たまらなく天気のいい休日。
昼も近いと言うのに、昨晩からのあられもない姿のまま、
悠理と龍之介は、くっつきあってぐっすりと眠っていた。
龍之介がむっくりと起きあがる。
「・・・あ、そうだ。オレ、今日洗濯しようと思ってたんだっけ・・・」
龍之介は眠い目をこすりながらベッドから這い出るようにして窓のカーテンを引いた。
まぶしいぐらいの日差しを全身に浴びる。
「うわ、天気いーなぁ・・・洗濯するのにはちょうどいいや」
龍之介はまだベッドで眠る悠理をそのままに、
部屋の中に落ちている昨夜着ていた服などを拾い集め、洗濯機の中に突っ込んだ。
洗濯機を動かし始めると、悠理が龍之介の大きなTシャツを着てのっそりと起きてきた。
「おはよ、悠理」
「りゅうーおあよぉ~」
おはようの挨拶とあくびが同時だ。
「ねぇ・・・あたいの昨日着てた服、無いんだけど・・・」
龍之介は先程ベッドの下に落ちていた自分の昨日の服と共に、
悠理の服も一緒に洗濯機の中に入れてしまったことに気付いた。
「あ、オレの服と一緒に洗濯機に入れて洗っちゃってる」
「え~?」
「代わりにオレの服着てろよ」
「りゅうの服着るのはいいけど・・・あの・・・」
「ん?」
「・・・パンツは?」
「・・・あ゛っ」
「もしかして、あたいのパンツも洗っちゃったのかー?」
「・・・かもしんない。」
「うそぉ~!!!」
「着替え、今日は持ってきてないのか?」
「着替え持ってきてなかったから、昨日は泊まるつもりじゃなかったのに、
なのに・・・りゅうがあんなに何度も~!」
昨夜の少しばかり激しかった情交が2人の脳裏をよぎる。
おかげで悠理は家に帰りそびれたのだった。なんて、ここ最近はほとんど毎度のことなのだが。
「確かに昨日はちょっと頑張りすぎだったな・・・」
「・・・そーいえばあたいも、もっといっぱいしてってゆった」
2人はわずかに頬を染めた後、話を本題に戻す。
「この天気ならすぐ乾くだろうから、ちょっとだけそのままでいてくれる?」
「・・・あたい、それまでこの格好かー!?」
龍之介は洗い終わった洗濯物の入ったカゴを手に、ベランダに出た。
おでこに手を当てて空を見上げる。
やはり、今日は天気が良い。
・・・洗濯よりも、悠理とどこかに遊びに行った方がよかったかなぁ・・・?
そうだ、オレのまだ開けてないパンツ、出してやればよかったかなぁ。
ボクサーパンツなら、女の子でも穿けただろうに。
あ、悠理寝てる。
寝室にも面しているベランダから、ベッドの上に横たわっている悠理の姿が見える。
長めのTシャツから覗く長い脚が、まるで龍之介を誘っているようだ。
そこから目を離したいような離せないような、
わずかにゴクリと唾を飲み込みつつ掴んだ洗濯物は、悠理のパンツ。
これ、昨日はオレが脱がしたんだよな・・・。
悠理はいつものごとく恥ずかしがって・・・めちゃくちゃ可愛かった。
・・・ヤバイ。
このままでは単純に欲情してしまう。
ささ、洗濯!洗濯!さっさと干すぞ!
龍之介は一番日当たりと風通しのいい場所に洗濯ばさみで悠理のパンツを挟んで干してから、
次から次へと洗濯物を手際よく干すと、それらはまるで満艦飾のようにはたはたとはためいた。
こんなに天気がいいのにあたい、ベッドの中で何してんだろ。
だけど、何でパンツ穿いてなくてもベッドだと平気なのかな。
・・・やっぱりパンツ脱いでることが多いから?
