雪山パニック


「魔物退治?」
「はい、もう我々では手に負えないので、お兄さん達に頼もうと思うのだけど…ダメですか?」
ここはケテルブルク。ジェイドの故郷の雪国である。たまたま交易品を求めて立ち寄ったルーク達が、一言挨拶をしようと今知事であり、ジェイドの妹でもあるネフリーの元へ来ているのだが、そこで魔物退治の依頼をネフリーが持ち出した。
何でも、ロニール雪山に凶暴化した魔物が現れたらしく、この街の近くにまで出現しているのだが、誰も手に負えないようなのである。なので、強者が集まっているルーク達に頼もうと言うのだ。
「でもなぁ…おいジェイド、どうするんだ?」
「ふむ、一応私も軍人ですからね。民間人が危険な状況を放って置く訳にもいきません。皆さん、少々寄り道になりますが、よろしいですか?」
ジェイドの一言に皆が了承するのをルークが確認すると、ネフリーに了承の意図を告げる。
「じゃあネフリーさん、俺達がちゃっちゃと片付けて来るよ」
「本当ですか!?ありがとうございます!!」
こうして、一行はロニール雪山へと向かって行った。




「ネフリーが言うにはここら辺のようですね」
ネフリーから聞いた情報を頼りに魔物がよく出現すると言われる場所へと足を運んだ。だが、
「何にもいないな」
「場所間違えたんじゃないですかぁ?」
「おや、アニス。ここの土地に詳しい私が間違えるとでも?」
「じょ、冗談ですっ!!」
「でもいないんじゃ場所変えてもう少し…」
『探してみよう』と皆に伝えようとしたルークだったが、言葉は途中で止まる。目の前が急に暗くなった為だ。
何事かと思い振り向くと、そこには、今まで見た事があるかと疑う程の大きさの魔物が立ちはだかっていた。
「で…出たぁっ!!」
ルークの声に全員反応して武器を出す。
「おいおい。反則じゃないか?」
「でかすぎだよぅ…」
「皆さん、無駄話をしている暇があったら攻撃しますよ!!」
ジェイドの声で、前衛が一斉に攻撃を始める。そして、その間に詠唱が完了したジェイドの譜術によって崖が崩れた。そこから、魔物はバランスを崩して落ちていく。
「やったねぇ」
「あぁ」
倒した事によって皆が安堵したその時、魔物の凄まじい鳴き声が雪山に響く。それと同時に起こったのは地響き。
「な…何だ!?」
「いけません!!先程の魔物の鳴き声で雪崩が…」
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
全員、逃げようとしたものの間に合わず、雪崩に巻き込まれた。








「ん…」
自分の頭に冷たい物が落ちる。ルークが目を覚ましてそれを確認すると雪だった。
そして、自分の傍で寝ているティアの姿を確認すると、焦りを感じる。
「ティア!ティア!!」
「う…ん…」
強く揺さぶり、起こすとティアも目を覚ます。それに安心して、ルークは安堵の溜息を漏らした。
「良かった。ティア、大丈夫か!?どこも怪我してないか?」
「えぇ、大丈夫…それより、ここは…」
「確か…俺達、雪崩に巻き込まれて…」
「…遭難したのね。困ったわ。ここがどこかもわからないし」
辺りを見回しても、視界に映るのは白い景色だけだった。先程までは歩ける程であった天候も次第に吹雪き始め、視界は更に狭まった。
「ルーク、とりあえずどこかに避難しましょう。今無闇に動いても仕方ないわ。きっと、この吹雪が止めば大佐達が探してくれるでしょうし」
「あぁ。お、ちょうどいいや。そこに洞窟がある。ティア、そこでいいよな?」
ルークの質問に軽く頷き、洞窟に向かって歩いて行くルークの背中を追った。
「気を付けて。魔物がいるかもしれない」
「あぁ、わかってるよ」
ティアに促されて、慎重に中を覗く。暗闇で覆われていたために、中を確認出来ずに、今度は耳を澄ましてみる。だが魔物の声や気配は全く感じられず、そこに何もいない事がわかる。
「ティア、大丈夫みたいだ。入ろうぜ」
二人揃って中に入ると、薪を集め始めた。十分な量が集まると、ルークは自分の腰にある道具袋を漁った。
「おい、ミュウ?ミュウー?」
だが、いくら探してもミュウは見つからない。どうやら、ミュウは他の仲間達の所のようだ。ルークは大きな溜息を吐いた。
「ティア、ミュウがいねーんじゃ、火が…」
「そうね。私たちは第五音素は扱えないし。諦めましょう」
暖を取りたかったルークは項垂れたが、突然立ち上がると洞窟の出口に向かい、雪を固め始めた。
「どうしたの?ルーク」
「ん?何かの本で見た事あってさ。こういう時、洞窟の出口は塞いだ方がいいんじゃなかったっけ?」
ルークにそう言われてから、ティアもうろ覚えではあるが、前に読んだ資料に書いてあった事を思い出す。だが、雪は冷たく、一人でやるよりも二人で作業した方が早く終わる。そう考えたティアは、ルークがいる洞窟の出口に歩いて行き、雪を固めた。
「そうね。なら二人でやった方が早く終わるわ。だから、私も手伝うわ」
そう言ってみれば、ルークは慌ててティアから雪を離すように促した。
「いいよティア。俺がやるから休んでろよ」
「でも…」
「いいって。俺がそう言ってるんだからこういう時くらい休めよ」
「…そうね。そうさせてもらうわ。ありがとう」
それがルークなりの気遣いだと気づいたティアはルークから離れるとそっと座り、一生懸命に作業しているルークを見ていた。
暫くして、洞窟の入り口も塞ぎ、暗い洞窟の中で背中合わせで座っていた。すると、突然ティアの方からくしゃみが聞こえた。風邪をひいたのではないかとルークは焦り、背中合わせだった身体をティアの方へと向かせた。
「おい、ティア大丈夫か?風邪ひいたんじゃないか?」
「大丈夫よ。ちょっと寒くて…」
「どうしようか。温めなくちゃならないのはわかってるんだけど何もないし…」
「我慢するから、大丈夫よ」
本人はそう言ってはいるものの、どうしても暖かくしなければ、今は良くても風邪をひいてしまう。どうにかしなければとルークは色々と考える。その時、ふと一つの考えが浮かんだ。だけど、これを実行してしまえばティアからは怒られるに違いない。しかし、今はそんな事を言っている場合ではなくて。
「きゃっ!!」
意を決してしまえば自分の身体を動かすは容易かった。ルークは後ろからティアを急に抱き締める。それに驚いたティアが軽く悲鳴を上げたが、それを聞かぬフリをして、軍服を脱がせ始める。
「ちょ、ちょっとルーク、何して…」
「寒いんだろ?ならこうすれば暖かくなると思ってさ」
「暖かくなったって…んっ」
暖かくなるが、このままでは風邪をひくに決まっている、と言いたかったのに、言葉の続きは先程から胸に与えられた愛撫と深い口づけに拒まれた。ザラリとした舌の感触に頭が痺れ、何も考えられなくなってくる。一度離れた唇がもう一度触れて来ると、ティアは抵抗することをやめて、咥内を犯す舌に自らのそれを絡ませた。




