海辺の2人、その後



「うわっ!ウソだろぉ!?天気予報、大外れじゃないかぁ!」
「まいったな、雨具はすっかり忘れてた」

季節はずれの海に遊びに来ていた悠理と龍之介は、
突然の雨に、寂れた海の家の軒下にヴェスパ共々雨宿りだ。

「あーぁ。これじゃ、やんだとしてもたき火は無理だね・・・」

季節はずれとはいえ、晴れた空を映して淡く明るい水色だった海は、
今ではもう雨雲の下、灰色の冷たい色へと変わってしまった。

「・・・さむぅ」

雨を避けるため、軒下まで被ってきた毛布にくるまっていた悠理だが、
寒さをしのぐには、毛布はすでに雨を吸いすぎてしまった。

「悠理、オレのコート着ろ。とりあえず、今よりかは暖かいだろ」

寒そうに自分の身体をさすってぴょんぴょん飛び跳ねている悠理を見て、
龍之介は、自分のコートを脱ぐと、悠理の着ていた上着の上から着せた。

「・・・いいのか?」
「ん。オレはそんなに寒くないから」

龍之介のコートは、悠理の身体をすっぽりと包んだ。
コートの大きさは、そのまま龍之介の大きさを感じさせる。

暖かいや・・・んで、ちょっと龍之介の匂いがする。

悠理はそのまま、龍之介の胸に身を預けた。
背中にやんわりと乗った手に、包み込まれるような安心を感じて、すごく嬉しくなった。
ふと、まだ雨の降り続く外を眺めると、郊外にありがちなちょっと変な建物が目に入った。

「・・・なぁ、龍之介、もしかしてさ、あの建物ってホテルじゃないか?」
「そりゃ、ホテルはホテルだけども・・・どう見たってアレ、あからさまにラブホじゃんか」
「ラブホだってなんだっていいじゃん!行こうよ!今よりずっといい!お風呂だってあるだろうし・・・ね?」
「・・・まぁ、雨風をしのげるに越したことはないか。ヴェスパも潮風に吹きっさらしのままじゃ可哀相だし」
「よし!じゃ、決まりだな!」

そこで2人は再び毛布で雨を避けながらヴェスパを押して、
ひなびたラブホテルへと雨宿りの場所を移した。





ホテルの部屋は意外に小綺麗で、でも確かにそこでの目的はソレであるとばかりの大きなベッド。
悠理はさっそく靴下を脱いで裸足になると、バスルームに行き、風呂に湯を張り始めた。

「なー、お湯張る間に、シャワーで身体暖めちゃおうよ。ほら、脱いで。服、濡れてるだろ?」

悠理は龍之介のコートのおかげであまり濡れてはいないが龍之介はかなりずぶ濡れだ。

「うん」
「服、乾かさないとなー♪」

悠理はヒーターが付いているのを確認し、濡れた上着やコートを干し始めた。

「何か、悠理楽しそうだな」
「だって、こういうトコ来んの初めてだしさ!龍之介もだろ?・・・違うのか?」

・・・まさか、他の誰かと来たことがあるんじゃないだろうな?
そんな視線に、龍之介は狼狽える必要もないのに狼狽えつつも否定した。

「違わない!違わないって!」
「なら、龍之介も楽しいだろ?」
「・・・まぁ、な」

正直なところ、はしゃぐ悠理を見ていたら、結構楽しくなってきた龍之介であった。

「ほら~、さっさと脱ぐぅ!」

龍之介は悠理に急かされながら服を脱ぎはじめた。
服を脱いだ龍之介の背中に悠理がそっと指先を触れた。
雨のせいですっかり冷え切っていたその背中の温度に、
悠理は、怒ったように言った。

「寒くないだなんて・・・こんなに冷たいじゃないか!
・・・あたいにコート貸すからだぞ!?」
「大丈夫だよ。ホントに平気だって。
それに、悠理に寒い思いをさせる方が、オレには辛いから」
「りゅう・・・」

悠理はそれ以上何も言えなくて、ただ、龍之介の冷えた背中に抱きついた。
早く、その冷えた体温をすべて吸い取ってしまいたかった。

「・・・バカ。これ以上惚れさせてどーする気だ」
「そんなつもりじゃなかったけど、嬉しいな」

龍之介は自分の背中を抱き締める悠理の手をそっと握った。
その手は、その背中よりはずっと暖かくて、悠理はちょっと安心した。
そして、そっとまだ冷たさを残す龍之介の背中に口づけをした。

