『恋愛をボクらはまだしらない』
『興味』 『嫉妬』 『独占欲』 etc・・・ どれが 恋愛感情というものに つながるのだろう 全部違うの? それとも・・・ |
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真っ白な湯気が充満する風呂場には、涼やかな水音がよく響く。 雨の中を走って帰宅すると、玄関前で二人は鉢合わせしてしまった。 当然、母の怒声と共に風呂場に直行を言い渡され、現在に到る。 烈は泡立てた石鹸で体を洗いながら、先に湯船に浸っている弟の存在がやけに気になってしかたなかった。 それは、最近一緒に入浴する機会が無かったからかもしれないし、弟の視線が自分に注がれたままだからかもしれない。 少しぎこちない手つきで体を洗う烈を、豪はただ見つめていた。 * 豪は、自分が見ている事に兄が気づいているのを知っていた。 それでも、視線は逸らさない。こうして兄の素裸を見られるのは久しぶりなのだ。 この頃は一緒に入ろうとしても断わられるし、乱入しようとしても、そのタイミングを把握しているのか、パジャマに着替え終わったところだったりする。 ──────そう、本当は知ってるのだ。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 『自分が何を望んでいるのか』 ──────知っていて、この兄は知らないふりをしている。 烈の肢体から目を離さずに、豪は笑んだ。 それならそれで、やり方を変える。兄が思っているほど、弟は子供ではない。 その瞳に、獲物を捕らえる狩人のような、冷酷な光が宿った。 * |
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