Honeymoon7
港町にて 3



案内された貸し家の仲介人の事務所には、悠理と龍之介同様、安宿からあぶれた客船の客が数人と、オレンジ色の髪をした、可憐ばりにスタイルのいい女が一人いるだけだった。どうやら、この女が仲介人本人のようだ。そして、なかなかのやり手らしい。女の提示したリャドの値段に、先客たちは何やら文句を言ってるのだが、他に泊まるところもない上に“サービスはたっぷりしますから”という女のうまい口上に、すっかり丸め込まれ結局どの客も、女の言い値で金を払っているようだった。
その様子を見ながら、悠理はちょいちょい、と龍之介のシャツの裾を引っ張った。

「ん?どうした?」
「・・・お金、足りる?」

悠理に言われて龍之介ははたと気が付いた。
そう言えば、呑気な船旅だからということで、悠理の現金が何束も入ったいつものデイパックは、そんなには必要ないだろうと、ジェット機に置いてきてしまっていたし、どんなものでも何でも買えるブラックカードは悠理が無駄遣いしないように、と旅行前に執事の五代に取り上げられていた。
龍之介もある程度の現金は持っていたものの、悠理にねだられればあれやこれやと買ってやっていたので、言われてみれば少々懐が心細いような気もしないでもない。

そんな話をしているうちに、悠理と龍之介の番がきた。女はカジュアルな格好の2人を値踏みするように見つめると、ふぅとため息をついた。

「なぁに?あんたたち・・・お金ないわけ?」

いきなりの日本語に、悠理と龍之介は驚いた。この仲介人の女性は日本語がわかるらしいく、どうやら2人の会話も聞いていたらしい。

「すっごい!日本語できんだ!」
「まぁね。日本人はいいカモ・・・じゃなくていいお客さんだから。
・・・で、どうなの?お金、あるの?無いの?」
「いや、まったく金がないってわけじゃないんだが・・・」
「どれぐらいなら出せるわけ?」

龍之介は先ほどから他人がしていた交渉金額の半分の値段を言った。いきなりの50%オフからの交渉で、仲介人は少し驚いた顔を見せた。もしかするとどうやらそれが本来の金額だったのかもしれない。ケチるつもりではないが、かなり上乗せされた料金を他の客が払っているらしいということは、見ていてすぐにわかっていたので、それに気づいてるのに簡単にぼったくられる言われはない。それに、何日この島にいることになるかわからないので、当然、当座の現金は必要。加えて、龍之介はこの手の交渉は得意な方だ。

「そんな金額じゃ貸せるわけないでしょ!?」
「他の客に付けてるオプションだのサービスだのってのを抜いてくれればいい。結局“そこ”に金がかかってるんだろ?」

仲介人の言葉が一瞬うぅっと詰まった。どうやらアタリらしい。どうやら本当に2人が最後の客だったようで、他にやってくる客も無く、金が無いなら他の客に譲ったっていいと言うこともできず、それでも粘ってくる仲介人との交渉がしばらく続いたが、結果元の金額の70%ということで片が付いた。
仲介人も、カジュアルな2人の格好を見て、それほど金が搾り取れるとも思えなかったのだろう。そこらへんはちょっと、勘働きが足りなかったかもしれない。

「・・・まぁ、いいわ。どうせあんたたちの前の客からがっぽり儲けさせてもらったし。最後の一軒はちょっと手狭な家だったし。あたしにだってね、一応良心ってのはあるのよ」

おいおい・・・やっぱりぼったくってたのかよ。
という呟きは心の中だけに留めておいて、とりあえず仲介人の良心とやらが気を変えないうちに龍之介はリャドを借りる書類にサインをした。

「そりゃ、どーも」
「ただし、ホントーに使用人とかサービスは何もつかないわよ?料理とかも、自分たちで作ってよね」
「あぁ、それでも全然問題ないから」

そんなやりとりが進む中、悠理が再び龍之介の服の裾をくいくいと引っ張った。

「ん?どした?」
「ね、そこってヘビとか出たりしないかな?」
「うーん、どうだろ?どう?」

龍之介は仲介人に尋ねた。

「ヘビ?でないわよ?どうして?苦手なの?」
「・・・うん。ちょっとニガテ」
「うちの奥さん、長くてにょろにょろしたものがダメなんだよ」
「あら、可愛いじゃない」
「あぁ。すっげぇ可愛いんだ」

