ヒカルたん開発〜完熟桃篇〜
(1)
アキラの手によって温められたローションがヒカルの尻に垂らされる。
生ぬるいそれが尻を伝う感触に、ヒカルはびくりと体をはねさせた。
アキラの匂いがする部屋で、アキラの匂いがする布団の上で、アキラの匂いがする枕に顔を埋めながら、アキラによって尻を撫でられる。
腰を高くあげた体勢のため、アキラにはヒカルの秘部が丸見えだ。
人差し指で入口をくすぐるように撫でると、ローションがくちゅくちゅと音を発する。
指を少しだけいれただけでも痛みが走り、ヒカルは小さく悲鳴をあげた。
それでもアキラはローションを塗り込むように指の指貫を繰り返す。
ハ、ハと浅い息を繰り返し、仔犬のような鳴き声をあげると、まるでアキラの犬になったような気分になる。
人差し指程度ならなんとか入るようになった頃、不意にアキラは自分の勃ちあがったそれを取り出した。
アキラのそれはヒカルの一回り以上の大きさがあり、ヒカルはいつも触り合いっこをしたとき劣等感を抱いていた。
アキラはこれを自分のなかにいれようとしているのかと思うと、ヒカルはぶるりと震える。
「大丈夫だよ、進藤。まだ挿れないから」
アキラはヒカルのなかから指を抜くと、アキラの熱の持ったそれを、ヒカルの尻の形に添うように動かし始める。
ローションとアキラの先走りが混ざり合い、ぐちゅぐちゅと音を立てる。
暫くヒカルの秘部の上を擦り、尻タブで扱いていたアキラだったが、熱が離れたと思いきや、ヒカルの股へと完勃したそれを突っ込んだ。
ヒカルの白くてすべすべとしたそこは気持ちがいい。
夢中で腰を振り、ヒカルの胸の突起に指を這わす。
爪を立てられた瞬間、ヒカルは耐え切れずに精を下に敷かれていたタオルの上に吐き出した。
「ん、ッ進藤、だすよ」
切羽詰まった声とうめき声と共に、アキラはヒカルの腹に下から叩きつけるように熱を吐き出した。
「うう……」
崩れ落ちるヒカルを仰向けにさせ、精液を拭っていく。
それを終えると足を肩にかけ、再び指を挿入する。
一度欲を解放したこともあり、脱力したそこは先程よりアキラの指を受け入れる。
二本目を挿れるときゅっと締め付ける。
「ん、ん」と声を洩らすヒカルに、アキラは首を伸ばしヒカルに口付けた。
「ん、ふぁ」
「進藤、痛い?」
「くるし、けど、痛くはないよ」
ふにゃと笑うヒカルに、アキラは愛しさが湧き上がる。
ちゅ、ちゅと何度も啄ばみ、指をくるりと回す。
ヒクッと揺れたヒカルの体に、もう一度同じところに触れると、「あうっ」と喘ぎ声が出る。
「進藤、ここ、気持ちいい?」
「ん、きもちい…」
ヒカルが感じるところばかりを刺激していると、ヒカルのそれがぐぐと勃ちあがるのがわかる。
今日はこれ以上指を挿れることは困難だろうと考えたアキラは、ヒカルの前と後ろを同時に刺激することにより、二度目の熱を吐き出させた。
「はー…はー…」
「進藤、今日から家にいるときだけとかでもいいから、これつけて」
ぼんやりとしているヒカルに差し出したのはこぶりのアナルプラグだ。
アキラの指と同じ長さくらいあるそれは、ローションを用いればなんとか入りそうだ。
「乳首のときも慣れたら気持ち良くなっただろう?こっちはそれよりもっと良くなるから、ちゃんとしてきてね」
家にいるときだけでいいならなんとかなるだろうか、と首を縦に振ると、アキラはよしよしと頭を撫でる。
アキラはヒカルを風呂にいれ、綺麗にするとタオルで優しく拭い、アキラの布団に寝かせる。
