雪降る夜に


フラノ―ルの夜はひどく寒かった。
だから、気を遣って毛布を持って来てくれたゼロスに対して、何の疑問も持たなかった。そんなゼロスに、たいしたお礼は出来ないが、せめて温かい飲み物くらいは用意しようと、部屋の椅子に座らせて紅茶を用意した。
「はいよ。寒いからね、せめてものお礼だよ」
「さんきゅ」
一言告げると、自分も座ってカップに口をつける。隣では、珍しく真顔なゼロスが窓の外を見ていた。
真剣な表情のゼロスに、柄にもなく心臓が高鳴ってしまうのを感じた。元の顔立ちが良いせいか、いつもと違う表情だからか、こういう時のゼロスに対して心臓が高鳴ってしまうのは今日が初めてではなかった。
見惚れていると、それに気付いたゼロスがこちらを向いた。そこで漸く、意識が戻る。
「どうした?」
「な、何でもないよ」
「ふーん…」
納得したような、していないような曖昧な返事をしたゼロスは、手前のテーブルに飲みかけのカップを静かに置いた。それから、もう一度振り向く。
「なぁ、しいな。雪…好きか?」
「何だい、突然…でも、嫌いじゃないよ。月が綺麗な日は、月の光が反射して幻想的だしね」
「そうか……俺様は、雪なんて嫌い。冷たいし、動き辛いし、寒いし、それに、雪が降る時の静寂は嫌な事を思い出す」
その時のゼロスの表情が、やけに寂しそうに見えた。それについて何か、言おうとしたのだが、口に出す前に、身体を引き寄せられた。
「だけど…しいなとずっと一緒なら、雪も好きになるかもな。そう思ったから、来たんだけどな」
「ゼロス…」
ぴったりと密着していた身体が少し離れたと思うと、左手で顔を上げられた。視線がぶつかったと思うと、すぐに額に暖かくて湿った感触がする。
キスを、されたのだ。
静かに離れた唇は、次に頬へと移動する。そして再び、先程と同じ感触が訪れた。
そして、少し間を置いてから、唇へとキスをされる。
その時に訪れた静寂が怖くなり、少しだけ身体をゼロスの方へと寄せた。すると、ゼロスの右腕が身体を更に引き寄せる。右手がゼロスの左胸に触れる。
トクン、トクン…と心臓の音が響く。それが、静寂を切り裂いてくれているお陰で、怖さは全くなくなった。
漸く唇が離れると、ゼロスが身体を抱え上げて歩き出した。ベッドへと下ろした瞬間に、再び唇が降って来た。今度は先程のような触れ合う口付けではなく深い、深い口付け。
ヌルリ、とした舌が自分の舌に絡み付くと、背筋がゾクリと震えた。それと同時に、服が乱雑に脱がされた。
これから何をされるのか理解して抵抗しようとするよりも、口付けによる息苦しさに、背中を叩くと、それを理解したゼロスが唇を離した。
「はっ……あ」
「しいな…」
露わになった胸の突起に、手が掠められる。それに僅かに反応して身体が跳ねる。それに気を良くしたゼロスが、更に追い打ちをかけるかと思いきや、それは訪れない。不思議に思い目を開けると、口端を上げたゼロスがこちらを見ていた。
「な、しいな…触れて、欲しい?」
「なっ…」
「言わないと、今日は触ってやんない」
そう言って手を身体から退けたゼロスは、こちらを見たままだ。
最初は別にこのまま終わるのもいいかとも考えていたが、だんだん見られているうちに、自分の意思とは別に、変な気分になってくる。
ただ、見られているだけなのに――。
「しいな?」
「ぁ……さ、さわ…って」
「どこを?」
耳元で囁かれて、紅くなっている耳朶を甘噛みされると、背筋に何かが這う。
そこまでされてしまえば、我慢など出来る筈はなかった。だが、どこと口にする事は、羞恥心が許さない。
そんなしいなが口にせずともゼロスに伝える手段として、自ら足を開いてみせた。
「ここ…を」
「はっ…やってくれるね、しいなちゃん」