龍之介が照れもなくそう言ってにこっと笑うと、悠理はその頬をちょっぴり染めた。
仲介人の女は、あらまぁと言った感じでその綺麗な眉を持ち上げた。

「まっ御馳走様。それじゃ、鍵と簡単な地図を渡すわね。すぐわかる場所よ」

女から鍵と地図を受け取ると、龍之介は悠理と、借りた貸し家に向かった。

ところで、この貸し家だが(島ではリャドと呼ばれている)、貸し家とは言う物の、ただ単に客に空き家を貸す、という訳ではない。島の伝統的な民家をきれいに改築し、美しい家具も入れてあり、龍之介は断ったものの、そのサービスもエステやらマッサージやらいろいろあるということで、高級リゾートホテルと比べてもなんら遜色はない。ただし、こんな海賊なんてものがくるこの島で、需要があるのかどうかは甚だ疑問なところだが。





見つけた建物の門をくぐり、借りた鍵でリャドのドアを開けると、手狭とは聞いたものの中は案外広い。寝室を見つけた悠理が早速、飛び込むようにベッドに身体を預けると、スプリングの良い上等のベッドは、悠理の軽い体をポンポンと跳ねさせた。

「わーいっ!揺れないベッド久しぶりだぁ〜い!」
「割といいところだよな。これだったら値切ることもなかったか?」

キッチンや他の部屋を見て回っていた龍之介も悠理のいる寝室にやってきた。そして、悠理が転がっているベッドに腰掛けると、ふわふわの枕に顔を埋めてはしゃいでいた悠理は、その顔にじーっと視線を送った。その視線に気づいて龍之介は、ん?という感じで悠理の方に小さく顔を傾けた。

「・・・りゅう」
「なに?」
「・・・キスぅ」
「ん」

龍之介は手を伸ばし、悠理の頬に優しく触れた。悠理がちょっと照れくさそうに目を閉じると、その睫毛がちょっとだけ揺れた。龍之介は少しだけ意地悪をしたくなって、くちびるではなく、先ほどと同じようにほっぺたを軽く濡らした。途端に悠理は目を開けると、龍之介の訪れを待っていたらしい、そのくちびるをとがらせた。

「違ぁうぅ〜!」
「どう違うー?さっきしたのと同じキスだろ?」
「・・・違うのぉ」

龍之介はクスクス笑いながら、拗ねる悠理の身体をやんわりとなぞって、ゆっくりと引き寄せる。いつの間にか、悠理は龍之介の膝の上だ。

「・・・なら、悠理からしろよ」
「・・・じゃぁ、目ぇ瞑って」
「いいよ」

今度は龍之介が目を閉じると、悠理はその深い灰色の柔らかな髪をそっと指先で梳いた。いつ見ても、どれだけ見ても、きれいだなと思ってしまうその顔の口元に、笑みが浮かぶ。

「・・・くすぐってぇよ」
「・・・静かにしてろってばぁ」
「あぁ」

悠理は少し頬を染めて、龍之介に顔を近づける。そして、その薄いくちびるの口角に、触れるように口づける。口づけてはわずかに離れ、再び触れる。優しく、優しく。それを繰り返す。悠理の身体を支える龍之介の腕が、手が、悠理の着てるつなぎの上からゆっくりとなぞる。つなぎは結構厚手の生地のはずなのに、その手の動きは確実に悠理の弱い部分を見つけている。

「・・・やんっ」

今度は悠理の方がくすぐったくなって、つい声が甘く漏れた。

・・・りゅうったらぁ・・そんな風に触られたら・・あたいすっごく弱いのにぃ・・・。

悠理は甘い視線で龍之介を見つめた。でも、その目はまだ閉じたまま。

・・・まだキスが足りないってのか、こいつはっ!?

悠理は、先ほどまで軽いキスをいくつも重ねたくちびるを、今度は舌で濡らした。長い睫毛がようやく微かに瞬いた、のと同時に悠理の舌は龍之介のくちびるに素早く絡め取られた。

「ん・・っ・・
んんぅ」

龍之介の手が、悠理のつなぎのジッパーを音もなく降ろし、その中に忍び込んできた。そして、チューブトップに包まれた小さくも柔らかなものに触れた。





「ん・・んむっ・・んぅう・・・」

胸のふくらみをまさぐられ乱れる吐息を、激しいキスに貪られ、うまく吐き出すことができない。ちゃんと呼吸ができず苦しいはずなのに、なんて気持ちいいのだろうと悠理は思う。背に回された腕に支えられ、ゆっくりとベッドに押し倒される。さらに、つなぎのジッパーを一番下まで降ろされる。迷彩柄のチューブトップをずらされ、直に胸に触れられる。その間もずっと悠理のくちびると舌を蹂躙していた龍之介の舌が、移動を始める。行き場を探していた吐息が溢れ出した。