親がまるで子供が寝付くのを待つようにぽんぽんと一定のリズムで撫でる。
うとうととするヒカルの眉間にキスをすると、寄り添うように隣に横になった。
(2)
「う…、ん、ん…」
ベッドでうつ伏せになりながら、ローションをたっぷり垂らしたアナルプラグを挿入する。
アキラになら指を二本いれられても平気だったというのに、今では自分の指をいれるだけでも困難だ。
一度伏せた上半身を起こし、ローション塗れになった手をタオルで拭く。
携帯を開くと、以前こっそり撮ったアキラの寝顔写真を表示させる。
(うう…かっこいい)
普段はきりりとしている顔が、寝顔はとても穏やかになる。
そして、ヒカルへと向けられる目はとても優しい。
ヒカルだけが特別なのだと物語る目に見つめられると、ヒカルは彼の言いなりになってしまうのだ。
もう一度試してみようとヌルヌルとするそれを秘部にあてがう。
枕元に携帯を開いたまま置き、ぐりゅぐりゅと回しながらいれていく。
なんとか根元まで挿入することができ、ヒカルはふぅと息を吐いた。
ローション塗れになった尻を拭き、衣類を身につける。
ベッドに座るとプラグが圧迫され、ヒカルは慌てて正座をした。
「…これ、飯食うときとかどうしよう。椅子の上で正座するわけにもいかねえし…」
弾力のあるベッドに座っただけでも悲鳴がでそうになるのに、硬い椅子の上に座ったらそれだけではすまないような気がする。
「慣れたらなんとかなるのかな」
そっとベッドに腰掛けると、押される感覚に息が荒くなる。
平常心平常心と落ち着かせていると、段々楽になってきた感じがする。
ヒカルのなかに入っているそれは指二本分ほどの太さで、これをいれるだけでも一苦労だというのに、アキラはそのうち指とは比べものにならない太さのそれをいれるつもりらしい。
確かにアキラに刺激されたところは前を弄るのとは比べものにならないほどの快感だった。
頭が真っ白になり、声を抑えるのも困難だった。
アキラのそれで刺激されたらいったいどれほどの快楽があるのか、それを考えただけでヒカルのそれはぐぐと持ち上がる。
ごくんと唾を飲み、身体を横たえるとプラグに手を掛ける。
ゆっくりと引き抜くと息苦しさがあったが、痛みは感じない。
ギリギリまで引き抜くと、以前感じたところへ向かってそれを突き刺す。
枕に顔を埋めていなければ、叫んでいたかもしれない。
階下には母親が夕食の準備をしているのだ、何があったのかとすぐに見に来るだろう。
ヒカルはびくびくと跳ねる身体を抱きしめ、一度突いただけでしびれるほどの快感をぐっと押しとどめる。
「は、はぅ…ん、ん……」
快感が全身をめぐり、落ち着いたところでもう一度それを動かす。
今度は小刻みにゆっくりと動かすと、甘い声が出る。
枕に噛みつき、声を耐えさせながら頭のなかが真っ白になるほどの快感にヒカルは思わず前へと手を伸ばす。
アキラにされたときのように痛いくらいに扱くと、全身を震わせながら絶頂を迎える。
暫く射精の快感に横たわっていたが、母の夕飯を呼ぶ声にガバッと起き上がる。
精液塗れになったタオルを袋にいれ縛り、窓を全開に開け放つ。
「ヒカルー?」
「い、今降りるから!」
乱れた服を整え、階段を降りる。
プラグのことをすっかり忘れ椅子に座り、カエルが潰れたような声を出すのだった。
(3)
アナルプラグに慣れてきた頃、アキラにそれをつけたまま来るようにとアキラの家に呼ばれた。
外につけてくるのは初めてのことで、誰もみてはいないだろうに、来るまでにやけに人目が気になった。