「・・・早くお風呂、一緒に入ろ。龍之介のことあっためてやる」

裸になった2人の冷えた身体には熱いシャワーが心底沁みる。

「あったかーい・・・」

悠理はぴとっと龍之介の胸に身を寄せた。
2人は温かな雨を浴びながら、ただじっと、徐々に温まっていく互いの肌のぬくもりだけを感じていた。





ふと、龍之介を見上げた悠理がそっと目を閉じた。
その言葉のない悠理のキスのおねだりに、龍之介は嬉しそうにそっとくちびるを重ねた。
熱いシャワーに打たれながら交わすキスに、悠理はすっかり心を奪われた。

「・・・お風呂、お湯たまってきたね」
「風呂の方が暖まりそうだな」
「うん・・・」

その風呂は、2人では身体を触れあわさずには入ることのできないような、小さなものだったが、
ジェット風呂機能やら何やらいろいろな機能がついているようで、
悠理はいろいろいじってうちに泡風呂にしてしまった。

「うっわ、どーしよ!あわあわのお風呂になっちゃったぞ!」
「こーら、悠理、ちゃんと肩まで浸からないと風邪ひくじゃねぇか」

はしゃいでいた悠理も、龍之介に後ろから背中を抱かれると、大人しく湯船に身体を沈めた。

「ちょっと狭いよな、この風呂・・・」
「あたいは全然へーキだよ?なんか龍之介に抱っこされてるみたいだし・・・」
「いや、オレもこうしてるのはいいんだけど、こんな風にしてると・・・ちょっとアレだ」
「アレってなに?」

悠理が背後の龍之介の顔を見上げると、その顔はちょっと困ったように視線をずらした。

「・・・なんでもない」
「うそばっかりゆーなぁ。なんでもなくないくせに・・・」

悠理がわずかに腰を動かすと、思ったとおり龍之介の硬くなった身体の芯が、
お尻のあたりに触れた。

「りゅう、あたいにエッチなコトしたいのか?」
「・・・したがってる、な。これは」
「・・・んじゃ・・しても・・・・・いいぞ?」
「ん・・・」

龍之介は泡で見えない湯船の中を探り、悠理の胸をまさぐった。
暖かな湯船の中の、その柔らかな感触は龍之介の欲情をさらに掻き立てる。
そして、まだ柔らかなその先端を見つけて指で転がした。

「あ・・
・・・」
「・・・気持ちいい?」
「うん・・・すっごく・・・いい。」

悠理の甘い吐息に気を良くし、龍之介はその手をさらに下のほうへと進めた。
指先が、その入り口に触れると、悠理の身体がわずかに跳ね、
その動きに乗って指先は、その奥へと沈んだ。
そこは、さらりとしたお湯の感触とは違い、ぬめりを帯びて龍之介の指に絡みつく。
悠理は自分に触れる龍之介の腕にすがりつくようにして、微かにその肩を震わせた。

