7.強姦
あんなに大好きだった彼女の声も、もはや自分には届きはしない。繋がった場所から精が溢れ出る程に繰り返された情交は、止まる気配すらない。否、止める気なんてない。自分の目的に達するまでは。
「や、めて……たい…さ…」
もう抵抗する力すらない彼女が精一杯の気力を振り絞って出した言葉だった。だが、自分には届きはしない。だから応える事なんて、出来ない。
きっと、届いたとしても応える事なんてしないのだろうけど。
嗚呼、彼女が泣いてる。止めてと懇願している。いつもの呼び名で呼んでいる。
誰が泣かせた?
誰に懇願している?
誰を呼んでいる?
―――全て、自分だ。
「アニス、私のアニス。もっと私だけを……」
そうだ。彼女は自分だけを見ていればいい。感じていればいい。誰かの物になるくらいなら、自分の檻に閉じ込めてしまえ。快楽という鍵をかけて。
「あ…あぁっー!」
「まだまだ気持ち良くさせてあげますからね。ほら、また締め付けて…」
絶頂に導いて、奥を貫けば身体は素直に反応する。
もう彼女が堕ちるのも時間の問題だ。彼女が自分しか求めなくなるまでは、救いの手は差し延べない。例え壊れてしまっても。
壊れ物を扱うようにそっと唇に触れる。物とは違う体温が、触れ合ったそこから僅かに伝わった。
その熱だけが、自分と彼女の世界を繋げる唯一の物。
「愛していますよ、アニス」
歪み続けた自分は、もはや愛すらも歪んでしまった。
頬を伝う雫が涙だなんて、壊れた心じゃわからない。
暗い…!!一応ジェイアニです。珍しく狂愛ですが。
玉の輿を探していろいろな男の元へ行くくらいなら自分の手で壊してしまえ、的な。でも愛している人を傷つけたくはない。その葛藤が最後の涙ですね。
前回のお題も暗かったのに、更に拍車がかかった結果になりました。やはり夜中に書く物じゃないですね。思考が暗い…!!