無意識に尻を隠すように手を当てつつ、アキラの家へと辿り着いた。
何回も訪れた家だが、入る時には緊張してしまう。
今は殆ど家にいることはないが、ここは塔矢行洋の所有地なのだ。
鈴を鳴らすと、アキラはすぐに出迎えてくれた。
綺麗な顔で微笑まれると、ヒカルは先ほどとは違った意味でドキドキしてしまう。
頬が紅潮したことに気付いたのか、アキラはヒカルの柔らかな頬を撫でると、中に入るよう促した。
「お、おじゃまします…」
「今日もボクしかいないから、そんなに緊張しなくていいよ」
お前しかいないから緊張してるんだよ、とは言えず、ヒカルは首を縦に振り、アキラの後に続く。
連れて来られたアキラの部屋には、すでに布団が敷かれていた。
予想できていたこととはいえ、恥ずかしさはある。
入口で立ち止まるヒカルに、アキラはポンポンと布団を叩く。ここに来いということだろう。
ヒカルはおずおずと布団に座ると、そのまま押し倒される。
仰向けに転がったヒカルの抵抗を無くすように、上から口付ける。
舌が入り込む深いキスに、ヒカルは息を荒くしながらもアキラの肩に腕を回す。
「進藤、挿れてきたんだろ?見せて…」
甘い声で耳元に囁かれ、ヒカルは顔を赤くしながらこくんと頷く。
アキラに背を向けた状態で座り、ベルトを外すと四つん這いになる。
釦を外し、下着ごと下ろすと、プラグが挿入されたヒカルのそこがアキラに丸見えになる。
「ああ、ちゃんと飲み込んでるね…ボクの言いつけ通りにしてんだ、偉いよ進藤」
「んん…っ」
ぐりゅ、と抜かれたと思えば根元まで突かれる。
自分でやるときに比べ容赦ない動きに、ヒカルは高い声をあげる。
「感じやすくなってる。自分でもやってたのかな」
「ぁ、あ、んぅ、んん、あっ」
「進藤はオナニーでお尻を弄っちゃうんだ。ボクのことを考えてした?」
返事がなくとも、アキラが質問した瞬間に図星をつかれたのか体が跳ねた。
アキラはニヤと笑うと、ヒカルのそこからプラグを引き抜く。
ヒカルを置いて押し入れを漁り出したアキラに、ヒカルは縋るように目線を送る。
アキラがヒカルの元へと戻ってくると、その手には小さめのダンボールが乗っていた。
「もう少し後に使おうと思ってたんだけど、キミがあまりにもエッチだから、もう使えるんじゃないかな」
「…?」
一度開いた形跡のあるガムテープを剥がすと、中から猫耳と尻尾が出てきた。
新しいプレイを試すつもりだろうか、と眺めていると、服を脱ぐように言われ、何も纏わぬ姿になる。
再び四つん這いの体勢になると、アキラは楽しそうにヒカルの頭に猫耳をつけた。
尻尾には先にピンク色の何かがついており、アキラはそれと一緒に同じピンク色のリモコンのようなものを取り出した。
「これは先がバイブになってるんだ」
「バイブって携帯とかについてるやつ?」
「そう。これをキミの中にいれるんだよ」
アキラが試しにスイッチをいれると、猫の尻尾の先についたそれがヴヴヴヴと振動する。
これが入るのかと思えば、体の奥がじわじわと熱くなる。
振動を止めると、アキラはそれにローションを垂らし、ヒカルの秘部に捩るようにして挿入した。
プラグと同じくらいの大きさのそれは、ヒカルの中へと抵抗もなく入っていった。
スイッチをいれると、中で振動が始まる。
だが、感じるところにいまいち当たらないそれに、ヒカルは焦れるように腰をもぞもぞと動かす。
「進藤、自分で感じるところに動かしていいよ」