それにしても、昨日の夜は・・・あ゛~もぅ思い出すだけで顔赤くなりそ。
だって、龍之介ったらさ、あたいがもう帰らなきゃって言ったら、
帰したくないって・・・あんなにするんだもん。カラダがヘンになるかと思ったぞ。
・・・でも、いっぱいおねだりしちゃったな~うふふ。
枕を抱きながらベッドの上をゴロゴロしてると、
ベランダのガラス戸越しに龍之介が洗濯物を干しているのが見えた。
・・・あ、龍之介、洗濯物干してる。
エライよな・・・あたいなんて洗濯も掃除も全然できないし。
・・・洗濯物干してる龍之介も結構好きだな。
な~んて、あたい龍之介が何してたって好きなんだけどさ。
龍之介、洗濯物なんか放っておいてあたいのとこ来てくんないかな。
2人でくっついていれば、パンツ穿いてない言い訳だってちゃんと成り立つのに。
・・・そぉだよ、りゅうもパンツ穿いてなきゃいーんだ。
あれ・・・?なんだろ・・・何かちょっともやもやした気分。
悠理はうとうとと眠りに落ちた。
『すっごい!龍之介これ全部作ったのか?』
悠理の目の前には数え切れないほどのご馳走が並んでいる。
「そうだよ。全部悠理のために作ったんだ。好きなのを好きなだけ食べろよ」
『わぁい♪いっただっきま~す!』
手始めにどでかい鳥の丸焼きの脚を引っこ抜く。
がぶりとかじり付こうとしたその瞬間、
途端にその脚にほっそい脚が生えて見事なダンスを踊り始めた。
つい面白がって拍手をすると、鳥の脚は軽く会釈をして去っていった。
拍手を終えて悠理は、鳥の脚に逃げられたことに気が付いた。
『・・・ま、いっか。脚はもう一本あるしー』
そこでもう片方の脚を引っこ抜くと今度はタップダンスを始めた。
やはり悠理はついつい拍手をしてしまい、こっちの鳥の脚もやはり会釈をして逃げていった。
その後は鳥の脚だけではなく、どのご馳走に手を付けようとしても同じように、
漫才を始めたり手品を始めたりと、何かしらの特技を見せつけては悠理の拍手を誘い逃げていくのだ。
沢山あるご馳走が一口も食べられないまま、どんどん減っていく。
そこへ再び龍之介が現れた。
「悠理、オレの作った料理はうまいか?」
『りゅうのすけぇ・・・それが食べようとしても食べようとしてもご馳走が逃げちゃうんだよぉ・・!
あっ!そっち行った!捕まえろぉ!』
しかし、悠理が龍之介に泣きついた途端、テーブルの残りのご馳走が一斉に逃げてしまった。
「あぁ、これはもう追いかけるのは無理だよ。
みんなその気になってブロードウェイに行って自分の才能を試してくるってさ。
悠理が拍手なんかするから」
あっさりと言う龍之介に悠理は泣きそうな顔になった。
『じゃぁ、あたいはずっとご馳走食べられないのかぁ?』
「だって、悠理パンツ穿いてないし」
悠理は自分の身体を見た。いつの間にやら身体を覆うものが何もない。
『うわっ、ななな何であたい裸!?何でだよぉっ!』
「それは、悠理がオレのご馳走だからさ」
龍之介はにっこり笑って、皿だのなんだのが落ちて割れるのもお構いなしに、
テーブルからテーブルクロスをはぎ取り、悠理をそこに横たえさせた。
『ちょっと待って・・・りゅう!こっ、心の準備が!』
「心の準備なんて今更必要?オレたちもう、何度も何度も何度もしてるだろ」
『だって、ここテーブルじゃないかぁ。いくらなんでもテーブルの上でエッチなんて・・・』
「何言ってんの?ここはオレたちがいつも愛し合ってるベッドじゃないか」
龍之介が指をぱちんと鳴らすと、硬いテーブルは一瞬で大きなベッドへと変わった。
『・・・ホントだ。なんであたい、ここがテーブルだなんて思ったんだろ?』
「んじゃ、改めて」
『や~ん、ちょっと待って~ここ明るすぎ~!』
「いーや、待たない。オレはご馳走は逃がさない主義だし」