「あ・・ぁん・・・あ・・っ・・りゅ・・うっ・・・くふぅ・・ん」
「ん・・きもちい?これは?」

龍之介は、手の中でやわやわと形を変える触り心地の良いふくらみの、少し固くなってる先っぽを、指先でくりっとつまんだ。

「あっ・・やっ・・!」

身を捩らす悠理を優しく見下ろして、龍之介は悠理から少し身体を離した。

「・・・りゅう?」
「いくらなんでも、ブーツ履きっぱなしでってのはお行儀悪ぃよな?」

龍之介は悠理の履いていた編み上げブーツの靴紐を片方ずつ解き、悠理の足を解放させ、靴下を脱がせてその指先を揉みほぐした。

「今日は結構歩いたから・・・楽んなったろ?」
「なったけどォ・・・」

ブーツなんかどうでもいいから早く抱いて欲しいとは、さすがに言えない悠理が龍之介に向かってジリジリした視線を送っても、向こうは何のその。自分も履いてた軽いウォーターシューズと靴下を脱いで、やっぱ裸足は楽だな、なんて呑気に言っている。

「りゅーうのすけ〜!?」
「ん?」

痺れを切らした悠理は龍之介に掴みかかると、その着てるモスグリーンのシャツを力任せに左右にビリッと破いた。開けていた上から3つを除いて、残りのボタンがすべて弾け飛び、龍之介の引き締まった身体が顕わになる。

「うっわ、なーにすんだよ!?」
「どーせ、肘んとこ破けてたんだからいーじゃんか」
「あーぁ・・これ、気に入ってたのに・・・」

龍之介の服のボタンを飛ばしたのは何も、今回が初めてというわけではない。だが、いつもそれで悠理の気持ちをわかってくれてるはずの龍之介が、もうかなり着古したシャツのボタンを、一つずつ探し、拾い集めているのを見て、悠理は次第に後悔を覚えてきた。

・・・だ、だけど、龍之介があたいのこと、焦らすからじゃないかっ!?

「そんなの拾うなっ!似たようなのまた買えばいいだろっ!?」

後悔している心とは裏腹に、口からは生意気な言葉が出てしまう。ボタンを拾う手を止め、龍之介は少し悲しそうに悠理を見つめた。

「・・・やっぱり忘れてたのか?これ、だいぶ前だけど、悠理がオレにくれたヤツじゃないか。さっき袖破ったとき、てっきり叱られると思ったのに。」
「!!!」

・・・思い出した。そーだ、そーいえばそれ、あたいがあげたヤツ。
お気に入りだったなんて、嬉しいな・・・・・・・・じゃなくてっ!

「・・・ごめんなさい」

悠理は、ベッドの下で再びボタンを探し始めた龍之介の背中にしがみついた。しがみつかれた方の龍之介は、自分の背中のコアラのような悠理に顔を向けた。肩に顔を埋められており、表情は見えないが、おそらくその顔は、いたずらを咎められた子供のように、泣きそうになってるのだろう。怒るよりも先に、可愛いと思ってしまう。抱き締めてキスをしたいと思ってしまう。

・・・まったく、オレは甘い旦那だな。

龍之介は、悠理の髪にそっとキスを落とした。すると、悠理の顔が持ち上がる。思った通り、すぐにも泣き出しそうに目を潤ませて、さらには鼻水まで垂れてきそうだ。

「・・・りゅう・・ごめん、ごめんね?」
「いいよ、袖直すついでにボタンも付け直せばいいってだけだからさ」
「・・・直せる?」
「あぁ、大丈夫。」
「・・・怒ってない?」
「怒ってねぇよ」
「ホント?」
「ホント。全然怒ってない」

龍之介が怒ってないのがわかると、悠理は泣きそうだった目を乱暴にごしごし擦りながら、鼻水をずずっとすすって、えへへと笑った。そして、照れくさそうにそっとキスをしてきた。そのキスに応えてから龍之介は、悠理をおんぶしたままベッドに座り、その上にころんと寝転がして、再び自分の腕の中に捕まえた。

「じゃ・・そろそろ、このつなぎ、全部脱いじゃおな?」
「・・・ん」





すでに下まで降ろしたつなぎのジッパーの間から、覗く胸元。脱げ掛けのチューブトップからちらりと見えてる、尖った薄いピンク色の部分がたまらなく扇情的だ。どんなに少年ぽい格好をしてても、悠理は龍之介の腕の中では溢れるぐらいの色気を発する。いつもは少し子供っぽい表情を作る顔が、一気に艶を得てうっとりとこちらを見つめてきた。龍之介はわずかに唾を飲み込んだ。