「ん、んん」
アキラの言葉に、ヒカルはそっと尻尾に手を伸ばす。
ぐり、と動かすと、ヒカルはアンと女のような高い声で鳴く。
感じるところにバイブが当たり、ヒカルは快感に布団に顔を押し付けることで耐える。
突然小さな喉仏を圧迫され、ヒカルが驚きに顔をあげると、ちりんと鈴の音がした。
(4)
「ん、ン。な、に…?」
「首輪だよ。飼い猫にはちゃんと首輪をつけないと、ボクから逃げないように」
ヒカルの頬を撫で、肩から伝うように手の甲に触れる。
掌を開けると、そこにバイブのリモコンを握らせた。ヒカルは小さく首を傾げる。
「このバイブは振動の大きさを調整できるんだ。キミの好きにしていいよ」
「え?」
「その代わり、これからキミの鳴き声はにゃーだ」
「え、にゃあ?」
ヒカルがにゃあと言うと、アキラは微笑み、ヒカルの体を横に倒す。
四つん這いのときより中のそれを締め付け、ヒカルは思わず「ああっ」と声を漏らす。
アキラはその声を聞くと、ヒカルの手をリモコンごと握り込み、振動を弱から強へと合わせた。
「ヒッ…あああああッ!」
「違うよ、進藤。にゃー、だろ?」
「ひっ、ぅう、にゃ、ぁ、あ、にゃあッ」
ヒカルがにゃあにゃあと必死に鳴くと、弱に戻す。
びくびくと跳ねるヒカルに、アキラは寄り添うように横たわり、頬を愛しげに撫でると、甘えるようにアキラの胸に顔を埋めた。
「気持ちいい?」
「んっ、にゃあ」
目をとろんとさせ、こくこくと首を縦に振るヒカルに、アキラは口元をにやけさせ、ぎゅうと抱きしめる。
「進藤、もっと鳴いて?」
「にゃあ、にゃあん」
鳴きながらヒカルは振動を少し強める。
甘さの増す声に、アキラは興奮して勃ちあがったそれを取り出す。
ヒカルは期待した目でアキラを見上げたが、アキラはヒカルに触れることなく扱きあげる。
え、え、と動揺するヒカルに、ちゅっとキスをする。
触れ合うだけのキスにヒカルは物足りなさを感じ舌を伸ばすが、アキラはすぐに顔を離した。
「進藤、強さが足りないんじゃないか?」
「ぁっ、」
リモコンに手を伸ばすアキラにヒカルは咄嗟に手を覆うように隠す。
また先程のような快感を与えられたら理性を保てなくなる。
「進藤」
まるで子供を叱りつけるような声を出すアキラに、ヒカルは肩を震わせる。
「進藤」
今度はさっきと打って変わって優しい声で呼ぶ。
ちょうだい?と耳元で囁かれ、ヒカルはすぐに陥落した。
リモコンがアキラの手に渡ると、額にキスをするのと同時に一気に強にされ、ヒカルは呼吸するのが困難なほどの声をあげる。
あんあん鳴いていたヒカルだが、アキラににゃーは?と囁かれ、にゃあにゃあ鳴き始める。
「にゃあっ、ん、にゃ、にゃぁ、にゃんんっ」
ヒカルの痴態を見つめながら、アキラは自分のそれを扱き始める。
オカズにされているのだと気づき、ヒカルは目の前にあるアキラの平らな胸の突起をぺろりと舐める。
ヒカルのと比べて小さな粒をちゅっと吸えば、アキラは仕返しとリモコンから手を離し、ヒカルの突起をくりくりと捻る。
ヒカルはにゃぁんと鳴き、勃ちあがったそれをアキラのそれに摺り寄せるように腰を動かす。
「いきたい?」
「にゃ、にゃ!」
二人のそれを包み込むアキラの手に被せるようにヒカルも手を添える。
混じり合う精液にぐちゅぐちゅと音が出る。
アキラの呻き声とヒカルのにゃあという鳴き声、そして首輪の鈴の音が部屋に響く。
ぎゅうと握り締めると二人でほぼ同時に熱を吐き出した。