龍之介は悠理の身体に重なると、そっとその胸に口付けた。
『りゅう・・・だめぇっ!あぁっ!』
悠理は夢の中でもやっぱりパンツを穿いてなくて、
同じくパンツを穿いてない龍之介にパンツを穿いてたらできないキモチイイことをされるのだった。
龍之介が洗濯物を全て干し終わって寝室へ入ると、悠理はベッドですやすやと眠っていた。
龍之介はそっと悠理を転がして仰向けにする。
Tシャツの裾が少しだけめくれ、綺麗な両脚が剥き出しになる。
「りゅうのすけ・・・ご馳走が逃げちゃうよぉ・・そっち行った・・捕まえろぉ・・・」
「・・・どんな夢を見てるんだ?」
龍之介は苦笑しながら着ていた部屋着を脱ぐと悠理の隣に身体を潜り込ませた。
Tシャツを胸の辺りまでたくし上げて軽くちゅっと胸の先に口付けた。
悠理はまだ目覚めないが、わずかに身体を捩り、
甘い口調で寝言を口走った。
「りゅう・・・だめぇ・・・」
「もしかして・・・夢の中でもオレになんかされてる?」
龍之介はそっと指先を悠理の脚の付け根へと走らせた。
その指先は何の抵抗もなく、その中へと滑り込む。
「あ・・・もう濡れてる。まったく、一人でどんな夢見てるんだか。
でも・・・これだけ濡れてりゃすぐ入るよなー」
龍之介の表情が悪戯を思いついた小悪魔のように変わった。
・・・・・・・・・・・・入れちゃえ。
龍之介は悠理の膝裏を抱えるとその脚をM字型に開脚させ、
その中へと自身をゆっくりと押し入れる。
悠理の目がゆっくり開き、しばらくぼんやりとしながら龍之介の顔を見つめる。
まるで甘い夢の続きをまだ見ているみたいに。
だがぼんやりとした夢のイメージでしかなかった感覚が、今は明らかにはっきりと身体の中で存在する。
そしてやっと自分と龍之介の今ある状況を把握した。
「えぇっ?あぁっ!うそぉっ・・・いつの間にっ!ばかぁっ!寝てる間に入れるなぁっ!!」
「だめ、もう全部入れちゃった」
全く悪びれない龍之介に、悠理はほぼなし崩しのように組み伏せられた。
・・・この男はぁ。可愛げのある顔でさらっとこーいうことするしー!
なんて思えるのもつかの間。
「むん・・んん・・んんんー」
息を付く間も与えないキスの嵐が悠理を襲う。
まるで魔法のように悠理のくちびるは解かれ龍之介の舌を受け入れる。
「やぁんもぅ・・りゅうのばかぁ・・・」
「ゆうり、今どんな夢見てた?」
「どんなって・・・」
悠理は頬を少し染めて顔を逸らす。
・・・やっぱり口じゃ言えないような夢だったのかな?
「オレは出てた?」
悠理は無言でコクンと頷いた。
「オレ、どんなことしてた?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・忘れた」
顔は逸らしたままだし、頬をさらに染めている。つくづく悠理は嘘が付けない質だ。
・・・全く可愛いヤツだな。
龍之介は少しだけ腰を引いてからぐぃっと奥に強く突き上げた。
悠理のソコがきゅっと締まり、身体が反る。
「ぁんっ!!!」
「・・・こういうことしてた?」
「ばかぁ・・・」
小振りだが上をツンと向いた形のいい2つの乳房を揉みながら再び聞く。
「こんなこともしてた?」
頬を更に上気させ、やっと悠理は観念したように白状した。
「し・・・てた」
「やれやれ・・・悠理の夢ん中でもオレはスケベな男みたいだな」
悠理の中を自身でかき混ぜながら、龍之介は悠理の身体に舌を這わせる。
「ぁっ・・ぁぁんっ!・・りゅうぅ・・・」
悠理の身体を起こし、もうほとんど引っ掛かってるだけのTシャツを脱がせると、
2人はぴったりと身体を寄せた。
「・・・洗濯、は?」
「終わったよ。後は乾くのを待つだけ。天気いいからすぐだろ。
