初めてのバレンタインデー










「ハァーッ」



白い息が空へ昇っていく。




今日はバレンタイン。
リョーマ君と出会ってはじめての。
生まれて初めてチョコレートを作ってみた。
お母さんはおいしいっていってくれたけど、リョーマ君の口にあうかなぁ・・・。










「どうしよう・・・。」









二月に入ったというのに、今日の空は薄暗く、今にも雪がこぼれて落ちてきそうだ。














桜乃は今、リョーマの家の前にいる。
学校では渡す機会がなかったので、仕方なく。
しかし、インターホンを押す勇気を奮い立たすことができずに、
寒空の下、もうかれこれ十五分は突っ立ったままだ。








突然家に押しかけたりして、リョーマ君、怒るかなぁ・・・。


チョコ・・・もらってくれなかったりして・・・。










根拠のない記憶が次から次へと脳裏を駆け巡る。












「郵便受けに・・・入れておこうかな・・・。」










結局、本人に手渡しする勇気のない自分を情けなく思いながら、彼女は郵便受けを探した。









その時







ジャリッ・・・ジャリッ・・・


家の中から足音が聞こえてきた。










そして









ギィィッ









門が開いた。












「・・・誰?」



「リ、リョーマ君!」


桜乃は勢いよくチョコを突き出した。











「・・・入りなよ。」


「え?」


「寒いだろ、外。震えてるじゃん。」


「あ・・・。ありがとう・・・。」







どうしよう・・・リョーマ君の家に入れるなんて・・・。




言われるまま、桜乃は彼の家の中へ入っていった。















「此処にはいって待ってて。」


「あ、うん。」


桜乃は部屋に通された。







「リョーマくん・・・部屋綺麗にしてるんだ・・・。」




部屋はこざっぱりとしていて、落ち着いた雰囲気だった。












カチャ






リョーマは熱い紅茶を入れてもどって来た。







「はい。」


「あ、ありがとう。」








温かい紅茶で、体が温まっていく。









「あのさ、さっきの・・・ソレ、食べていい?」






「えっ・・・あ・・・どうぞ・・・。」




ガサガサと包みは開けられ、チョコが顔を出した。





「うまそうじゃん。」



リョーマがそれを口に入れようとした瞬間、








『ホアラッ!』









「カルピンッ!!」


カルピンがリョーマに突撃、チョコは床にまっさかさまだ。





「あ・・・」



二人の声が重なった。














「あ・・・落ちちゃったね・・・もう捨てた方がいい・・・よ。」






泣きそうの震える声がひびく。






「・・・大丈夫だよ、これくらい。」



ぱくりとチョコを口に含んだリョーマの顔に
今まで見たことのない、[笑顔]が。







「サンキュ、竜崎。」



「・・・ううん・・。ありがと・・・リョーマくん・・・。」



















雪が降り出した。

灰色の空の下、

二人のいる部屋だけが暖かく輝いている。








<おしまい>


































































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