しいなは知らなかった。口で伝えるよりも自ら淫らになる方が、余計に煽る事を。
案の定、まんまと煽られた。煽られてしまえば、当然我慢など出来るはなく――突然の愛撫だからと気遣う余裕もなく一気に二本の指を秘部の中へと潜り込ませた。
「あっ…!!」
だが、我慢が出来ない気持ちと同時に、瞳の端に涙を溜めてこちらを見るしいなの表情に、もっと虐めたいと考えてしまう。
一度奥深くまで中へと入った指を出入り口付近まで戻し、愛撫を軽くすると笑みを浮かべた。
「なぁ、次は…?」
「ん、なぁ…っ!?」
「どうして欲しいの?」
軽くではあるが、指を少しだけ動かすと、ぴくりと反応する。
――さて、いつまでもつかな?
先程から唇を噛み締めて我慢している様子を見ると、どうやら言いたくないらしい。
ならば、言いたくなるようにするだけだ。
「こうして欲しい?」
「ひぁっ!!」
入口付近で止めていた指を一気に奥まで差し込んでみる。だが、決して愛撫する訳ではない。一度奥まで差し込んだ指を再び元の入り口付近まで戻してしまうと、逃すまいとしいなの中が指を捕らえようとした。
「…今、しいなの中、俺の指を逃がそうとしてくれなかったぜ?」
「う、嘘…」
「嘘じゃねぇよ。本当は欲しいんだろ?なぁ」
ベッドから降りて、秘部へと顔を近付ける。目の前にある突起を吸い上げてやれば、中は指を奥へと誘い込もうとする。
「言えよ、しいな」
「あ…欲し…っ」
「何が?」
「ゼロスの…が」
漸く口にされた言葉は、本当に望んだ言葉に比べればまだまだ足りないけれど、元々欲を吐き出したいのを我慢していた自身にとっては、それだけでも十分だった。
ズボンを下ろし、そそり立った自身を取り出すと、しいなの秘部へと宛がう。
「いいぜ、そんなに欲しいなら…くれてやるよ」
躊躇いもなく一気に最奥目指して貫く。その瞬間、指で感じていたものとは比べ物にならない程の快感を感じて、すぐに精を吐き出したくなった。
だが、それを歯を食い縛って耐えると、すぐに律動を始める。
「ずっと、こうされるの待ってたんだろ?奥までされるの好きだもんな、しいなは…」
「ち、違…っあ!!」
「今、締まったぜ?言葉でも感じるの?」
淫乱、と耳元で囁くと、再びしいなの中が締まった。その締め付けに自身の限界を感じて、傍にあった片足を肩に担ぐと更に深く繋がった。
そして最奥に到達したその時、しいなの絶頂によって何度も起こった収縮に、自身も精を吐き出した。




「ちぇー。終わっちまった」
荒くなった呼吸を落ち着かせてから、しいなの横へと寝転がって呟く。すると、それを見ていたしいなは、窓の外を見たままで口を開いた。
「またいつでも出来るじゃないか」
「馬鹿、雪がある時じゃなきゃダメなんだよ」
「あぁ、忘れられるかも…ってやつかい?結局、忘れられたのかい?」
「いや?だけど…前に比べたら、雪も悪くないとは思ったな」
その言葉に、結局忘れる事は出来なかった事を知る。そんなしいなは、自分じゃ役不足なのかと落ち込んだ。
そんな姿も可愛いと思いながら背中からそっと抱き締める。
「お前がずっと一緒にいてくれたら、きっとそのうち好きになるかもしれないぜ?」
「…馬鹿」


フラノ―ルの夜は寒かった。




そんな事、微塵も感じなかったけれど。





ほ、本当にお待たせしました…!!
リクエストのあった、ゼロしい激裏です。
最近のゼロス君はどうやら言わせるのが大好きなようで…。
フラノ―ルの雪景色が嫌になったら、こうやってしいなのところで夜を過ごしていたらいいなという願望です。
では、お粗末様でした。



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