息を整えるアキラに、ヒカルは振動するバイブに休む暇もなく喘ぐ。
スイッチを切ると、ヒカルはやっと落ち着いたように息を吐いた。
「ね、進藤。写真撮っていい?」
「にゃ…?」
ごろんと仰向けになるヒカルに、アキラは耐え切れずキスをすると、ヒカルの返事を待つ前にカメラを構え、数枚撮影した。
素面のヒカルだと怒るかもしれないが、今のヒカルは快感の余韻に思考がうまく働いていないようだ。
アキラはヒカルから猫耳と尻尾を外し、首輪だけになったヒカルを最後に一枚撮る。
「ああ、最高にかわいいよ…」
頭を撫でるとすりすりと寄ってくるヒカルに、アキラは飛びつくように抱きしめる。
アキラの腕の中でぐったりとするヒカルに、次はもう一回り大きめのプラグを使わせてみようと考えた。
(5)
お腹の中がぐるぐると鳴る。
洋式トイレに跨りながら、我慢しなければと歯を食いしばり、尻をぎゅっと締める。
トイレの扉の向こうではアキラが待っているのだ。
「ぅ、ぐう…」
気を抜けば腹の痛みとともに全て出て行くだろうが、まだアキラの許可が降りていない。
ヒカルは息を絶え絶えにさせ、目を閉じ痛みに耐えた。
「進藤、どんな感じ?」
「も、だめ…出したい…」
「ボクも見ていい?」
「絶対ダメ!」
叫んだ瞬間、集中が途絶えたのか汚物と液体が混じったそれが排出される。
ヒカルは慌ててキュッとそこを閉じた。
毎日アナルプラグとバイブによって慣らされたそこは、今日はアキラのそれを受け入れることとなった。
以前も訪れたラブホテルに着くと、行為の前に洗腸をしなければならないとポンプのようなものと薬を渡された。
やってあげようかというアキラの申し出を断り、浴室兼トイレに立てこもっている状況だ。
アキラにこんなところを見られたら恥ずかしくて死んでしまいそうだ。
「進藤、もう出していいよ」
「ん、んんん」
腹の中の痛みを全て吐き出すと、もう一度するように言われ、シャワーから生温い湯を出す。
下半身から出るものが透明な水になった頃、ヒカルは身体をシャワーでさっと洗うと、タオルに包まり疲労にぐったりとさせながら扉を開けた。
「お腹の中、綺麗になった?」
「う、うん」
丸出しの下半身をアキラにそっと撫でられる。
尻を揉まれ、ヒカルはキッとアキラを睨みつけた。
「お前、まだシャワー浴びてないだろ」
「ああ、そうだった。疲れたからって待っている間に寝るなよ」
「寝るかよ」
アキラが浴室に入って行ったのを見届けると、ヒカルはタオルをぽいと床に放り、ベッドへダイブした。
ふかふかのベッドに確かに眠ってしまいそうだったが、そんなことをすれば寝ている間に襲われるに決まっている。
うつ伏せに寝転がっていると、扉の開く音と、ひたひたという足音が聞こえる。
顔をそちらと反対側に向けていると、ヒカルの上にのしかかるようにアキラが乗ってきた。
重い、と眉間に皺を寄せながら見上げれば、ニコニコとしているアキラと目が合う。
「やっと、やっとだ。もう怖くはないだろう?」
「ここまでオレの身体を開発しておいて、よく言うぜ」
「ボクとしてはもっといろんなところを性感帯にしてあげたいんだけど。こことか」
耳の後ろにふっと息を吹きかけられ、ヒカルは「ひゃっ」と身体を跳ねさせる。
アキラはくすくすと笑いながら、そこを指で擽る。
「ああ、ごめん。元から性感帯だったのか」
「ん、こら、あんまりさわんなっ」
耳の中に舌をいれると、甘い声で啼いたが、やめろとアキラの下で暴れ始める。