そして求めるように龍之介に顔を向けると、すぐさまそのくちびるは奪われた。

「ん・・・ん
・・・う・・・」

悠理の濡れた手が、龍之介の頬を撫でる。
重ねたくちびるをわずかに離して、ささやくように悠理は言った。

「りゅう・・・そっち、向いていい?」
「あぁ・・・」

悠理は龍之介の腕の中で身体の向きを変え、龍之介のほうを向くと、
その肩に両腕を回し抱きついて、龍之介の顔を見上げ、くいっと口角を上げた。

「・・・ふふ。龍之介、頬っぺたに泡ついてる」
「さっき悠理が付けたんだろ?それに、悠理の顔にもついてる」
「うっそだー!ついてないぞー?」

しかし、言うが早いか、龍之介の手が泡をすくい、悠理の鼻にちょんと泡を乗せた。

「あぁーっ!龍之介、ひっどぉーい!」

悠理が慌てて鼻の頭の泡をこすると、龍之介はぷっと吹きだし、そして零れるような笑顔で笑った。
そんな、無邪気な子供のような笑顔に、悠理もつられて笑った。





悠理は自分がつけた龍之介の頬の泡を落とすと、
両手でその顔を挟むように触れると、自ら再び、くちびるを重ね合わせた。

「・・・りゅう、大好きだ」
「オレもだよ・・・悠理。愛してる」

悠理の腰に添えられていた龍之介の手が、しっかりとその身体を抱きしめた。

「ところでさぁ・・・りゅう、ここ大丈夫?」

悠理は、硬くなったままの龍之介のそこに手を触れた。
悠理に触れられ、龍之介はぴくりと反応し、さらにそこを緊張させている。

「・・・けっこう、ヤバい」
「・・・じゃ、来て」
「ん・・・」

悠理は少しだけ腰を浮かすと、張り詰めた龍之介のそれをゆっくりと自分の中へ導いた。
風呂の温度よりも、熱く思える互いの身体のその部分を、じわり、と感じる。
身体を一つに合わせ、見つめ合った2人は、またもや甘いキスを交わした。
すると、悠理が頬を染め、少しだけ困った顔をした。

「どした?悠理」
「・・・あのさ・・エッチの途中でこんなこと言うの・・・アレなんだけど」
「何?」
「・・・なんか、あたい・・・のぼせそう」
「なっ、なぁにぃ~!?」

悠理は龍之介にそれだけ伝えると、まるで目を回したようにクラッと龍之介の胸に倒れこんだ。

「ちょっ!?マジかよっ!そういうことは早く言えって~!」

龍之介はまとわりつく泡もそのままに、悠理を抱き上げると風呂を飛び出した。





悠理が再び意識を取り戻したのは、ベッドの上だった。
裸の上にバスローブを掛けられ、おでこには冷たい濡れタオルが乗っていた。
それをよけると、心配そうに悠理の顔を覗きこむ龍之介の顔が見えた。

「気がついたか?」

龍之介の声と一緒に、冷えたボルヴィックのペットボトルを頬に付けられた。

「ひゃっ!?冷たっ!!!」

悠理は驚いて飛び起きると共に、身体からずり落ちそうになったバスローブを慌てて押さえた。

「まったく・・・急にのぼせるって言って気ぃ失うから。心配しただろ?」
「・・・ごめーん」

悠理の済まなそうな顔に堪らなくなったのか、
龍之介は自分がペットボトルをつけてちょっと冷たくなった悠理の頬に、軽くちゅっと口付けた。
龍之介としても悠理の様子に安心したらしい。

「とりあえず、それ一本空けること。脱水症状になんないように。だけど、ゆっくり飲めよ?」
「ん、わかったー」
「しかし、雨もうやんだかなぁ?降ってるような音は聞こえねぇけど」

龍之介は、ベッドサイドから離れてフィルターの貼られた窓のハンドルを押し上げた。
悠理は受け取ったペットボトルのキャップを開けて、冷たいミネラルウォーターを口に含み、
ちょっとドキドキしながらその目は、なんとなく龍之介を追っていた。

「雨・・・まだ降ってる?」
「んー、まだ降ってんな。でも、さっきよりかは小降りかな。霧雨っぽいというか」
「・・・ねぇ。」
「ん?」

着ていたバスローブを後ろから引かれ、
振り返る前に、龍之介は裸の悠理に背中から抱きしめられた。

「・・・悠理?」
「お風呂の続き・・・しないのか?」
「風呂でのぼせた女とはしねぇ」
「む~。もう平気だもん!」
「それより、水、ちゃんと飲んでるか?」
「こんなにいっぺんに飲めないよぉ」
「だから、ゆっくり飲めって」
「じゃぁ・・・りゅうが飲ませろ。」
「しょーがねぇ~なぁー・・・」

龍之介は悠理が手にしていたペットボトルを取り上げると、一口を自分で飲んで二口めを口に含み、
悠理の身体を自分の胸に引き寄せくちびるを重ねた。

「んっ・・・ん
っ・・・」

龍之介から悠理へと口移しにされた水は、わずかに零れ、悠理のくちびるを伝い、その裸を濡らした。
その様子は、龍之介の欲情に再び火を点けるのに十分だった。

「・・・今日、ここ泊まってくか?」
「うんっ!」

季節外れの海に降る雨は一晩中、睦み合う恋人たちの声を聴いていた。




楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] ECナビでポインと Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円~!


無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 解約手数料0円【あしたでんき】 海外旅行保険が無料! 海外ホテル