強引に脱がせれば、厚手の生地やジッパーが悠理の柔肌に食い込んでしまうので、龍之介はつなぎの胸元をゆっくりと開き、徐々に悠理の身体を顕わにしていった。おとなしくされるままにしている悠理に、軽くキスをする。その間も優しくつなぎの袖を両方とも脱がしてやると、色白な腕が首に絡まってきた。
少し腰を浮かせさせて、下の方まで降ろしてやると、あとは悠理が自分でうまく足を使って、ベッドの下につなぎを蹴り落とした。

・・・ふふ、オレの可愛い奥さんは、足癖が悪いったらないな。

そんなことを思ってくすっと笑う龍之介を、悠理がちょっとだけにらむ。

「・・・りゅう、今なんかヘンなこと考えた?」
「鋭いな。何だと思う?」

見る見るうちに悠理の顔が赤くなる。

・・・そこまで赤面されるようなことは考えてないぞ。でもどんなこと想像したんだろな?

ずれたチューブトップと、おそろいの迷彩柄でボーイズレングスのショーツ。といっても、縁に黒いレースがあしらわれており、なかなか可愛らしい。胸元に注がれる視線に気づき、恥ずかしくなったのか、悠理は慌ててそこを隠そうとした。だがその直前で龍之介はその手を掴み、もう片方の手で、チューブトップを完全に下にずらした。

「・・・うわっ、もぅっ、このすけべ!」

龍之介は悠理の抗議の声など聞こえない振りで、現れた可愛らしいバストに顔を埋めた。

「・・・ん〜シアワセ。最高に気持ちいい・・・」
「・・・
もぅ」

いつになく大人な、そして嬉しそうな悠理の声と、自分の髪を撫でるその掌の優しい動き。焦らしたりなんだりする余裕など、もう、どこにもありはしなかった。





自分の顔に触れる柔らかなそこにくちびるを付ける。
強く吸う。舌を這わす。

「りゅう・・・」

聞こえる甘い囁き。
少しだけ顔をずらすと、ちょうど口元にピンク色の可愛い部分がやってきた。
ためらうことなく、口に含む。舌で弾く。再び強く吸う。

「ぁ
・・・」

ぴくんと跳ねる悠理の身体から次第に力が抜けていくのを感じ、徐々にキスの位置を胸から鎖骨、首筋へと上げていく。悠理の吐息が甘く漏れてくるのに調子に乗って顎、頬、おでこと、めちゃくちゃに、悠理の顔中にキスを降らしていると、両手でぐいっと無理矢理頬をはさまれた。

「・・・他にキスするとこ、あるだろぉ」

口を尖らせ少し照れくさそうな顔がたまらなく可愛い。龍之介はくいっと口角を上げると、何も言わずに、悠理のくちびるに自分のそれを重ねた。頬を挟んでいた悠理の手がいつの間にか肩に回っている。
ピンク色のマシュマロのような柔らかい感触を、ふにふにと自分のくちびるで味わう。まるで、いつまでも無くならない魔法のお菓子だ。情熱的なキスもいいが、こういう戯れるようなキスもなかなかわるくはない。ただ、あまり遊んでばっかりいると、しびれを切らした悠理の方からお迎えがやって来る。
だが、それもいい。
くちびるをそっとノックしてくる暖かく濡れた悠理の舌を自分の中に迎え入れる。存分に自分の舌を絡めておもてなしをしてから、今度は悠理の方へ。悠理を深く味わいながら、その脚を持ち上げて、その間に自分の身体を滑り込ませ悠理を組み敷いた。さて、捕まえたぞと思ったら、いつの間にか、悠理の脚が自分の身体をがっちりとホールド。

「・・・りゅうのこと、や〜っと捕まえたっ♪」

どうやら、捕まえられたのは龍之介の方だったようだ。





キスをしながらも、悠理の胸や腰を弄っていた龍之介の手が少しずつ下の方に下がってきた。指をショーツの縁に引っ掛け、その中に忍ばせる。絹糸のような柔らかな感触を、愛でるように撫でると、悠理の腰が敏感に反応して少し浮く。中指を少しだけ沈め、奥を探る。指先が濡れるのと同じくして、くちゅ・・・という音。ふいに悠理が恥ずかしそうに身を捩る。