ここでやっぱりやめると言われても困るので、アキラはおとなしく顔を引いた。
ヒカルは涙目でアキラを睨むが、すぐにぷいと顔を逸らす。
今度は曝け出された項にキスをし、ヒカルの剥き出しの尻を壊れものを扱うかのように優しく撫でる。
項をちゅっと吸うと、紅い痕がつく。ヒカルにキスマークをつけたのはこれが初めてだった。
自分の物だとアピールしているようで、優越感にぞくぞくと震える。
(6)
「塔矢…」
恥ずかしげに見上げる目に、アキラは瞼にキスをし、ベッド横のテーブルに置いておいたローションを手に馴染ませ、尻へと塗り込む。
ヒカルを四つん這いの体勢にさせ、ローションでべたべたになった指を挿入した。
中はアキラの指を飲み込むと、きゅうきゅう締め付けた。
ヒカルの感じるところとは微妙にズラし、指を増やしていく。
もどかしいのか腰を揺らすが、アキラは気づかないフリをした。
指を引き抜くと、ゴムを取り出し自身のそれに被せる。
薄いゴムに覆われたそれはそそり立ち、ヒカルのひくつくそこに押し当てると、先端を飲み込む。
アキラはずっとこの日を夢見てきた。
ヒカルのことを考えて初めて自慰をしたのはいつのことだったか。
そのときはヒカルとこんな関係になれるだなんて思いもしなかった。
「進藤、挿れるよ…?」
「ん、塔矢…」
ゆっくりと挿入していくと、ヒカルは息をぐっと詰めた。
ここで止めても互いに辛いだけだろうと、ぐっと奥へと押し込む。
「ぁ、あああ」
「ぅっ、」
どうにか根元まで挿入することができたが、ヒカルは苦しげに浅い息を繰り返している。
今すぐにでも突き上げたいのを我慢して、落ち着かせるようにヒカルの背中を撫でた。
背中に幾つものキスマークをつけると、背中に吸い上げるようなキスを繰り返すアキラを不審に思ったのか、ヒカルが振り向く。少し余裕ができたのかもしれない。
「進藤、平気?」
「ん、大丈夫」
キスをしようと顔を近づけるが、二人の密着をより深めるものになってしまい、ヒカルは喘ぐと枕に頬を押し付けた。
慌てて引くが、ヒカルはその体勢のまま瞳を薄く開け、来てとアキラを誘う。
アキラは堪えきれずにヒカルのそこを突き上げた。
指で何度も触れた前立腺を集中的に狙うと、ヒカルからは叫ぶような喘ぎ声が出る。
アキラは腰の動きを止め、今にも射精しそうになるのを耐える。
今日のために三日間禁欲生活を送っていたし、初めての行為に興奮していたのもある。
勉強のために見たAVでも男はもっと耐えていた気がする。
ヒカルに勘付かれないためにも、胸の突起に手を伸ばす。
「あ、ん、あっあっあっ」
調子に乗ってヒカルの勃ちあがったそれにも手を伸ばし、扱くとそれに連動するかのように後ろがギュっと締まる。
アキラはそれが失敗だったと思うより先に射精してしまう。
くたりと中で力の抜けたそれに、ヒカルは目を丸くしながらアキラを見上げた。
「え、お前今…」
「…ッ」
「もしかして、お前って早漏…」
ヒカルのその言葉に、アキラは自分の中の血管が切れる音が聞こえた気がした。
自身を引き抜き、ゴムを縛りゴミ箱に投げ入れる。
数回扱くと再び熱を取り戻したそれにゴムを被せ、一気に貫く。
「アッ!ま、待って塔矢…」
「五月蝿い」
夢想していた行為後の甘い時間も、自尊心もボロボロだ。
こうなったら徹底的にいじめてやると、腰を突きつけるのであった。
後日、アキラを早漏とからかうヒカルの姿が見られたが、アキラに目一杯お仕置きをされ、早漏という単語は二人の間で禁句となった。
おわり