だから、それまで一緒に昼寝でもしようと思ったんだけど、悠理が可愛いからつい。」
「・・・もぅ。こんないい天気の真っ昼間から・・・」
「こんないい天気の真っ昼間だからいいんじゃないか」
「・・・りゅうのエッチ」
「でも、そんなオレにいろいろされてる夢見てたんだろ?」
「・・・夢は夢だろぉ。ホントのりゅうの方が100万倍エッチじゃないかぁ・・・」
「なるほど。かも、な」
「でも、そーいうとこもだいすき・・・」
悠理は自分から身体を寄せて、龍之介に小鳥のように軽くキスをした。
触れた龍之介の頬からふわっと熱が伝わる。
・・・あたいにすっごくエッチなコトするのは全然平気なくせに、
あたいが大好きって言っただけでこんなに照れちゃうんだもんなぁ、可愛いすぎ♪
悠理がくちびるを離すとふと目が合い、2人はくすっと笑って今度は濃厚で激しいキスを交わす。
どちらのキスにもあまり意味はない。あるとすれば、重なるくちびるが2人のものであるということ。
「な・・・服が乾いたらさ、着替えて買い物行こ。晩飯の材料買わないと」
「今晩は何作ってくれるんだ?」
「う~ん、何がいいかな。何食いたい?」
「・・・ご馳走食べたい」
「ご馳走ねぇ。そりゃまた抽象的なリクエストだなぁ。鳥の丸焼きとか、そんなの?」
「そうそう!そういうの!やっぱり、りゅうわかってる~!
でも・・・今はりゅうが食べたいかな、こんな風に」
そう言って、悠理は龍之介の柔らかな耳朶を軽く食んだ。
「・・・こーら、オレを食うな。」
「キモチよくない?」
「いや、すっげぇキモチいい。」
悠理は食んでいた龍之介の耳朶を再び口に含み、ぴちゃぴちゃと舐めた。
龍之介は、くすぐったいよ、と自分の手の中の悠理の乳房を揉みながら、
その柔らかな半球の先の少しだけ硬くなった部分を親指で擦り上げた。
「ぁああんっ・・・」
「キモチいい?」
「・・・イイ。」
しっとりと汗ばんで艶を帯びている悠理の肌に、龍之介はちゅっとくちびるを落とした。
「ん~なんかフコウヘイ・・・」
「何が?」
「いっつも、あたいばっかりりゅうにキモチよくされてるカンジ。
あたいだって、りゅうのこともっといっぱいキモチよくしてあげたいのにー・・・」
「そんなことないよ。いつだって、ゆうりにはいっぱいキモチよくしてもらってる。
そりゃ、女のコのキモチよさとは違うけどさ」
「そーなの?」
「そーなの。」
「じゃ・・・りゅうがキモチいいのってどんなトキ?」
「ゆうりがオレにしがみついてキモチいいって言ってくれるトキ」
「・・・それって今ってコト?」
「そ、今ってコト。ゆうりがキモチいいとオレはすげぇキモチいい♪」
「バカぁ・・・ぁ・・ん」
ぐちゅ。2人のつながりが淫靡な音をたてた。
「こうなったら、晩飯のご馳走に合わせて、夕方までヤろっか」
「・・・うそ。夕方までって、何時間もあるじゃんか!」
「うん。ゆっくり、じっくり、だらだら時間掛けてヤるのも楽しいだろ?その方が腹空くし」
龍之介は膝上の悠理を見て、にやっと笑う。そう簡単に悠理を離すつもりはないらしい。
つまりはおそらく、晩ご飯の買い物の頃には2人とも猛烈に腹ぺこになっているのは間違いない。
・・・あぁ、あたい、またいっぱいおねだりしちゃうんだろな。
「・・・じゃ、あたい今晩は思い~っきり食べるからな。覚悟しとけよ!」
「おぅ、望むところだ」
龍之介は悠理の腰を掴むとその身体を揺らした。
悠理は小さく声を漏らして、龍之介にしがみつく。
もう2人にはあまり言葉は必要なくて、絡みあうような互いの動きや視線だけが思いを伝える。
洗濯日和の空の下、たなびく洗濯物に見守られ、2人はゆっくり熱く愛し合う。
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