「あっ、は…ルークぅ」
「ティア、すげ、熱い…」
いくら洞窟の入口を塞いで風を防いだとしても、気温は低い。それが繋がった箇所の熱を更に自覚させる原因になった。しかし、熱いなんて言う余裕はなく、がくがくと揺すられる事で与えられる快楽のせいか口から出るのは喘ぎだけだった。
「ふぁっ!そ、こ」
「…ここ?」
ある一点を掠めると先程よりも敏感に身体が反応する。それに気づくとそこを中心にルークは穿つ。
次第に頭が真っ白になる感覚が訪れる。それは、絶頂が近いという証で。
「あ、あ、ルーク、もう…!!」
「っ、ティア…」
「あぁぁっ!!」
最奥を勢いよく穿つと、お互い絶頂を迎える。ルークが放った白濁の熱さに身体を震わせる。閉じていた目をそっと開けると、にっこりと微笑んだルークと目が合う。それにつられてそっと笑うと、何も言わずにそっと唇を重ねた。








「…ごめんティア」
あの後、吹雪が止んだ後になってジェイド達に見つかり何とかケテルブルクに帰る事が出来たが、次の日になってからティアが風邪によって発熱し、出発出来ないままホテルにて皆思い思いに過ごしている。
「それにしても…ティアは風邪をひいたのにルークはひかないって…」
「つまり、ルークは馬鹿だという事ですよ」
「ジェイド、うるさいぞ」
ルークがジェイドに突っかかって行こうとしたその時、部屋のドアが開いた。
「ティア、お粥持って来たよー」
「私もてつだいましたのよ?」
「ナタリアが手伝ったって…大丈夫かよ」
「あら、何か言いまして?」
「あ、あはは、それじゃ、男はさっさと退散しようぜ?ティア、お大事に」
ガイに押されてルークが出ていく。それの後からジェイドも出ていき、扉が閉まるのを確認してから、ベッドのサイドテーブルにお粥をおいてアニスとナタリアがティアに詰め寄った。
「さぁ、ティア。話を聞かせてもらうよ?」
「そうですわ。洞窟に男女が二人きり…何もなかったとは言わせませんわよ?」
「あ、あはは……」
どうやら、ティアの熱は風邪のせいだけではなくこの二人によっても起こされ、暫く下がらないようだ。





遅くなりました!!20000Hit記念アンケートリクでしたルクティアです。
今回、また温い裏で申し訳ありません。どれだけ温く裏にするかという事をやってみたかったんです。撃沈しましたが。でも、雪山の遭難ネタというのは一度やってみたかったんで、書いている本人は凄く楽しかったです。
それでは、ここまで読んで下さったかた、ありがとうございます!!


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