「お父さんに見つからないうちに、早く逃げるんだ!魔物の世界に」
「でも、そんなことをしたら、お兄ちゃんが怒られるんだよ!」

少年の母親は、魔物―悪夢を引き起こす鵺―に襲われ、子種を孕まされました。
文字通り、その日から悪夢が現実となりました。
少年の初めての弟は、魔物の子供でもあったのです。
人間の姿をしていましたが、鵺と同じように、黒い蛇の尾と鴉の翼と、獣の耳が生えていました。
父親も母親も、すぐに殺そうとしました。
しかし、少年はかばい、かくまいました。
少年にとっては、初めての弟だったのです。
兄としての不確かな使命のようなものがあったのです。
少年の弟は成長の速度も速く、すぐに走れるようになりました。
だから少年は、深夜にこっそり、弟を逃がすことにしました。
両親が、魔物退治屋達を雇おうとしていたからです。
少年は、もう二度と逢うことはないであろう弟の、小さな翼の生えた背を見送りました。
人間と魔物の世界の明確な境界にも背を向けて。

しかし、大きくなるにつれ、少年は気付き始めました。
鵺でなくても、人間も同じように、「優しさ」や「憎しみ」、「欲望」など、たくさんの様々な怪物が混じりあってできているのだと。
ただ、それは、蛇の尾や、鴉の羽のように目には見えないだけなのだと。
それでも少年は、必死に自分の中の魔物と戦い続けました。
毎日、戦い続け、抗い続け、、、
―やがて、少年は気づきました。
自分の中のそれらの魔物達が、一つになり、とてつもなく恐ろしい一匹の魔物になってしまったことを。

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