえた。そして、ドアノブに手をかけたのだろう、ドアが僅かに軋んだ。
どう答えればいいのか、わからなかった。だが、それを待てないとでも言うように指が引き抜かれて、今度はゼロス自身が中へと入る。
「っ―――!!」
叫んでしまいそうになりのを何とか堪える。ゼロスが動かないうちに、何とか落ち着くと、再び、ゼロスの囁く声が、聞こえてきた。
「さて、このままじゃ見られちまうなぁ…俺達が繋がってるの」
嫌だ。こんな恥ずかしい姿、誰にも見せたくない――。
ドアが軋む音と、ゼロスの声に急かされてしまい、何も考えずに口を開いていた。
「な、なる…」
「ん?」
「女に…なる、から…っ。早く…」
そこまで言うと、笑みを浮かべたゼロスが、頭を撫で頬へと口付けた。
「ゼロス君?」
「ああ、すみません。さっき、受話器を倒してしまって…でももう直しましたから」
「そう、ならよかったわ。遅くまで、仕事御苦労様」
会話が終わると、足音が廊下から聞こえ、それは次第に遠ざかっていった。
それに安堵していると、ゼロスが身体を揺すった為に、まだ、情事の最中だという事を思い出してしまった。
「これで、俺のモノって訳だ…さぁ、こっからが本番だぜ?しいな」
彼に解放されるまでは、まだまだ時間がかかりそうだ。
これから起こる事を想像して、しいなは顔を真っ青にした。
ゼロしい、激裏…というリクエストでしたが、ちゃんとリクエストにかなっているでしょうか。鬼畜っぽくはしてみましたが。
今回、学パロにしてみました。転校してきたしいなが生徒会長であるゼロスと出会うお話です。ゼロスは手が早そうだな、とか思ったので、転校初日から早速盛って頂きました(笑)
では、ここまで読んで頂き、有難うございました。