「おと・・たてちゃ・・やぁ・・・」
「・・・オレじゃないもん」

隠れた小さなあの部分を探る。見つけて、指先で弄れば、悠理のしがみつく力が強くなり、指で触れてる奥の方がさらに溢れてくる。

「ぁっ・・ん・・・やめ・・もぉ・・・」
「・・・やめて欲しいのか?こんなになってんのに」
「ちがっ・・あぁ・・っん・・・いや・・やめちゃ・・やぁっ・・・」
「わかってる・・・やめねぇよ」

開いてる方の手で悠理の身体を強く引き寄せてから、浅い部分を探っていた指をぐっと奥へ沈める。悠理の奥は、暖かく湿っていて、一本しか入ってない龍之介の指をきゅうきゅうと締め付けてきた。密着した悠理の身体から熱を伴う吐息と震えを感じ取る。絞るような掠れたきれぎれの囁きを耳元で受ける。

「りゅ・・う・・来・・てぇ・・・」
「ん・・・」

龍之介は悠理から指を抜くと、少しだけ身体を離す代わりに、ちゅっと軽く頬にキスをした。そして、悠理のショーツを脱がし、自分もハーフパンツと下着を脱いでベッドから蹴り落とすと、再び悠理を強く抱き締め、自身を深く突き入れた。
高まっていく体温と共に、悠理はふと、自分たちが何かとても大事なことを一つ忘れているような気がした。

「ねぇ・・りゅう?あたいたち、なんか忘れてない・・・?」
「うーん、実はオレもそれ、思ってたんだ。
なーんか妙に引っ掛かってんだよな。まぁ、そのうち思い出すだろうと思うけど・・・」

龍之介は再び悠理の肌にくちびるを這わせ、狭い悠理の中で締め付けられている自身をゆっくりと抽送した。悠理は再び吐息を乱し、言葉にならない囁きを漏らした。

「あぁ・・ん・・あた・・い・・しばらくは・・ムリぃ・・あたいん中・・今・・りゅうしか・・いないんだもん。
・・・りゅうで・・いっぱいな・・ん・・・」

全身でしがみついてくる悠理の身体を揺らしながら、龍之介は悠理に囁いた。

「オレん中も・・悠理でいっぱいだ・・・愛してる」
「あたいも・・あい・・してる。ねぇ・・もっと・・・もっと・・あたいのこと・・りゅうで・・いっぱいにして」

龍之介は悠理を突き上げた。深く、深く。悠理の温もり、甘い匂い。愛しさのすべてと込み上げる高まりを、龍之介は、愛する女の中に吐き出した。

「ん・・・っ・・くっ」
「あ・・あ・・あぁあぁんっ!!」





それから2人はさらに身体を重ね、その後はまるで日溜まりの中の子猫の兄妹のように、ぴったりとくっついて微睡んでいた。時たま、戯れるようにお互いの身体に触れ合ったり、くすくすと何かを囁き合ったり、短いキスをしたり、長いキスをしたり。そうするうちに、悠理のお腹が微かに鳴った。それにつられるように龍之介のも。

「お腹・・空いたね」
「そうだなぁ・・・しっかし、オレたちむちゃくちゃ代謝良すぎだよな」
「だね。・・・動いたら動いた分だけ、ちゃ〜んとお腹空くんだから」
「んー、イイ運動だったぁ〜」

そう言って龍之介はおどけたように悠理のお腹に口付けした。

「あっコラ・・やぁんっ・・あっ・・そういや、さっきの店のご飯すごくおいしかったね♪ お店の人もすっごく綺麗だったし〜!」

まだ自分のお腹に悪さをしようとする龍之介の髪を、ぐりぐりと掻き回しながら、からかうように悠理は聞いた。

「綺麗な人・・・?あー、そう言えばそうだったような気も・・するようなしないような」

要領を得ない龍之介の言葉。だが本気でよく覚えていないらしい。この男は、料理のことが関わると、他のことにすっかり無頓着になる。

「ふふっ、龍之介、ほとんどあの人の料理する手元しか見てなかったもんね」
「こんな辺鄙な島であれほど見事な腕が見られるとはなぁ。んー、風呂入って着替えてからまた行ってみるか?」
「「うあぁっ・・・・・!!!」」

2人はそこでがばっと起きあがり、慌てて顔を見合わせた。
忘れていたことに同時に気がついたのだ。

「おい、オレたちあそこで金払ってねぇぞっ!」
「うわっ!どぉしよっ!あたいたち、食い逃げしてきちゃった!」


とりあえず、続くらしい。いつの日か。
Honeymoon8


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